屈腱炎

カ『ウギャー゜・(ノД`)・゜・
　　イ・ダ・イよ～゜・(ノД`)・゜・』


と、冒頭から叫んでいるのは【カネヒキリ】。
屈腱炎の発症で、今後の動向が気になる。


カ『(ノд‐。)スンッスンッ
　　世間は【ディープ】だ【ディープ】だデーブだ
　　って騒いでるのに・・・砂の【ディープ】と言われたおいらは・・・
　　帝王賞であっさり負けちゃったし、
　　ドバイでも完敗だったし・・・
　　挙句の果てにケガしちゃったし・・・あぁ』


そんな彼の肩を叩く馬１頭。
ポンッ。


リ『まぁ、気にすんなよ。まだ引退って決まったわけじゃないだろ
　　若いんだからまだ先があるじゃねーか』
カ『【リンカーン】さん確か【リンカーン】さんも・・・』
リ『そうさ、オレも屈腱炎さ、フッ・・・
　　秋の天皇賞は【ディープ】も【ハーツ】も、
　　【ロブロイ】も【クリスエス】さんもいないってのに・・・』
カ『い・引退しちゃった馬まで意識してたんですか・・・』
リ『【ナリタセンチュリー】も引退して、【アドマイヤジャパン】も引退して、
　　とうとうオレの番が回ってきたか
　　と思った矢先だったよ・・・まったく。

　　でもな、オレはもう満足するだけ走った。重賞も勝ったし、ＧＩでもいいところまでいった。
　　だから胸を張って引退できる』
カ『おお～さすがですね
　　僕みたく未練たっぷりじゃないんですね』
リ『そうともさ
　　と、いうことで種牡馬のやつらに挨拶しに行ってきたんだよ』
カ『早っ∑(￣□￣;)!!
　　ちょっと気が早くないですか』
リ『何言ってんだどうせ種牡馬になることはわかってるんだから、挨拶くらいいいだろうに』
カ『でもまだ行き先決まってませんよね？』
リ『フフフ、そこはアレだ中堅どころを狙っていったんだ』
カ『なるほど～社台とかじゃなくて』
リ『そのとおりだおまえは将来伸びるよ』
カ『あざ～っす』
リ『で、行ったのがレックススタッドだ』
カ『ほうほう、結構有名ですよね』
リ『うむ、ＧＩ馬もいると聞いてた。でもオレもＧⅡ３勝もしてるから格負けはしないと思ってな』
カ『そうですね』
リ『堂々と乗り込んで、言ってやったんだよ
　　『やいやいやい！！
　　今度ここ北海道に上陸する
　　第１６代アメリカ合衆国大統領【リンカーン】さまだ！！
　　来年からはオレが仕切らせてもらうぜ m9(￣ー￣)ニヤリッ』
　　ってな』
カ『おおっかっけ～
　　強気っすね、強気さすがっす
　　で、どうでしたか、相手の反応は』
リ『それがよ、【エアジハード】さんによ、こう言われたよ・・・
　　『あ、ごめん。うちには【サクラプレジデント】いるからいいわヾ(^-^) 』
　　ってな・・・。・゜・(ノД`)・゜・。 うえええん』
カ『あ・・・そうだったんですか・・・
　　先にもう大統領が・・・いたんですね』
リ『・・・・(ノд‐。)スンッスンッ
　　そ・そうなんだよ・・・(ノд‐。)スンッスンッ』
カ『オレたち、ダメっすね～』
リ『そうだな～』


２頭が悲しみに打ちひしがれているところに、ある１頭の馬が近づこうとしていた。
その名は【アドマイヤジャパン】。
彼も屈腱炎で引退へと追い込まれた。
【ディープ】に敗れ続けた現役時代・・・相当悔しかったろうに。


ジャ『あの～僕も・・・』
リ『【ジャパン】』
カ『そうか・・・一緒に悲しもう』
ジャ『うん』


悲しみは終わらない・・・
引退するお馬さんたち、お疲れさま。
あ、【カネヒキリ】はまだ現役だけどね。


おしまい


写真は、『ＴＵＲＦ ＤＲＥＡＭＳ』さんからご提供いただきました。ありがとうございます。
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