電話制御審取
平成23年(行ケ)第10065号 審決取消請求事件(特許)
請求棄却
本件は拒絶査定不服審判不成立審決の取消しを求めた事案です。
争点は容易推考性の存否です。
裁判所の判断は13ページ以下。
本判決は、「引用発明1は,利用者がデータ端末を操作して,このデータ端末とLANで接続され遠隔アクセスできるコンピュータに対し,上記データ端末と協調関係にある音声端末と他の音声端末とを接続するように要求を出し,上記コンピュータから二者間接続のメッセージを受けた交換機が接続を確立するものであるから,引用発明1において,利用者による上記データ端末操作を操作性に優れ,効率よく行えるようにすることは,当然に考慮されることである」とし、「引用発明1において,データ端末とLANで接続され遠隔アクセスできるコンピュータに,加入者の個人電話番号帳及び加入者の発信履歴と着信履歴等の加入者に関する電話番号情報を記憶し,上記電話番号情報の表示のためにデータ端末から上記コンピュータに遠隔アクセスすることは,音声端末間の接続要求のためのデータ端末操作を操作性に優れ,効率よく行えるようにするために,上記の技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものと解するのが相当である」と述べたうえ、「LAN(構内通信網)上のサーバに情報を記憶しておき,ウエブ・ブラウザからサーバの該情報にアクセスして,ウエブ・ブラウザ上で該情報を表示することは,本願の優先日前において,当該技術分野における常識的な技術であると認められるから,引用発明1に上記の技術を適用する際に,コンピュータをウエブ・サーバとし,データ端末からLANで接続されたコンピュータへの遠隔アクセスに,ウエブ・ブラウザを用いることは,当業者が通常実施する手段といえる」と述べて、「引用発明1において,相違点2に係る構成とすることは,上記周知の技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得たとした審決の判断に誤りはない」と判断しました。
「当然に考慮されること」という概念を用いて容易想到性を肯定した事例として参考になります。
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