法面加工機械特許侵害
平成21年(ワ)第44954号
請求認容
裁判所の判断は13ページ以下。
本判決は、無効の抗弁に関し、本件発明1の容易想到性について、「乙1記載の方法と乙2記載の巻上装置を使用した法面処理作業の方法は、法面に対する作業内容が、法面の破砕であるのか、法面に対するアスファルト舗装であるのかという違いはあるものの、ウインチとワイヤーとを用いて傾斜面上の「加工機械本体」(台車あるいは処理用作業車)を移動させて作業を行う「法面の加工方法」という同一の技術分野に属するものであり、また、傾斜面上の所望の位置に加工機械本体を移動させ、効率よく法面作業を行うことを目的とする点で課題も共通すること、〈2〉上記課題を解決するための手段として、乙1では、アンカー及び巻取機(ウインチ)を法面上部の「左、中、右」の位置に合計三つ設け、「中」の位置のウインチを駆動させて加工機械本体を昇降移動させるとともに、「左」及び「右」の位置の各ウインチを駆動させ、左右2本のワイヤーの巻上げ量を調整することにより可動連結具及び舵取り機構を介して加工機械本体の車輪の軸を水平面内で回動させる構成としたのに対し、乙2では、2台のウインチを左右に設け、左右2本のワイヤーの巻上げ量を変え、その牽引力を異ならせることにより、加工機械本体を曲線をなす境界線に沿って移動させながら上昇させる構成とした点に違いはあるものの、上記課題を解決するために左右のウインチを駆動させて左右2本のワイヤーの巻上げ量を変化させる構成を採用している点では両者は共通していることに照らすならば、乙1及び乙2に接した当業者であれば、乙1記載の方法において、アンカー及びウインチを法面上部の「左、中、右」の位置に合計三つ設けた上記構成に代えて、乙2記載の上記構成のように「左右」の位置に合計二つ設ける構成(相違点に係る本件発明1の構成)とし、これらのウインチの駆動量を別個に制御することによって左右2本のワイヤーの巻上げ量を変え、加工機械本体を所望の位置に移動させることができるようになることを格別の困難なく想到することができたものと認められるから、本件発明1は、乙1記載の方法発明及び乙2記載の発明に基づいて当業者が容易に想到することができたもの」と判断しました。
なお、本件発明1については、実施の事実が認定できないと判断されています。
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