★「ケミストリーが勝利を生み出すのではなく、勝利がケミストリーを生み出す」とは、NYヤンキース監督時代に、地区優勝10回、ワイルドカード獲得2回という実績を持つ名将ジョー・トーリ氏(写真左)の言葉である。
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10月も半ばを過ぎたというのに、この二日間ほど、まるで夏にもどってしまったような気候ですよね。きょう初対面の方々に会う予定の家内が、外出の際の服装に頭を悩ませていました。
(...でも、なぜか、決して私にアドバイスを求めようとはしませんでした)
さてさて、本日のコラムに参りましょう。
コミュニケーションを活性化し、社員のモチベーションを向上させれば業績が上がっていく、ということを言う専門家がいますが、これは事実なのでしょうか。
確かに業績の良い会社は社員が元気です。積極的な議論や創意工夫がなされるなど社員のコミュニケーションやモチベーションが良いように見えます。しかし、実際に、自ら組織の経営を行ってきた者から言わせてもらうと、それは現象的、あるいは結果的にそう見えるだけ、ということを申し上げたい。
決して、そのような状況を先に作ってから業績を上げていったのではない、ということを申し上げておきたいと思います。。
強い組織となるためには、ずばり「ビジネスに勝利すること」、すなわち目の前の受注件数が増え、売上げや利益を獲得すること以外に方法はないと、私は思います。
すなわち、成果を確実にあげられるスタイルや活動プロセスを確立し、受注を獲得できる武器(競争力のある製品・サービス体系)を持ち、それを顧客へ着実に移転できるスキルを組織のメンバーが習得し、目の前のビジネスを勝ち抜いていくことによってしか、実現し得ないと思います。
モチベーションやコミュニケーションはどこまでいっても手段や道具にすぎず、それだけでは、決して好業績の組織を実現する決定打とはならないのです。また、これらだけで組織が長続きするわけもないゆえ、持続性のある競争力を持った組織にもなり得ません。
ちなみに、われわれ企業再生を生業とする者が、経営破たんして社員の意識がどん底状態にある企業に乗り込んだ場合、財務リストラや資産の売却など、あまり手段を選ばすに、まず何よりも利益の確保を最優先にして行動を開始します。
こうしたわれわれのやり方を見て、「後ろ向きな作業やコストダウンをやると、組織のモチベーションが下がり、活力が奪われる」などともっともらしいことをいう学者や評論家がいます。
しかし、資産売却だろうが、コスト削減だろうが、ムダな脂肪を取り除いてスリム化し、ガン細胞を切除して、黒字をしっかりと確保することに成功すると、間違いなく社員の顔は明るくなっていきます。
実際は、多くのケースにおいて、学者や評論家などがいうようなことは起きないのです。
むしろ、再生を目指す気持ちのない者へ厳しい対応を取ったり、非効率な資産を処分したり、生産性の低い業務を削減してしまうなど、ドラッカーがいうところの「体系的な廃棄」を断行するようなやり方に対しては、それを前向きにとらえる人も少なくないのです。
ちなみに「ケミストリー(コミュニケーションが活性化された状態)が勝利を生み出すのではなく、勝利がケミストリーを生み出す」とは、メジャーリーグ・NYヤンキースの元監督、ジョー・トーリ氏の言葉です(★)。
これを言い換えれば、必死で勝利を目指す過程(=実戦)で得たものでなければ、それは、決して本物のケミストリー(コミュニケーションやモチベーションが活性化された状態)とはならない、という意味です。
すなわち、トーリ氏の言葉は、あくまでも事業の本分である「ビジネスにおける勝利」を通じて組織力を高めていく、という視点を忘れてはならないということを示唆しています。そして、コミュニケーションやモチベーションの活性化は、あくまでもそれを促進するためのものであることを忘れてはならない、ということを教えてくれてるのだと思います。
★ジョー・トーリ氏:
○経歴:
メジャーリーグ・NYヤンキース監督時代の12年間で地区優勝10回、ワイルド
カード獲得2回という実績を持つ名将。
○参照文献・情報:
『メジャーリーグ~アメリカ社会を映す鏡』NHKドキュメンタリー、2011年1月放送
『さらばヤンキース―我が監督時代』
ジョー・トーリ、トム・ベルデュッチ共著、2009年、貴志社
※本記事は、好評につき、今年1月に掲載したものを改訂し再録したものです。
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この記事の一部またはすべての転載を固くお断りいたします。
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10月も半ばを過ぎたというのに、この二日間ほど、まるで夏にもどってしまったような気候ですよね。きょう初対面の方々に会う予定の家内が、外出の際の服装に頭を悩ませていました。
(...でも、なぜか、決して私にアドバイスを求めようとはしませんでした)
さてさて、本日のコラムに参りましょう。
コミュニケーションを活性化し、社員のモチベーションを向上させれば業績が上がっていく、ということを言う専門家がいますが、これは事実なのでしょうか。
確かに業績の良い会社は社員が元気です。積極的な議論や創意工夫がなされるなど社員のコミュニケーションやモチベーションが良いように見えます。しかし、実際に、自ら組織の経営を行ってきた者から言わせてもらうと、それは現象的、あるいは結果的にそう見えるだけ、ということを申し上げたい。
決して、そのような状況を先に作ってから業績を上げていったのではない、ということを申し上げておきたいと思います。。
強い組織となるためには、ずばり「ビジネスに勝利すること」、すなわち目の前の受注件数が増え、売上げや利益を獲得すること以外に方法はないと、私は思います。
すなわち、成果を確実にあげられるスタイルや活動プロセスを確立し、受注を獲得できる武器(競争力のある製品・サービス体系)を持ち、それを顧客へ着実に移転できるスキルを組織のメンバーが習得し、目の前のビジネスを勝ち抜いていくことによってしか、実現し得ないと思います。
モチベーションやコミュニケーションはどこまでいっても手段や道具にすぎず、それだけでは、決して好業績の組織を実現する決定打とはならないのです。また、これらだけで組織が長続きするわけもないゆえ、持続性のある競争力を持った組織にもなり得ません。
ちなみに、われわれ企業再生を生業とする者が、経営破たんして社員の意識がどん底状態にある企業に乗り込んだ場合、財務リストラや資産の売却など、あまり手段を選ばすに、まず何よりも利益の確保を最優先にして行動を開始します。
こうしたわれわれのやり方を見て、「後ろ向きな作業やコストダウンをやると、組織のモチベーションが下がり、活力が奪われる」などともっともらしいことをいう学者や評論家がいます。
しかし、資産売却だろうが、コスト削減だろうが、ムダな脂肪を取り除いてスリム化し、ガン細胞を切除して、黒字をしっかりと確保することに成功すると、間違いなく社員の顔は明るくなっていきます。
実際は、多くのケースにおいて、学者や評論家などがいうようなことは起きないのです。
むしろ、再生を目指す気持ちのない者へ厳しい対応を取ったり、非効率な資産を処分したり、生産性の低い業務を削減してしまうなど、ドラッカーがいうところの「体系的な廃棄」を断行するようなやり方に対しては、それを前向きにとらえる人も少なくないのです。
ちなみに「ケミストリー(コミュニケーションが活性化された状態)が勝利を生み出すのではなく、勝利がケミストリーを生み出す」とは、メジャーリーグ・NYヤンキースの元監督、ジョー・トーリ氏の言葉です(★)。
これを言い換えれば、必死で勝利を目指す過程(=実戦)で得たものでなければ、それは、決して本物のケミストリー(コミュニケーションやモチベーションが活性化された状態)とはならない、という意味です。
すなわち、トーリ氏の言葉は、あくまでも事業の本分である「ビジネスにおける勝利」を通じて組織力を高めていく、という視点を忘れてはならないということを示唆しています。そして、コミュニケーションやモチベーションの活性化は、あくまでもそれを促進するためのものであることを忘れてはならない、ということを教えてくれてるのだと思います。
★ジョー・トーリ氏:
○経歴:
メジャーリーグ・NYヤンキース監督時代の12年間で地区優勝10回、ワイルド
カード獲得2回という実績を持つ名将。
○参照文献・情報:
『メジャーリーグ~アメリカ社会を映す鏡』NHKドキュメンタリー、2011年1月放送
『さらばヤンキース―我が監督時代』
ジョー・トーリ、トム・ベルデュッチ共著、2009年、貴志社
※本記事は、好評につき、今年1月に掲載したものを改訂し再録したものです。
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〒105-0003
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