
メシア──世界唯一のスケプティックハンター。懐疑論者の嘘を暴く達人。
リネンちゃん──メシアの弟子。
リネンちゃん 原田実さんはASIOSの『検証 陰謀論はどこまで真実か』の中で次のようなことを言っています。
東大法医学部の所見の根拠が怪しいとなれば、他殺説はその根拠を失う。そうなると見直されるべきは自殺説である。実は下山事件の捜査本部では早くから自殺という結論を出しており、東大法医学部の発表には懐疑的だった。作家・畠山清行によると、当時の捜査主任だった関口由三警部は後年、テレビに出演して次のように述べたという。
〈私たち、この事件に従事した者は、50人近くいますが、その者たちは全部自殺ということで確信を持っていますね〉(畠山清行『何も知らなかった日本人』)
メシア これはハッタリの極地。瞬殺できる。
リネンちゃん ホントですか?
メシア 下山総裁の遺体が発見された7月6日の時点では、政府も警視庁も他殺という見解であり、その日の正午の記者会見で増田官房長官が「下山総裁が轢かれる前にすでに死んでいた」と発言しているんだ。
リネンちゃん えっ!!原田さん、そんなこと全然言ってないですが……。
メシア また、7日には警視庁と東京地検によって《下山総裁事件特別捜査本部》が開設された。
自殺なら《事件》とは呼ばないし、捜査本部なんてものも設置されない。
さらに田中栄一警視総監は斎藤昇国家地方警察長官に対し、「最初の捜査会議の空気としては、集団の力による殺人方法がとられたのではないかとする見方が強い」と報告している。
これでわかるように捜査本部は、早くから《他殺》という結論を出していたというわけなんだ。
リネンちゃん 原田さんの言っていることと、なにもかも真逆ですね?
メシア うん。ところが8月4日の捜査本部合同会議において正式に《自殺》という結論を下し、世にいう『下山白書』を発表したんだ。
しかし、この『下山白書』、以前説明したように下山油やマラカイト・グリーンのことなどが完全に無視されており、自殺と決めつける内容だったんだ。
リネンちゃん サイテーですね。
メシア 最後に、テレビで「自殺ということで確信を持っています」と発言した関口警部について。
下山総裁の遺体が発見された現場には、自殺ではありえない情況証拠に満ちていたんだ。
下山総裁が当日身に付けていたはずのロイド眼鏡、ネクタイ、そしてライターをはじめとする喫煙具がまったく発見されなかったんだ。
このことについて関口警部は、自著の中でこう述懐しているらしい。
いま私はこれを書きながら、ふと気のついたことは、喫煙具全部がないことである。煙草好きであったという下山総裁が、この世の別れに最後の一服を心いくまですって、思いきってどこかに処分したのではないかとも推理してみた。
リネンちゃん え……。
メシア そういうリアクションになるよね?
『下山事件 最後の証言』の著者である柴田哲孝さんもこう締めくくっている。
どう考えても、自殺論を主張するには説得力に乏しい見解である。
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