だせなかったLove Letter:49

2012-04-08 | 自作小説:私小説
T瀬とS谷、そして僕。
3人だけだ。
T瀬とS谷は仲良そうだった。
僕は手持ちぶたさに、タバコを吸った。
タバコ。

その頃、普通にタバコを吸えるようになっていた。
でも、タバコを吸うと、体がダルくなる。
頭もボーっとする。
まだ、そんな段階だった。
そのときの僕には大人ぶる、いや、いきがるために、
タバコを吸うしかなかった。

タバコを吸う同年代の男を初めて見たのは、T瀬だった。
そのときは、驚きだけだった。
驚いたが、タバコを吸おうとまでは思わなかった。

タバコを吸い始めたのは、高校2年の夏のことだ。

中学時代のプチ同窓会。

何人かの男子と女子が、喫茶店に集まった。
なぜか?どうしてか?覚えていない。
参加した理由は憶えている。
当ては、はずれた。

近況について語り合った。
僕には、つまらなかった。
当てがはずれたからだ。

なぜだろう?
どんなに若くても、昔を懐かしむ。
高校生なら、中学時代。
僕は前を向いて歩いていたい。
でも、心残りがある。

それを整理するために、集まったのかもしれない。

昔を懐かしみ、今を変えようとする、
そんな談笑の中、
おもむろに、タバコを吸ったのは、K池だった。

誰も、それを不思議がることもなく、
高校生なら、当然のこと。
そんな反応だった。

そして、女子の反応も良かった。
女心を分かるのは、K池だけ。
女子は、そう言った。

僕は馬鹿だ。
それでタバコを吸うことにした。
ただ、気分が悪くなるだけだった。
それから、30年以上経った。
一日も欠かすことなく、タバコを吸っている。
未だに女心が分からない。

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