だせなかったLove Letter:77

2014-07-21 | 自作小説:私小説
よく思い出せないが
なぜか僕は君の住む町にいた

駅で君が来るのを待っていた
その理由は思い出せない
でも
君を待っていた

僕の知らない場所

君が来るのを待っていた
タバコも吸わずに待っていた

君が小走りで来た

白いブラウス
黒のタイトスカート

あの頃
君の町で見る君は
いつもタイトスカートだった

後ろのスリット
好きだった

制服の君を自転車の後ろに乗せていた
それよりは前に進んだのかも知れない
君の生活圏内に近づいた

駅のロータリー
住宅街
ほとんど人はいなかった

どんな会話をしたのだろう
覚えていない
でも
君の表情は覚えている
嬉しそうで
恥ずかしそうな

とりとめのない会話しているときだ
君が手が滑り込んできた
僕らは初めて腕を組んだ

その後の記憶はない

君のバイトしていた不二家
そこでお茶したのかもしれない

覚えてない記憶はどうでもいい

初めて腕を組んだ
江戸川台のロータリー
柑橘系に染まる空
はにかむ君

それだけは忘れない

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