色つきの自転車を見て思い出す。
バイト時代の友人の話。
待ち合わせ場所に、ふらふらと何やら怪しげなふたり乗りの自転車。
YA! YA! YA! といった感じ。
「どう」
いかにも自分でペインティングされたサイケ色の自転車。友人ふたりは顔を見合わせて笑っている。
女の娘同士にだけ許される間(ま)。
「キツイな」
と、ヒッコリーのオーバーオールを着たぼく。これもまた間違いなく「キツイ」。
ジョン・レノンのロールスロイスと魂は同じだろうが、仕上がりが違いすぎた。
自分の色に染めるというのは危険だ。我が強すぎる。
そんな勢いが今のぼくにも、今の彼女たちにも残されているだろうか。
気持ちの部分では、結構、大切なことのような気がする。
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