水平線の向こうの見えないところまで漕いで行きたい。流れがあるかもしれない、荒れてるかもしれない。どんな準備をして、トレーニングが必要か。そして、自分が挑戦するとき、その権利はあるのか、自分がそれにふさわしいか、自分がどのようなレベルにあるのか客観的に知りたい。でもその方法はあるのだろうか?どうやって能力を獲得したら良いだろうか。
風波の中でカヤックをしっかりコントロールできず、翻弄される。波や風に合わせて漕げるようになりたい。どうすれば良いのだろう?
僕はひとまず「小さい成功体験を積み重ねろ」と言います。そうすることによって、技術も上がるし自信もつく。自信がなければ海へは出られない。自信を持って漕ぐことで自分への信頼を積み重ねていくのだ。次に上達のコツなんだけど、「荒れた海で漕ぐこと」と「自分より上手い人と漕ぐ」こと。海が「荒れる」と「荒れているから危険」なので海に出ないと言うのがセオリーになりつつあるけど、「荒れた海」を経験したことがない、知らないということこそリスク、もしかしたら最大のリスクかもしれない。
「自分より上級者」と漕ぐ。これは僕がカヌーを始めた20年前は、力の差がハッキリしていて、なおかつ、上級者が面倒見がよかった。危なっかしい初心者がいると向こうから声を掛けてくれたものだ。そして一緒に漕いでくれた。初心者も素直に先輩に教えを乞うた。今はこの仕組みが以前より働なくなってるように思う。あの時代はよかった。
経験が重要だと言うけど、経験とは「成功体験」と思ってる人が多いけど、本当に必要で、なおかつみんなに足りてないのは「失敗体験」です。なぜなら、そこには大きな学びがあるから。死なない程度の失敗はたくさんすべきで、これは置き換えられるものがありません。失敗して悔しい思いをする、批判される、痛い体験をする。全てが代えがたい高レベルの経験です。
人間は弱いので、成功体験から「自分と向き合うこと」は出来づらいものです。失敗にこそその本質があるように思います。自分を知ること、これがカヌーに乗る「挑戦権」ではないでしょうか。海を知り、カヌーを知り、最後に自分を知る。海を知ってるだけでは足りない。さらにカヌーを知っても何かが足りない。一番身近に存在する自分を知ること。誰もが出来そうで、実は出来ていないのがここだと思います、僕を含めて。
前進、前進、前進。 奥田民生
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丁稚
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