あの日もいつもの日と変わらず、4時に起きてコーヒーを飲みながら、海を見ていた。海面は鏡のようで乱れがなかった。5時に友人から電話が来た。こんな朝早くの電話は珍しい。友人は言った。「やっぱ起きてると思ったよ、今すぐテレビをつけな。NYが大変なことになってるよ」
テレビの画面には航空機衝突で黒煙を上げるビル、そしてさらに新しい一機がビルに突っ込む映像を繰り返し流していた。スピーカーから叫び声、「Oh my God」の声。
2001年9月12日の早朝の出来事だった。アメリカは時差の関係で9月11日。
昨夜、オリバーストーン監督の「ワールドトレードセンター」という映画を見た。あの日、救助のためワールドトレードセンターに駆けつけた港湾警察官の物語だ。奥さんが妊娠し、名前を自分がつけるか、奥さんが付けるか意見が分かれている青年。息子の誕生日のプレゼント、野球のプレーオフのチケットのことをその日まで秘密にしている父親。ごくごく普通の人々の上に突然訪れた悲劇。数千人の人を巻き込み、崩れ去ったワールドトレードセンター。瓦礫の下敷きになり、その中から生還した人はわずか20人と言う。この物語は18番目と19番目に救助された警察官の物語だ。
9・11から5年がたった。アメリカは二つの大きな戦争をした。アフガニスタンではまだ戦争開始の目的である、アルカイーダの殲滅を達成できていない。ビンラディンとオマルの拘束もままならない。イラクは内戦状態だ。一度始めた戦争は、そうは簡単に終結しない。この二つの戦争は、きれいなすっきりした終結はありえないようにも見える。
何かできるわけではないが、多くの人が傷つき、死したこと。醜い戦争が起こったこと。このことを忘れないこと。関心を持ち続けること。僕にできることはこのぐらいだけど。。
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