楽園づくり ~わが家のチェンマイ移住日記~

日本とタイで別々に生活してきた私たち家族は、チェンマイに家を建てて一緒に暮らし始めました。日常の出来事を綴っていきます。

3回目の手術を受けた妻

2011-12-12 20:55:33 | タイの暮らし

妻は今日、バンコク病院で3回目の手術を受けました。昨年の5月に2回、そして今日です。さきほど電話したら、1時間前に病室に戻ってきたばかりだと言っていました。

声はとても明るく元気そうなので安心しました。会ったこともない何人かの方から、励ましのコメントをいただき、本当にありがとうございます。

 

さすがに高いことで有名なバンコク病院だけあって、やることが実にスピーディーです。今月8日(木)に受診して、エコー検査、マンモグラム検査、そしてバイオプシー(細胞の一部を切り取って顕微鏡で組織を調べる)を一気にやりました。

そして10日(土)に結果が出ました。脇の下のしこりは悪性のものでした。再発です。そのため、ほかの場所への転移も考えられなくはないので、翌11日(日)に、肺、肝臓などの全身のCTや、骨シンチと呼ばれる骨転移を調べる検査を受けました。

昨年2回目の手術(うまく取りきれなかったので再手術)後に同じ精密検査を受けています。被ばく量が膨大になるので、できれば全身のCT検査はやりたくないのですが、手術するかどうかを判断するためには、全身状況を知らなければならないのでした。

さて、日曜日の全身検査の結果を通知されないまま、妻は今朝の9時に入院の支度をして病院へ行きました。脇の下以外にもあやしい所見が見られれば、手術はできません。局部の再発ではなく、遠隔転移していれば、乳がんの治療基準としては外科手術ができないのです。一部分の病巣を取り除いてもほとんど意味がないからだと思います。

手術するのか、できないのか・・・・・現地の9時(日本時間11時)からずっと電話を待ちました。でも、1時間たっても携帯は鳴りません。おかしい・・・・・担当医が検査結果を告げるのに1時間もかかるわけはないからです。ひょっとして、悪い結果を聞いて動揺しているのではないか、動揺してなくても、今後の治療方針を担当医があれこれ説明しているので長引いているのではないか・・・・

心配しだすと、もう居てもたってもいられません。職場の別室でずっと電話を待っていたのですが、1時間がこんなに長いと思ったことはありません。ついに現地の10時半(日本の12時半)、こちらから電話することにしました。

「もしもし、どう・・・・・」 「はいはい。今点滴してますよ。」(いつもの明るい声だ!)

「えっ?点滴?何の?」(まさか抗がん剤の点滴じゃないよな・・・)

「あと1時間くらいしたら手術です。」(よかった~!)「ということは、ほかは何ともないの?」

「脇の下だけです。万歳でしょ!」

 

ちょっと待てよ。再発しているのは間違いないから、よかったとか万歳はないよな、と心の中で思いました。でも、今はやっぱり万歳なんだな、と思い直しました。とりあえず、最悪の事態は回避できたのですから。手術で取りきれるのかどうかはわかりませんが、遠隔転移が見つからなかったのは、不幸中の幸い以上の意味があります。まだ、首の皮一枚、完治の可能性が残されていると見るべきなのでしょう。だから、彼女が「万歳」と表現したのは正しいのでしょう。彼女はどちらかというと楽観的、私はどちらかというと悲観的というか、慎重に物事を考えるほうです。病気の本人が楽観的なのは、とてもよいことだと思います。

 手術することに決まってから、子供たちも病院に駆けつけました。タイは今日は、たしか憲法記念日の休日なのです。そのあと、息子からも直接電話がきました。

「お父さん、ママ元気だから心配ないよ。これから切るからね。」手術という日本語をもう忘れてしまったのか、もともと覚えていなかったのか、「これから切るからね」という表現を聞いたときは、思わず吹き出しそうになりました。でも、そのとおり、これから切るというのは、ある意味で適切な表現ではありました。

そんなわけで、今頃バンコク病院の一室で、妻と妹と、子供たちが日本食を食べているはずです。一時間くらい前、日本食を頼んだと妻から聞いたときは、「え?日本食?贅沢」と言いそうになりましたが、「え?日本食?たまにはいいよ。」と言うしかありませんでした。

手術後の医者のコメントをまだ聞いていないのですが、例によって明日退院するようです。一回目も二回目も、そして今回も、一泊二日の手術なのです。入院期間が短いのは部屋代が高いから助かるのですが、それにしてもタイの手術は、患者の希望にもよりますが、一泊かせいぜい二泊の短期間で退院させるのが当たり前のようです。日本とは、そのあたりが随分違います。

 

この一週間、これほど家族のことで心配したことはありませんでした。とりあえずは当面の山を越えました。妻の闘病はまだまだ続くかも知れませんが、その都度その都度、医者とよく話し合って、最善と思われる選択をしていくことが大切だと思いました。

でもひとつだけ、タイの医療で残念なことがあります。もしバンコク病院などの私立病院へ行くお金がないとすれば、国公立病院へ行くことになります。その場合は検査だけでも一か月待ち、手術は2~3か月待ちが当たり前です。妻の場合は、私の扶養家族なので、まだ日本の医療保険が使えます。私が仕事を辞めてタイへ行けば、その保険は使えないので、すべて高額医療費を自己負担するか、それとも、安い国公立病院へ行くことになります。

タイ国民なら30バーツ保険に入れるので、ほとんどタダです。手術も抗がん剤も。でも、待っている間に手遅れになる危険性は大いにあります。つまり、お金があるかどうかで高度医療が早く受けられるかどうかが決まってしまいます。

病気に関して「安心」という言葉を使うのはおかしいのですが、やはり日本の医療システムは、何だかんだと言っても素晴らしいものだと思います。病気になっても、ある意味で安心できる社会を作ってきたのだと思います。アメリカ型だと、金次第になりますから。タイは日本型とアメリカ型の両方が混在しています。これからも、高くて速い私立病院と、安くて遅い国立の両方を、うまく使い分けていこうと思います。

タイは私立でも国立でも、トップレベルの病院だと、医療技術や使う医薬品などは変わらないと思います。病室は全然違うし、食事の選択肢やサービスは雲泥の相違がありますけれども。

 

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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (k)
2011-12-12 21:51:38
良かったと言うべきか、なんと申し上げるべきかわかりませんが、早く以前のような楽しい記事が読めるようになることを願っています。

タイの医療はほんと両極端ですよね。お金があるかないかで。お子さんが三人もいると負担もばかにならないでしょう。うちも妻子のタイでの保険はあるのですが、私自身の保険がなく、今探しているところです。
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kさん、こんばんは。 (うさぎ)
2011-12-12 22:52:50
お久しぶりです。そうですね、楽しい記事を書きたいですね。洪水の記事ばかり長く続いた後に、今度は妻の病気の記事ですからね。いつの間にか、意図に反してシリアス路線になってますね(笑)。
私自身は、10日後にバンコクに帰った時に、Bupa(英国が本部だったかと)の個人医療保険の担当者を家に呼んで、説明を聞いてみようと思っています。タイの本部の電話は02-677-0000ですけど。
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こんばんは (k)
2011-12-12 23:56:26
そうなんですね。私も近日中にBupaの話を聞く予定です。チェンマイにも一応オフィスがあるようなのですが、Bupaの外交員というのは見かけたことがないなと思っていたらAIAの外交員が兼ねていました。ちなみに今AIAは外国人は難しいとのことです。
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医療費は高いです。 (teru)
2011-12-13 02:13:46
手術が無事に終わって良かったですね。
これ以上、転移していないことを祈っています。

海外に住んでいると病気になった時が心配です。
ご指摘のように国立病院は混んでいますし、我々外国人が行ける雰囲気ではないですしね。
私もタイで2回程手術をしました。入院先はサミティベート病院とラーマ9病院で、ともに2泊3日の入院でした。
入院費用は8万と10万バーツでしたが、外資の保険(ING保険)に加入していましたので、約3割~5割だけ自己負担しました。
この保険も来年で契約期間が終了します。

タイでの保険料と日本での保険料(国保+市民税)を
計算した結果、今年から日本に住所を移し国民健康保険に加入しました。
因みに妻と子供はING保険に加入しています。
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お大事に (かおるパパ)
2011-12-13 12:00:31
久しぶりにブログを拝見しまして驚きました。
ともあれ最悪は回避できたてよかったですね。(同時に、タイ人の精神力は強いと感じます)

タイの医療水準は高く、アラブ諸国からの医療ツーリズムも盛んだと聞きました。バンコクの一流病院ならば安心しておまかせできると思います。
祖母の兄がタイからの医学留学生の面倒を見ていたこともあり、タイ人医師は信頼できると考えております。

当方も、来年からチェンライに家を建てて・・・と似たような境遇です。(もっと先の予定でしたが、震災が起こって前倒しとなりました)

娘はタイ・プラカンチーウィット(CMが有名な)で保険料は約16,000B/年、嫁は不明(失念)。
車の保険料は約15,000B/年。
私は日タイ半々の生活になりそうなので日本の健康保険です。
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一応安心ですね (アオチンチン)
2011-12-13 16:08:59
最近更新されていなかったのは、こういうことだったのですか。
まぁ、来てみないとわからないでしょうが、ひと安心というところでしょうか?
なにかお手伝いできそうなことがあれば、いつでも言ってください。

ちなみにタイの医療ですが、私も一昨年ぶっ倒れました。軽い脳梗塞でした。
幸い意識もなにもあって、大したリハビリもせずに今に至っております。
入院は1週間程度で10万バーツ超。
その後も1~2ヶ月おきに病院ですが、結構薬とか云々バカになりません。

この國は金のないやつは死ねってイメージのところありますからね。
自分がそうなって、つくづく思いました。

さらに身近なところでは、つい最近、コンドーの前でモトサイと事故。
モトサイの兄ちゃんは自分は悪くないと言っていましたが、私の保険屋と喧嘩して
結局警察へ。彼の負けでした(笑)。

でも車は未だにドック入り。
修理代金5万バーツくらいかかるみたいです。
来年保険会社変更しなきゃ(笑)。
まぁ車2台あるんで問題ないですが、普通に運転しててもこんなことがありますからね。
値段の高いほうの車じゃなくてよかったです(笑)。

それはさておき、あっという間に退院させられるのもどうかと思いますね。
もう少し養生させろよって思いたくなります。
奥さんのお元気な姿を年末に拝見できるよう祈っております。
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teruさんへ (うさぎ)
2011-12-13 18:42:19
へえ~、日本の国民健康保険のほうが安いのですか・・・・日本の国保は高いという定評なので、それは想像もしていませんでした。

妻だけでなく、子供も私立病院を利用しますので、家族にも30バーツ保険以外の保険をかけるほうが本当はいいのでしょうね。

私も何か保険に入ることを考えてますが、国立病院を全額自費で受診することもできなくはないと思います。バンコク病院とチュラロンコン病院を比較すると、同じような治療が5分の1から3分の1くらいの費用で済みますから、保険に入っているみたいなものです。
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かおるパパさんへ (うさぎ)
2011-12-13 18:57:25
励ましの言葉とコメントありがとうございます。
医療水準の高い病院の多くはバンコクなどに集中しているような気もしますが、それらの病院では確かにアメリカや日本に留学や研修の経験のある医者が多いようですね。
ただ、去年チュラロンコーン病院の医者と直接話したことがありますが、あまりに患者数が多いので大変なようです。

チェンライは行ったことがないので、チェンマイに住むようになったら、ぜひ車で訪問してみようと思っている場所のひとつです。日本と半々の生活というのは、まさに理想的で羨ましく思います。

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アオチンチンさんへ (うさぎ)
2011-12-13 19:18:05
予定通り1泊して退院しました。もう1泊したほうがいいよと言ってあったのですが、担当医がその必要がないと判断したようです。ある意味、ほっとしています。
ただ、なかなか安心できる病気ではないので、妻にとっても私にとっても、一生闘っていかなければならない相手という覚悟はしています。

それはそうと、ご病気が軽くて済んでよかったですね。脳梗塞を経験されたとは知りませんでした。40代くらいの人も多いんですよね。アルコールを控えるようになられたのは、そのせいですか?あちらのほうも、ほどほどになさった方がよろしいのでは(笑)。

車、高い方でなくてよかったですね。これも「よかった」と言ってよいのかどうか、難しいところですけど。「よくないんだけど、よかった」ということが、考えみると世の中には案外多いんですね。
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食事を変えてがんと戦う (Yuji)
2011-12-18 15:15:07
はじめまして。

アメリカの有名な栄養学者が書いた"China Study"という本をみると、乳製品や肉をとらない人には乳がんはほとんど発生しないという研究結果がでています。
また、ねずみを使った実験では動物性のたんぱく質を与えられたねずみは、植物性のたんぱく質を与えられたのと比べ、8倍の速さでがん細胞が発達していくという結果がでてます。

アメリカで、"Forks over Knives"という映画が上映され、健康に注意する人々の間で、話題になっています。映画は、現代のほとんどの病気は乳製品や肉をとるようになってから、広がりだしたということをいっています。
youtubeで見ることができます。(ただし全編を見るのは有料。全部英語)

肉をできるだけ避けて、乳製品を絶対にとらないでください。また、生野菜をジュースにして、作りたてを朝昼晩と飲んでください。

チェンマイにはたくさんの新鮮なオーガニックの野菜があるので、食事療法をするのに適していると思います。

ちなみに、私はカリフォルニアで食事療法をして、肝臓がん4B期(遠隔転移、6年前に肝臓から肺に転移)を完治させました。
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