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Cafe シネマ&シガレッツ

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黄金の輝き

★哀しみのトリスターナ

2009-09-22 | 映画70年代
フラッシュバック現象ってご存知ですか?!
死ぬ直前に見る映像。
実は高校時代の冬…
新潟の冬は寒い。その朝、道路には氷が張り、その上に雪がうっすら積もっていました。
いつもは歩いて駅まで行くのですが、何故かその日は支度に手間取り、歩いて行くには遅すぎる。
かといって、電車は一時間に一本しかない。必然的に一時間の遅刻…
そこで、危険承知で自転車で駅まで行くことにしました。飛ばしに飛ばして、曲がり角を曲がったそのとき!目の前に迫り来る乗用車!道幅は狭いうえに脇の雪もあいまって逃げ道がないほど狭い!
咄嗟に判断して、大工さんの作業場の壁に追突しました。幸いにも壁はトタンで柔らかかったのでケガもせず、真っ青になって降りて来た運転していた方に学校まで送ってもらって一石二鳥でした。
そのうえ私は見たのです!壁にぶち当たるまでの数秒、いやコンマの世界かもしれませんが、フラッシュバック現象を!カタカタと回るフイルムのように過去へ過去へと画像が現れる様を!

ここまで書いたら何でそんな話するの?という方、この映画「哀しみのトリスターナ」を観た方なら納得してもらえるでしょう?
そう、この映画のラストはまさに自分が見、体験したあれと同じ現象だったのです。とりとめがあるのか無いのかさえ分らない、意味があるのかないのかもわからない、でも時として出現した夢のような懐かしいような、憧れのような感嘆符“ああ!”ブニュエルは一体何者なのでしょう?
今までは映画の中のフラッシュバックって説明みたいな物と思っていたけど、これはまさにフラッシュバックでした。
あと、この映画、時間の経過やトリスターナの心情、古い町並み、野良犬など、妙な実感があります。特に後半のトリスターナの痛いトゲトゲの恨み。

もし、これから見る方がいるのなら、ブリュエルの考えや職人技的技術を分ろうなんて思わないでただただ見て感じた方がいいと思います。何故だか復讐の暗い話なのに“ああ、そうだったのか!”なんて満足感と、あの街が自分の記憶や思い出になりました。哀しみが、時とともに昇華されて“美しい過去”になるような感覚がほんの1時間半程でで味わえます。
万歳!ブニュエル!!

【追記】
先日CS放送で再び見たら違っていた。
何が違ったんだ?訳?画像?まさか編集し直すなんてことないと思うけど…

(1970/スペイン・伊・仏/監督:ルイス・ブニュエル)



★時計仕掛けのオレンジ

2007-01-05 | 映画70年代
明けましておめでとうございます。
今年も皆様にとって良い年でありますように。
私、本日新潟から帰ってきました。我が家は農家ではないのですが、マメな母のおかげで無農薬野菜のおせちをたんと食して参りました。畑を借りて老人介護の仕事の合間に作った大根やお芋のお雑煮、小豆のお汁粉は柄も言えぬ美味でした。やっぱりお正月は故郷に限ると思わせるのはそんな母のおかげだと思います。感謝。
ただし、田舎のテレビの大画面で映画が見れるぞ、との期待は見事に外されました。親戚の子どもが山のようにずっといたのでした。上は5年生。下は1歳児。全部男の5人兄弟。凄まじいパワーでかけずり回り、しつこく遊びを強要され、郵便屋さんごっこ、花札、カルタ取り、仕舞には書き初めの教師となり。。。こっそり二階の小さい画面で見ていても押し掛けられ、結局見れたのは弟の持っていたDVDの中の1本。「時計仕掛けのオレンジ」お正月からヤバいですこれ?!

何がヤバいって、暴力や暴行の溢れるこの映画。主人公のアレックス(マルコム・マクダウェル)は凄まじく悪い事してるって分かってるのに、見ていると高揚して気持ちよくなっていくんです。ビジュアルもデカダン趣味で格好良く、音楽も何故かクラッシックの名曲揃い。この快感は一体何?!凶暴で不敵な笑みを浮かべているアレックス君は、見かけだけでなく中身も真の極悪人。なのに何故?!何故なんだ~っ?!キューブリックさん、あなたは危険人物だ。面白すぎです。「シャイニング」も怖かったけど、ある意味この映画の方が恐いです、見てる自分の気持ちが恐ろしい。

お話は、単純そのもの。
不良グループの頭首アレックス君が仲間と悪事をはたらきまくって、果てにオールドミスを過失致死。刑務所に入ってからも聖書の暴力シーンに酔いしれ、それとは知らぬ神父さんに気に入られ、短期で出所できるという犯罪者の強制洗脳実験を受け成功。暴力や性的な事、そして大好きなベートーベンの第九を聞くと強烈な吐き気をともなう人間に改造されてしまいます。その事は新聞でも取り上げられ出所。でも出所した彼を待っていたものは、今までの彼に恨みを持つ人間ばかりの町。彼は家庭からも追い出され、浮浪者、かつての友人、暴行をはたいた文筆家やらに虐待され、あげく飛び降り自殺。洗脳実験に関わっていた政治家はマスコミから叩かれ、自殺は未遂に終わったアレックスと手を結ぶのです。が、アレックス君の洗脳はその時解けてしまったのでした。
と、いうブラックなお話。


「大丈夫。大丈夫。ワクワクしたけどアレックス君みたいなあんな事しない。
 気持ちいいのはキューブリックさんが上手すぎるからなんだ。
 いちいち楽しい小道具や小気味いい音楽の乗り、美術の綺麗さのせいなのさ」

と、自分に言い聞かせる私です。ホント、カッコよくて楽しい映画でした。
前半は完璧!だからこそヤバヤバです。せめてR15指定。

(1971/米 監/スタンリー・キューブリック)

★音楽

2006-11-27 | 映画70年代
三島由紀夫原作「音楽」(1972/日)をケーブルテレビで見ました。
いやあビックリ!!
70年頃って本当に妙ですな。たまたま見たのがそうなのか?そういう時代なのか?ちょっと不思議なトンデモ映画でした。
~女性の性と心理の奥に鋭いメスを入れた三島文学を映画化した、増村保造監督のATG作品~ と、いうだけあって裸とHシーンのオンパレード?!そして、あのミニスカートやフリフリファッション!ひとつ間違うと笑いを誘うあのテンション!実は笑うシーンでない場所で大笑いしながら見ていました。ただ最後はちょっと胸にこたえたのは確かです。
精神科に通う不感症の女。その女の不可解な言動を精神科医が解いて行く話でした。

幼くして父親を亡くしたその女はヒステリーで嘘つき。恋人と体を重ねても何も感じない。恋人を嫉妬させるために、精神科医とやりもしないセックスを手帳に書いてしまうような女。彼女の症状のひとつは音楽が聞こえないという事。これがタイトル「音楽」の由縁なんですが、悦楽に達すると音楽が聞こえるらしいのです。正常な恋人とは何も感じないのに、死にそうな病人や不能者と肌を寄せると、「ああ、音楽が聞こえる!ああ、感じる!感じるわ~っ!」と、女は身悶えするのです。なな、何じゃこりゃ~っ!変態だ~っ!と、あまりに突飛で本気な事態なので、爆笑せずにはいられないのでした。ただ、彼女がそうなった本当の原因を知った時には、愕然としました。どうしようもない兄、への恋慕。禁じられた愛の行為。そして終焉。切なかったです。
ただここはやっぱり70年代!不感症が完治したであろう彼女、そして恋人に「もう治りました。今夜は彼女をモーレツに愛してやりなさい」と主治医が心優しく言うのです。モーレツですよ、モーレツ!オチがついたところで。。。70年頃ってどこまで本気なのだろう?全部が本気?なんだろうな。エロ グロ ナンセンス でも本気。面白いなあ。



★ロッキー.ホラー.ショー

2006-11-12 | 映画70年代
70年代を代表するロックミュージカル「ロッキー.ホラー.ショー」!!(ジム.ジャーマン監督1973/米)
典型的なオールドアメリカンボーイとガールが友人の結婚式の帰り、嵐に遭遇し妖しいお屋敷に助けを求めに行くが、そこは人造人間を製造しているフランクンフルターなる狂気の博士の住処だった?!そして彼は、宇宙人だったのである?!
いやあー、衣装やメイクのパンクな事!かっこいいロックのメロディーにのって狂乱のパーティー!倒錯してゆく倫理観!ハイテンションな、おばさんのようなおじさんのようなティム.カリーの迫力!「ナイト.メア.ビフォア.クリスマス」に出てくるようなキャラクターたち。そんな馬鹿な、と思いながらもドンドンその世界に引き込まれ、ティム.カリー演じる衣装倒錯者のフランクン.フルターの魅力の虜。そんな映画でした。

★ソドムの市

2006-09-20 | 映画70年代
たまたま借りたビデオ「ソドムの市」(1975伊)を観た。イタリアの監督さんの遺作らしい。
題名からしてちょっとオドロオドロしい。
確か、あまりに背徳が栄え、神様から焼き滅ぼされた街が「ソドム」だったような。
内容はというと、ホモ、レズ、糞尿、サドのオンパレード!?
見ているうちに自然に顔がこわばり、吐き気までしてしまった。
うんこの臭いとか味がしてきそう。少しえげつない物が観たい気分だっただけなのにぃ(涙)
しかし一番怖いのは、見終わった後自分が爽快感に包まれている事だったのである!

次は何に挑戦しようかなぁ。と、思いつつそういう知識がないのだった。