Cafe シネマ&シガレッツ

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★素晴らしき哉、人生!

2006-12-25 | 映画40年代
CS放送で「素晴らしき哉、人生!」を見ました。よかったです。特に、ニ級の守護天使が主人公ジョージ(ジェームズ・スチュワート)に見せた”彼の存在していなかった世界”は衝撃的でした。そして暖かなラスト。涙しました。でもちょっと気になるのは、ジョージの天敵、業突く張り爺.ポッターの拾い隠した8000弗。ま、爺の悪行三昧のおかげでジョージが今ある自分の人生が素晴らしいと気づけたんだからいいのか?爺の悪行はこれからも続くんだろうなあ。爺に天罰がくだればいいのに。。。

これは、ジョージの不運なお話。そしてそれが大逆転するお話。
幼少の頃、真冬に池に落ちた弟を助け片耳が聞こえなくなったジョージ。アルバイト先の薬屋のおじいさんが処方箋を間違えて劇薬を包んでも、ちょうど薬屋さんに不幸があった時で言いだせなかった心優しいジョージ。
そんな彼が大人になって。。。人徳はあるがお金儲けの下手な父が亡くなり、不本意ながら、自分の夢を犠牲にして父の遺志を継ぐジョージ。父の仕事は不動産融資。町の貧しい人たちに家を持ってもらうために安い金利でお金を貸す小さな銀行。彼は町の人々から、そして妻からも愛されているにもかかわらず、それを信じることが出来ないでいました。 何故って住む家はぼろ屋、妻に綺麗な洋服を買ってあげられるほど稼ぎはない、片耳の不自由な軽度な障害者で兵役にも行けず、なのに戦地に行った弟は名誉勲章。いつも他人のために生きている自分の分の悪さを感じてしまうのです。そんなある日、会社の伯父さんが8,000弗という大金を無くし、人生に絶望!!クリスマスの夜、荒れまくり家族を後にし、呑んだくれたあげく橋の上から冷たい川を眺めるジョージ。飛び込もうと思った瞬間、別の男が飛び込んだ?!思わず飛び込み彼を助けると。。。彼は何と神様から派遣された天使?!それも翼を持たない二級天使のクラレンス。この頼りない守護天使クラレンスはジョージを絶望の淵から救うために使わされたというのですが。。。

天使のクラレンスは、森の小人さんを普通の大きさにしたようなただのオジさんです。年齢は200歳を超えているそうです。可愛いです。そんな天使クラレンスが神様と相談しながら取った方法は「彼の存在していなかったら」の世界を体験させる事。この世界、ちょっと考えれば分かりそうな事なのにひとつひとつが衝撃的です。あえて書きません、これから見る人は同じショックを受けて下さい。元の世界にもどった時のジョージの驚喜を共に感じて下さい。そして暖かい人情を感じて下さい。自分がいるって素晴らしい!素晴らしき哉、人生!


(46/米 監/フランク・キャプラ)


★どん底

2006-12-24 | 映画30年代
昨日23日「素晴らしき哉 人生」が見てみたくて近所のレンタルビデオ屋さんに行ったのですが、残念、借りられていました。旧作だから一度借りると1週間。しかもここの店には1本しか置いていないので、12月いっぱいは無理かな?と。。。CSで今夜9時から放送されるんですね?!嬉しいっ!ま、それは置いておいて。

ジャン・ルノワール監督の「どん底」を見ました。いやはや面白かったです。黒澤明監督の「どん底」は以前に見た事があったのですが、暗くてあまり好きになれなかった映画でした。でもこれは同じゴーリキ原作ですが、かなり手が加えてあって違う世界観になっています。貧しさや陰惨さは押し出されず、人生楽しいかもって思わせてくれる映画でした。ある意味、爽快で愉快。なんたってジャン・ギャバンとルイ・ジューベが出てるんですもんね。この二人いいです!
貧乏でも貧乏臭くならないギャバンのペーペル。そして爬虫類系顔ルイ・ジューベの男爵。
ルイ・ジューベは特にいいです。あの凄まじい悪人顔の彼の色んな表情を見れて幸せ。本当の男爵だったころのカクカクとしたぎこちない動き、一瞬キートンに見えちゃいました。最後の博打で負けて煙草に火をつける事ができない彼。何もかも失って木賃宿に来てからの人間らしいのびのびとした彼。あくびをしたりツバはいたり。そして有名な最後のセリフ「役者が首を吊った」の何ともいえない深さと説得力。力を込めて、良いと言いたいです。こんな気持ちにさせてくれたルイ・ジューベ大好き。
 
ゴーリキ原作「どん底」はロシアの木賃宿に住む底辺の人間たちの群像劇です。この映画も木賃宿の人々や舞台になってはいますが、博打に溺れ一切合切を無くした男爵と泥棒のペーペル。この二人の奇妙な友情とそれぞれの幸せにスポットが当たっています。原作にはない面白みです。木賃宿に来て人間らしさを取り戻してゆく男爵。抜け出して新しい生活に向かうであろうペーペル。
いやあ面白かったです。もう一回みたい。
(1936年/仏. 監・脚/J・ルノワール. 原作/M・ゴーリキー)



※一度コメントをいただいたオカシネマさんの「鈍底」のブログを見つけました。ゴーリキーの「どん底」を明治日本に舞台に置き換えた舞台のようです。お芝居、頑張って下さい。
超新星自由座「鈍底」
今月の26日(火)、27日(水)あさってから公演?!すいません。もうちょっと早くに...

★34丁目の奇跡

2006-12-22 | 映画40年代
「サンタクロースはいるの?」と幼い子どもに尋ねられたら何て答えますか?私だったら「うん。いるよ」って言うと思います。新潟の田舎育ちの私はサンタさんなんて信じてなかったんですが、東京育ちのRちゃんは小学校の4年生くらいまで信じていたそうです。そこら辺は親の努力や環境のせいなんでしょう。小学生時代のクリスマスの朝、目覚めたら枕元にサンタさんのプレゼントとして、お釈迦様の伝記が置いてあった事があります。幼い私はクリスマスにお釈迦様かよ?!と突っ込みを入れる事も出来ず、嬉しそうな演技を強いられました。とほほ。
クリスマスにはこんな無粋な事をする親でしたが、その両親や地方性のおかげで閻魔様や地獄、化け猫、雪女、山姥やらは身近に感じていました。感謝。

この映画はまさに、実在しないけど存在する"サンタクロース"をめぐるお話です。自分は、子どもに夢や愛を贈るサンタクロースだと信じているおじいさん。サンタクロースその物のおじいさんはクレイジーではないかと州の裁判にまでかけられられるのですが、「サンタは存在するのか?」という問いに世論を巻き込み、そして何と...いる?! と言う答えがでます。そのおじいさんは本物のサンタか偽物か最後まで分かりません。とても不思議な気分にさせてくれる映画です。アメリカンな現実なのにファンタスチック!そのサンタのおじいさんに関わってくる登場人物やお話も良いです。娘と2人暮らしの現実主義でキャリアウーマンのお母さん。そしてお母さんに影響を受けた現実主義な女の子。近所に住むそのお母さんに恋する弁護士。お母さんは、サンタさんと彼に出会って「真実とは何?」という事を学んでいきます。彼とお母さんの恋愛発展劇、面白いですよ。女の子はこまっしゃくれていても子ども。本物かどうか真剣に見つめ悩み、ホント可愛いです。おじいさんの暖かい思いによって変わってゆく2人は、まさにサンタクロースマジックです。おじいさんをサンタクロースとして雇ったデパートの社長の商戦もかけたサンタさんへの考え方。掃除の少年の心優しさ。そして頭の悪い嫌な精神科医。みんな個性的でチャーミングです。中でも好きなのが、サンタ裁判で世論と現実の間でどうしたらいいか悩む州の裁判官。こんな公な場所でいて欲しいけど「いる」とも言えない立場、面白いですよ。この時期に見るには最高の映画です!

見えないけれどあるんだよ。見えないけれどいるんだよ。
見えない世界もヒトの真実。

94 年にも同題でリメイクされています。昔そっちを見ていたので、自分的印象はリメイク版「34丁目の奇跡」の方が強かったかな?

(1947/米 監/ジョ-ジ・シ-トン)

★スウィング ホテル

2006-12-21 | 映画40年代
寒さもひとしお。ストーブなしではやっていけない昨今。うちはアパートですが、使ってはいけない石油ストーブを使用してます。なんたってストーブの上に鍋をかけられるのがいい!部屋を暖めながら今日はトマトとキャベツと肉団子のスープを作ってます。さてさて本日21日、クリスマスがもうじきやってきます。今夜は フレッド・アステアとビング・クロスビーからクリスマス気分をいただこう。

と、言う事で「スウィングホテル」を借りてきました。これを観るのは始めてでしたが、クロスビーの歌う「ホワイトクリスマス」は涙が出る程よかったです。クロスビーの甘い声は毎年このシーズンよく流れていましたが、歌詞を知ったのは今日が初めて。楽しい子どもの頃のクリスマスを懐かしむ歌だったんですね。正月を目の前にして帰省を心待ちにしている私にとって、この歌は反則です。何だか子どもの頃が懐かしくて本当にほろりと涙が数滴。。。映像付きで見ると、当たり前だけどクロスビーってあまりに歌が上手いんでビックリしました!この歌が毎年流れるのが分かります。誤解を招くといけないので一言。この歌はメインテーマでもクライマックスのシーンでもありません。ただ、映画以上にヒットしたのは事実です。いい歌だ~。

お話は、
伊達男のダンサー、アステア演じるテッド。そして、歌はうまいけどクロスビー演じるちょっとモサいジム。この2人の愛する女性争奪戦!コネチカットの田舎にひっこんだジムの建てた手作りホール、ホリデーイン。年に15回祭日の日だけショーが開かれるここで、2人の争奪戦は繰り広げられます。そして最後は誠実に彼女を愛してる男性の勝利。

彼女、リンダ(マージョリー・レイノルズ)が選んだのはアステア?クロスビー?さてどっちでしょう?ま、それは見れば自ずと分かっちゃう映画です。収まる所に収まるというか。でもそれだけを楽しむ映画ではないのです。やっぱショーと歌!!アステアの伊達さはただ者ではなかった。映画冒頭の登場、ホール前の街頭でクリスマスイブを楽しむ子どもに合わせてタップを踏んだりして洒落てます!忌野清志郎並みの歌詞「君のダンスは最高さ♪君は僕のステップを知ってる♪このリズム~♪(※注:正しくありません。雰囲気だけ掴んで下さい)」と歌を歌いながらライラ(一人目のコンビの女性)と優雅なタップを踊る所なんか見ると、私もファンです!と叫びたくなります。後、ホリデーインにてのショーはお見事。2/12のリンカーン誕生日→黒人解放のリンカーンにちなんで黒塗り歌謡ショー!2/14の聖バレンタインディーのハートの舞台のロマンチックな踊り。2/22のワシントン誕生日のロココ調の衣装。7/4独立祭の爆竹踊り。。。こんなに見せてもらっていいの?!って感じでした。お話も流れがいいです。
余談ですが、クロスビーの顔がドラキュラっぽく見えて→主演:ビング.クロスビー「唄う吸血鬼」なんて映画があったら楽しいだろうに。。。と、一人ほくそ笑んでいるのは私です。

でも、この映画どうして「スウィング.ホテル」ってタイトルなんだろう?ホテルなんて出て来たっけ?はてさて??


(1942/米 監督/マーク・サンドリッチ)

★スモーク

2006-12-14 | 映画1990年代
「スモーク」をDVDで見ました。クリスマスのプレゼントを一足早くもらった気分です。高価でも派手でもないけど素敵な贈り物。人生の宝物とでもいいましょうか?いい映画でした。一見必要じゃないようにみえる煙草のように、見方によれば悪にも思えるタバコの煙のように、でも人生に味わいを添える煙草のように。。。ハーヴェイ.カイテルとウィリアム.ハートが中年大人のステキさを演じていました。ラストのカイテル演じるタバコ屋の主人オーギーの14年前のクリスマスの話は、胸が熱くなりました。そしてカイテルとハートが煙草をくわえながら目を見交わすシーン、あのふたりの表情、心暖まりました。小説の画像とともに流れるトムウェイツの濁声歌も滲みますねえ。身近などこにでも転がっていそうな話、どこにでもいそうな人たち。酸いも辛いも味のうち。だからこそ人生素晴らしい!あ、黒人少年のお父さんもいいですよ!

舞台は1990年。ニューヨーク、ブルックリンにある小さな煙草屋周辺。
14年前から一日も欠かさず店の前の一角を写真に撮り続けている煙草屋店主オーギー。数年前に銀行強盗のせいで奥さんを亡くし、書けなくなった小説家、ベンジャミン。そしてこの夏の物語に欠かせない 父親の顔を知らない17歳の黒人少年ラシード。
この少年の父親探しと彼の周辺で起こる小さな事件(と言っても現実的には大事件)を中心に話が進みます。この少年は、ぼんやりしていて車にはねられそうになったベンジャミンを助けたことから知り合いに。そしてオーギーもベンジャミンに彼を紹介され煙草屋に雇い。。。様々な事件を通し人柄を知ったベンジャミンとオーギーの間には信頼と友情が芽生えてきます。
そして、クリスマス間近の冬。
それまで書く気が起きなかったベンジャミンも立ち直り、ニューヨークタイムズに小説を書く事に。しかし締め切りまであと4日。オーギーに何かネタはないものか?オーギーは写真を撮り続けるきっかけになった14年前のクリスマスの事を話し始めます。それは盲のおばあさんと過ごしたオーギーの思い出。。。余命いくばくかのおばあさんにとっては、オーギーからの最後の幸せなクリスマスプレゼント。でも当人オーギーにとっては罪悪感の思い出。。。
ベンジャミンは「オーギーレーンのクリスマス物語」という題名で小説を打ち始めました。心温まるクリスマスストーリーを。。。

この時期見てよかったと思える映画でした。もし観ていない方いらしたら是非今の時期にお勧めです!ところで突然の寒さ、皆さんいかがお過ごしですか?私は、月曜日から調子が悪く、火曜の朝には喉。その後頭痛。昨日の夕方にはついにダウン。でも温かくして寝たら今日の朝には、馬鹿みたいにあっさり治ってしまいました。風邪ひきは、早めの時期に睡眠が一番!お体大切に!
(1995/米 監/ウエイン.ワン)