Cafe シネマ&シガレッツ

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★南部の人

2007-02-08 | 映画40年代
一日に、ジャンルノワールの映画をDVDで4本一気に観てしまいました。前述の「河」そして「南部の人」「自由への闘い」「浜辺の女」の4本立てです。RKOの「自由~」「浜辺の~」は、ルノワールでしたが、RKOでした。ちょっともったいない。

「南部の人」は、
貧しさにめげず、豊かに生きる家族のお話でした。
雇われることをやめ、土地を借りて自立して綿花を作ろうと引っ越してきた家族。でもそこには苦しい生活が待っていたのでありました。
まっすぐな性格の若い旦那さん。明るく健気な奥さん。愚痴をこぼして文句ばっかり言ってるけど憎めない蜂蜜好きなおばあさん。隣の偏屈なオジさん(大ナマズ“鉛筆”事件のおかげで憎めない人となる)とその家族。明るく前向きな奥さんのお母さん。そして、工場勤めの旦那さんの友人。
みんな生き生きしてて面白くて魅力的。
ぼろ屋に灯すストーブの火の暖かさ。ナマズや魚の住む、河の流れの美しさ。綿花の畑の綺麗な事!人も自然も美しい!
冬のひもじい食生活、子どもが壊血病、意地悪な隣人、次々と困難は起きますが。。。楽しい映画です!

人間って美しい!人生って素晴らしい!

(1945/米 監/ジャン.ルノワール)


★河

2007-02-08 | 映画50年代
ジャン.ルノワールの「河」を観ました。インドを舞台に、イギリスの少女2人と、インド人とイギリス人のハーフの少女、この3人の早春(初恋?)物語です。ルノワール監督って、自らをあまり語らないストイックな監督だと思っていたのですが、この「河」という美しい映画、語る語る。ナレーションや絵、セリフ、映画のすべてが監督の哲学や生き方をそのまま映しているのかな?なんて思う程でした。生きる事、人間への信頼と愛。祈り。生命、時間の流れ。とにかく美しい。。。『豊か』ってこういう事なのか?!って実感しました。監督の人柄も含めて。
なんて思ったら珍しく脚本には、監督は手を出していないようです。恥ずかしがり屋さんなルノワール。

この映画から話はそれてしまうのですが、お恥ずかしい事に、実は私はずっとルノワール監督の素晴らしさって分からなかったのです。映画らしい映画だけど、普通に面白く、重くなくて癖がない。巨匠と言われる由縁が全く持って分からない。。。
どうして気づいたかというと暮れに観た「どん底」のジャン.ギャバンとルイ.ジューベがあまりにも魅力的で、やってはいけないと思いつつ、レンタルしていたビデオをダビングしてみたのです。結果、まだダビング防止機能がついていない頃のビデオだったらしく出来ちゃったのでした(うわっ犯罪だぁ)。そいでもって4回も5回も観ちゃったのでした。観るたびに面白く何回でも観れちゃうのです。
そんなこんなしている時、芝居の「どん底」を見に行きました。映画や本でしか体験がなく暗いだけの話だと思っていたら、舞台上に人間が上がって生き生きと演じている姿はまさに『人間讃歌!!』ストーリーや登場人物を多少いじっているにせよ、ルノワールの「どん底」に近い印象を受けました。ルノワールって、人間や生きる事に対する信頼感や愛情のある優しい眼差しの監督なんだな、なんて思ったのです。
また、そんな時たまたま自主映画を創っている編集現場に長居する事がありまして、ただただ後ろで観ていたのですが、「自然な流れ」を創るために必死で手間暇かけて編集しているその監督の姿にちょっと感動してしまったのです。変な小細工や妙なアピールなしの短編映画に仕上がったその映画は、地味だけど素敵でした。人が生きて時間が流れる。。。これってもしかしてルノアール。手間暇かけて自然に観ている人に流し込む。あまりに自然なので気づかない人もいるかもしれないのに。。。ストイックな愛だぁ。涙が出ちゃいます。尊敬すべきは、ルノワール。今まで当たり前に観た映画、もう一回観たい。「ゲームの規則」「大いなる幻影」「フレンチカンカン」「獣人」ああ。。。

 (1951/アメリカ 監/ジャン.ルノワール)