Cafe シネマ&シガレッツ

30年代フランス映画
40年代米ミュージカル
戦後の日本映画
なんと贅沢!
黄金の輝き

★みずうみ

2006-09-28 | 
川端康成って聞くとノーベル賞作家で、「雪国」とか「伊豆の踊り子」とか、純文学と呼ばれる(?)小説を書くお固い方だと思っていたのだが。。。
びっくり!読み始めたらストーカーの銀平という男が主人公。はなっからその銀平さん、美しい女性の後を着けて、ハンドバックで殴られて快感!で、その落として行ったハンドバックから札束が。どうしようと思ったけど怖くてそのお金を持って逃走!今はトルコ風呂で魅力的な声の女の子に身体を洗ってもらっている。。。何だこりゃ、ただのエロ変態小説か~?
で、読み進めていくうちに、自分の教え子と出来ちゃって教職を追われたって事が判明?!そのうち、たまたま犬の散歩をしていた美しい少女に出くわし、その清楚な色香に酔って銀平さんは過去と想像と夢がごっちゃごちゃになるのだ。ところが、あれほど女性の美しさというものに幻惑されていた銀平さんは、肌の黄色い、胸もあるのかないのか分からないような骨の太い、長靴を履いた中年女性と床を共にするだろう。。。俺にとってこれが現実か?ってところで小説は終わる。

うわっ、これ何時書かれた小説なの?と解説を見たら、1954年に「新潮」に掲載されてたって書いてあった。50年前にもすでにストーカーっていたんだ?!
ただね、やっぱり川端康成って凄いのかな?はじめは嫌悪してた世界だけど、なんか美しさをだんだん感じて後半は何も他の事できずに一気に読んでしまいました。

★薄桜記

2006-09-26 | 映画50年代
「薄桜記」(1959/日)は、覚悟してかからねばなりません。
どうしてかというと、市川雷蔵扮する丹下典膳の話になるまでが妙竹林な映画で、ビデオを借りて観た時(数年前?)失敗しちゃったかな?と思ったのでした。
が。。。が、が、がっ!?
典膳は、自分のうちなる愛と正義を通すがゆえに(文字にすると何て偽善的?でも観ると違うのよ)どんどん土壷にはまって行き、
クライマックスの多人数との決闘のときは、月代もない浪人風の髪型、片手もなし、片足も怪我を負って、カタワ同然の姿で死んでゆくのでありました。
その雪の降る中での大殺陣シーンは、う、つ、く、し、い。。。美しすぎる。。。
何とも言えん哀れさ、心根の美しさ、切なさ、そしてビジュアル的な雷蔵さんの姿が、いっぺんに花開いたような。何だろう?何かに似ている。そうだっ!日本人の中学生以上なら誰でも感じる桜への感情みたいな、あの切ない揺り動かされるような感情の怒濤(この言語であってるかな?)
ああ、改めて題名の「薄桜記」の意味が分かった気がする。うひゃっ♪
と、素晴らしい映画でした。

何で今こんな事書いてるかというと、下北沢のトリウッドっていうミニシアターで、見つけたのです。「薄桜記」を渋谷のル。シネマで10月23日にやるっていうチラシを。
イベント名は「ニッポン。シネマ。クラシック」
その他にも、片岡千恵蔵のサムライミュージカル「鴛鴦歌合戦」などもやるらしいです。
「鴛鴦歌合戦」は、見てみたいなあ。まだ見た事ないから。楽しそうだし、知恵蔵さんは大好きだし。ああ、バイトとの兼ね合いうまくいけばいいなあ。

★ヨコハマメリー

2006-09-24 | 映画2000年代
 5月頃、チラシを見て興味を持ったけど残念ながら見る事が出来なかった「ヨコハマメリー」!
下高井戸シネマのモーニングシアターでやっている事を発見!
Rちゃんと秋空のもと、自転車をこいで観に行ってきました。
「ヨコハマメリー」(2005/日) ドキュメンタリーです。
横浜に、白塗りの化粧、レースひらひらのドレスを着たメリーさんと呼ばれている名物おばあちゃんがいた。どうして名物かと言うと、まず見た目の異様さ。背中は丸くなって老女そのものなんだけど、真っ白に塗った顔にパンクな目張りと真っ赤な口紅。歩いているだけで目を引いちゃう。ただその姿を毛嫌いする人と愛しちゃう人がいるの。舞踏家さん(名前忘れました。ごめんなさい)なんかは、”金ぴかさん”と呼んでたくらい奇麗に光って見えたらしい。SM作家の団鬼六さんは、メリーさんの好みの容姿をしていたために後ろを尾けられたらしいけど、団鬼六曰く「死霊についてこられたみたいで怖かったね。。。」
 メリーさんのプロフィールはというと、ドキュメンタリーだから、メリーさんに関わっていた美容院や化粧品屋さんなど、横浜の色んな人に訪ねて行くんだけど、あらましこんな感じだった。
横浜と伊勢佐木町の地理はまったく分からない私だから、書いてる事がちょっとチンプンカンプンな説明になっちゃうかもしれないけど、許してちょっ。
30歳代のメリーさんは、戦後の愚連隊や外パン(外人相手のパンパン)がたむろする伊勢佐木町で街娼をしていたらしい。お客さんはもっぱら外人の将校さんやらちょっと地位の高い男性。
で、ある時メリーさんは、本当に恋しちゃったらしい。相手の将校さんは横浜から出航する船に乗って、外国に帰ってしまった。それ以降横浜を離れられず、ずっと街娼をして暮らしている。
 こんなメリーさんが、ある日ぷっつり姿を消してしまったのだ。
横浜に住み慣れた人は、景色の中の大切な物がなくなったような寂しい感じを受けていたんだけど、特に、ガンジローさん(フルネーム忘れました)はメリーさんに対して深い思いがあったので、付け加えて癌におかされて余命いくばくかなので彼女に会いたいと願っていたのでした。
ガンジローさんは、ゲイのシャンソン歌手。年齢もおじいさんと呼んでもいいくらいの年齢です。
横浜では、メリーさんに並ぶくらい有名な人だそうです。

ああぁ、書いてるとどんどん長くなってレポートみたいになるから、ちょい省略。で、最後に。。。

癌で入院しているガンジローにメリーさんから手紙が届くのです。
そして、メリーさんが入園している老人施設にガンジローさんは慰安に行って、シャンソンを披露するのです。メリーさんの生き方を反影した歌詞を書き変えた「マイウェイ」を!
化粧を落として普通の奇麗なおばあちゃんのメリーさんは、微笑みながら何度も頷きながら聞いているし、もう長くは生きられないだろうガンジローさんもいつもの何気ないコンサートみたいに軽く優しく歌っている。
ただ映画見ていた私は、涙がボロボロあふれてきてたまんなかったです。

映画が終わり、劇場の灯りが点いた時、隣に座っていたRちゃんが、
「はぁ~(と、息を吐き)下高井戸に帰ってきたね」
と、言った時、本当にそうだと思うほど、映画の世界、堪能しました。
ああ、幸せ~!映画っていいなあ。
切ない映画だったけど何だか生きる勇気みたいなものが湧いてきたっ!


※後記 
11/20「ハマのメリーさん」という記事で、直にメリーさんと遭遇しているbonjiさんという方のブログを発見しました。やっぱりいたんだね、メリーさん!!当たり前だけどちょっと感動。

★風雲児たち

2006-09-22 | 漫画
みなもと太郎の漫画「風雲児たち」をRちゃんに借りて読ませてもらった。1600年の関ヶ原の戦いから始まって幕末まで、全30巻。あやぁ、江戸時代ってこんなに面白いの?!って感じです。
私の今までの知識では、何となく関ヶ原で徳川家康が勝利していつの間にか江戸時代になって、お犬様や水戸黄門がいて、元禄時代があって、文化文政があって、幕末の頃には、なぜかいろんな有名人たちが出没して倒幕を。。。くらいなものだったのですが(汗:)
作者のみなもと太郎さんは、幕末を描きたくて書き始めたらしいのですが、はまってしまったんでしょうね?江戸時代に。だって読んでると次から次へ面白い人が登場するもん。もともとギャグ漫画の人なので(実はあまり知らない)キャラクターが凄い顔だったりするんですが、人となりをキチンとふまえているので好きになります。けっこう固そうな歴史上の人物も癖のある人だったり、嫌な老中だと思ってた人が実は先進的な考えの頭の柔らかい好人物だったり、お偉い人と思ってた人が実は。。。なんて。
読んでみて下さい!!絶対損はしないよ~っ!

★丹下佐膳余談 百万両の壷(大河内伝次郎)

2006-09-20 | 映画30年代
大河内伝次郎のチャンバラは、ジャンプして相手に飛び込んで斬るのだった。
斬られる方は怖いだろうなあ。だが観てる私はわくわくしたのだ。
と、言ってもチャンバラシーンはあまりなく、どっちかと言うと江戸時代が舞台の軽妙洒脱なコメディーなのだった。ほうっ、素敵!あんな風に楽しく味わい深く生きれたらいいなあ、なんて思うのだ。

もし、自分の目の前に百万両の壷があったらどうする?
(1934/日)