コロンビアは昨年10月、内戦終結をもたらしたサントス大統領のノーベル平和賞受賞で久しぶりに世界の脚光を浴びた。
だが、それはあくまでも政治の世界の話。内戦で着の身着のままで逃げてきた避難民の生活はほとんど改善されておらず、
どの都市の周辺にも彼らが暮らすスラムが広がる。コロンビアの治安は殺人率の激減に表れているように確実に良くなっているが、
家も職もない避難民の一部が絶望し犯罪に手を染めてきたのは事実だ。
コロンビア内戦では半世紀あまりで約22万人が殺害された。このためどうしても銃撃戦のイメージが先に立つが、戦争の暗部が
露骨に現れるのは、一般人への恐喝、略奪行為だろう。コロンビア国立歴史記念センターによると、戦乱に紛れて一般人を殺害した
勢力は右派民兵組織が圧倒的に多く、以下、左翼ゲリラ、政府軍の順になる。
内戦は単に政府軍とゲリラの戦いではなく、ゲリラから身を守る「自警団」を名乗って大きくなった右派民兵が絡む三つ巴状態で、
一般人にとってはこの民兵が一番たちが悪い。彼らにいきなり、家に押し入られ財産も畑も奪われ、暴行を加えられて逃げて来たと
いうのが国内避難民の一つの典型なのだ。
形の上で内戦が終わったとは言え、こうした人々はまだ帰還できる段階に至っていない。民兵ら武装集団が依然として幅を
きかせているからだ。
そんな折、コロンビアは、隣国ベネズエラの圧政から逃げてくる難民も受け入れ、その数は約20万人に上る。
この国はどうやって避難民の暮らしを回復させるのか。傍観せず、「孤独」に追いやらず、少なくともその情報を見続けることが
大事だ。
避難民の問題がなかなか解決できないコロンビアですが、ちょっと明るいニュースもあります。
コロンビア第2の都市と言われるメデジン。ここは街の夜景がきれいなところです。
街はすり鉢状になっていて斜面の丘はスラム街になっています。
住民は徒歩で街の中心まで降りて帰りは徒歩で丘に登っていきました。下りで1~2時間かかったそうです。帰り(登り)はもっとかかります。
当然、行動範囲が狭くなり、働く場所も限られてきます。
2011年ごろ、スラム街がある地域にロープウェイと野外エスカレータができました。
これで街に出る時間がぐっと短縮」され、行動範囲が広がり、職業も選択肢が多くなり、段々収入を得られるようになって、経済的に余裕が出てきました。
犯罪も減少してきて、治安も改善されてきました。スラム街の問題を抱えるブラジルがこの事業を視察にきたそうです。
コロンビア国家全体としては小さな改善かもしれませんが、少しづつでも積み重ねていければいいなと思います。