23日にシリア和平協議=停戦維持が焦点-カザフ
2017/01/22-14:36 時事通信
【カイロ時事】カザフスタンの首都アスタナで23日、シリア内戦の収拾に向けたアサド政権と反体制派の和平協議が始まる。政権を後押しするロシアと反体制派を支援するトルコが仲介。昨年12月末に発効した双方の停戦維持で合意できるかが焦点だ。
和平協議で、政権側はジャファリ国連大使が代表を務め、反体制派は有力武装組織「イスラム軍」指導者のアロウシュ氏を中心とする交渉チームを派遣する。両者とも、国連の仲介によりジュネーブで昨年行われたが失敗に終わった協議でそれぞれ交渉責任者を務めた。
AFP通信によれば、双方は今回、国連が仲介した際の間接協議ではなく、初めて直接対話を行う。アサド政権は従来、アロウシュ氏を「テロリスト」と見なして対話に難色を示してきたが、ロシアの意向を背景に姿勢を転換。協議を通じ、武装解除などを要求する見通しだ。
シリアでは12月末の停戦入り後も首都ダマスカス郊外で政権側の攻撃が続いた。アロウシュ氏はトルコのアナトリア通信に対し、首都郊外でも「停戦を確かなものにしたい」と強調した。ただ、反体制派の一部はこの攻撃に反発し、協議参加を見合わせている。
反体制派は、アサド大統領の退陣による内戦の政治解決を最終的な目標に掲げる。しかし、停戦を前に、ロシアやイランの支援で北部アレッポを制圧するなど軍事的に優位に立つ政権側が、現段階で退陣に応じる可能性はない。政治解決に向けた歩み寄りは困難な状況だ。
和平協議は、まず停戦合意を維持し、国連が2月上旬開催の方向で準備を進める今後の協議につなげられるかが当面の課題となる。
シリア停戦維持で合意 米国抜きの構図、鮮明に
2017年1月24日21時39分 朝日デジタル
シリア内戦をめぐり、カザフスタンの首都アスタナで開かれたアサド政権と反体制派の和平協議は24日、昨年末に発効した停戦合意を完全に履行させるため、仲介役のロシア、トルコ、イランによる停戦監視の仕組みを設けるとした共同声明を発表し、閉会した。声明はこの3カ国の連名で出され、政権と反体制派は含まれていない。
今回の協議でトランプ米政権は、駐カザフスタン大使のオブザーバー参加にとどめた。停戦を主導したロシアとトルコが、米国抜きでシリア和平を進める構図が鮮明になった。
声明は「シリア内戦に軍事的解決はなく、政治移行プロセスを通じた解決しかない」ことを確認。停戦の対象から除外した「イスラム国」(IS)や「シリア征服戦線」(旧ヌスラ戦線)などの過激派組織について、「(ロシア、トルコ、イランの)3カ国共同で戦闘を続け、(一部で協力する)反体制派の武装組織から分断させる」ことも盛り込んだ。
また、スイス・ジュネーブを拠点とする国連主導の和平協議について、これまで反体制派からは政治組織が参加してきたが、2月8日に再開する次回会合から武装組織が参加することを「支援する」とした。
シリアでの戦闘は約6年に及ぶ。米ロが主導した過去2回の停戦は短期間で崩壊した。今回の停戦は、アサド政権を支えるロシアと反体制派を支援するトルコが主導。両国は影響力を駆使し、政権と反体制派を今回の協議で対面させた。
停戦発効後、戦闘はおおむね収まったが、もろさも抱える。複数の協議参加者によると、23日の非公開協議で反体制派のアッルーシュ団長が「アサド(大統領)のために戦う者は全て戦争犯罪者だ」と発言。政権側のジャファリ国連大使が「お前たちはテロリストだ」と反発し、非難の応酬となった。
協議には、反体制派から「イスラム軍」など約15の有力武装組織が参加したが、当初から政権打倒を掲げる「アフラル・シャーム」などは参加を拒否。反体制派は一枚岩ではなく、協議に参加した組織も離反する恐れがある。
シリア北部で一定の支配地域を確立している少数民族クルド人の組織は、協議に招かれなかった。国内でクルド人の分離独立運動を抱え、クルド人組織をテロ組織とするトルコの意向にロシアが配慮したとみられる。クルド人組織幹部は「アスタナでの決定を拒否する」としている。