日本陽明学の祖といわれる中江藤樹。
生まれながらにしてすべての人が、その内に持っている神明(良知・仏性)を
明らかにすることによって、自分自身を成長させ磨いていくことが大切。
そのためには、知識を蓄えるだけでなく、学んだことを実践していくこと。
特に「孝」が大切だと言っています。中江藤樹は、徹底した実践家だったようです。
でもこの「孝」というのは、親孝行という意味だけではなくて
命の根源である親、つまり神と考えていいと思いますが・・
この神の意思に沿った生き方をすることが大切であるという事のようです。
著者は、「藤樹の哲理は命の根源なるもの(天)から与えられた命を生かしきって
生きる道を指し示す実践的人倫の学である」と言っています。
そして、藤樹の思想は、陽明学そのものと言うより藤樹学であり、キリスト教に近いとも。
万物を生みだした命の根源の意思に沿うように生きなさいというのであれば
その命の根源は、私たち人間に何を望んでいるのでしょうか。
はたして、遺伝子をいじって動物のクローンをつくったり、
戦争をしたり、原爆を作ることを望んでおられるかどうか。
人間は、手を出してはいけない範疇にまで入り込もうとしていると感じます。
畏れることを失くしてしまった人間は、どこへ向かっているのでしょうか・・・・・