アーム通信(海外会員インドだより)

国際子ども権利センターの元運営委員の成田由香子が、インドのデリーで滞在する暮らしの中で体験することを伝えます。

DUSSHERA(ドゥシャラー)

2005-10-21 04:57:51 | Weblog
先日の10月12日は、DUSSHERA(ドゥシャラー)というヒンドゥ教の大きな祭日でした。今回は、ちょっと遅れてしまいましたが、この時期、多くのインド人にとってとても大事な行事DUSSHERAについてご紹介します。

◆DUSSHERA(ドゥシャラー)って?
DUSSHERAは、インド中でお祝いされるヒンドゥ教の大きなお祭りの一つで、ほとんどの学校やオフィスが休日になります。毎年、ヒンドゥ教の暦で日にちが決まりますが、暑い夏が終わり冬に入る前(日本では秋ですね)の時期に行われます。ですので、DUSSHERAが来ると、インドの人たちは「もうすぐ寒い季節がやってくるわ~。」という気持ちになるそうです。

DUSSHERAは、ラーマヤナーの物語に出てくる英雄ラーマが、悪魔の神様ラヴァーナを10日間かけて倒し、誘拐されていたラーマの妻シータを救った!というエピソードを祝うものです。つまり、善が悪に勝利したことを祝うのです。DUSSHERAという言葉の意味は、「10日目」です。その前の9日間は、ドゥルガーという神様を祈る「ドゥルガー・プジャー」がヒンドゥ寺院で行われ、人々は寺院や家で熱心にお祈りをします。

◆お祝いの仕方
巨大な悪魔ラヴァーナ神やその他の悪魔をかたどった像に火を放って退治する行事が行われ、クラッカーや太鼓などの音で外はにぎやかになります。特に、悪魔退治の演出方法は、どこも熱心に行われるそうです。また、人々はこの10日間、飲んだり、食べたり、踊ったり、歌ったりして楽しみます。10日目まで行われる儀式やお祝いの方法は、地域によって異なるようです。ある地域では10日目に断食をしたり、またある地域では夕方時から夜までずっと踊りを踊ったりするそうです。
私は、DUSSHERAの日、南インド出身のインド人家族と過ごしたので、南インド地方のお祝いを経験しました。

◆インドのひな祭り
南インドのお祝いの仕方は、です日本のひな祭りのよう。段飾りには様々なヒンドゥ教の神様の人形が置かれ、花や電灯などで装飾されます。女性は、ご近所や友人や親戚の家を訪問し、ココナツ、バナナ、お菓子などをギフトとしてその家の女性からもらい、おでこに赤い粉(南インドでは「クンクン」と呼びます)をつけてもらいます。また逆に自分の家でも相手を招待してギフトを交換します。主に女性のための儀式ですが、子どもや男性も一緒に訪問して、おしゃべりをしたり、歌を歌ったりして時間を過ごします。10日目には、家にある段飾りの人形は横に倒されます。
また、よく勉強できるようにお祈りする儀式もあります。祭壇の前に教科書や本などを納めてお祈りするのです。そして10日目には、子どもは伝統的な踊りや音楽を披露して、学習を始める行事を行います。

写真は、私が訪問したお家にあった段飾りです。おもちゃみたいにかわいいヒンドゥ教の神様の人形が並んでいます。真ん中の段には、ガネーシャという象の顔をした神様がクリケットをしています。お茶目ですね。私がいただいたギフトには、スナック菓子、バナナチップ、葉に包んで入っていたビンロウなどの木の実、ポット、などです。ヒンドゥ教の寺院にも行きましたが、写真撮影は禁止でした。皆で歌も歌いました。私も日本語の歌で定番の「ふるさと」を歌いましたが、みな一生懸命耳を傾けて聞いてくれるので恥ずかしかったなー。また、歌を習っている友人のサンスクリット語の歌はとても美しく、目をつぶってしみじみ聞いていました。

それにしてもこの期間のインドのお母様たちは忙しいなあと思いました。祭壇に飾る花、ギフトや菓子を作る用意、家を掃除してお客さんが来る用意、そして自分のおしゃれもしなくてはならない。10日目には、友人のインド人家族のお母さんは「ふー、今日は疲れたよー。」なんてポロッと一言。とこのようなインドのお母さんたちの活躍あってこそ、みんなが楽しめるお祭りなのだ思いました。

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