Good News Ministry

聖書的観点から見た世界の社会的、政治的、文化的、地域的現実を捉え、祈り備える。

都内私立大学で増加している「女子大生風俗嬢」

2015年12月16日 | 社会問題
「風俗という仕事があって、本当に良かった……」

山田史織さん(仮名、22)は、微笑みながらそう語る。都内の有名私立大学4年生。育ちの良さそうな清楚な風貌で、いくつか志望企業に内定をもらっている。大学の授業料を払い、普通の学生生活を送ることができたのは風俗のおかげだった。中学2年生のとき、父親(53)はリストラされた。製造業にも派遣を認める派遣法改正の影響だった。何年就職活動しても正社員になることはかなわず、非正規職を転々とした。やがてアルコール依存になり、生活費を入れなくなった父親に代わり、看護師資格を持つ母親(50)が時給のパートで生活を支えた。収入はせいぜい月15万~18万円。娘を私立大学に通わせるお金は家庭になかった。高校は進学校で、大学進学は当たり前の環境だった。祖父母が援助してくれたのは入学金までで、授業料は奨学金とアルバイトで何とかする計画だった。

日本学生支援機構から毎月10万円借りた。“奨学金”と名付けられているが、返済義務のある有利子の借金は4年間で480万円にもなる。入学してすぐに自宅近くの飲食店で働き始めたが、アルバイトは時給900円。授業を優先すると1日3~4時間しか働けず、せいぜい月3万円にしかならない。授業料は年間100万円強。途方にくれた。「大学2年生になる直前の春休みに、学校の掲示板にあった私費留学のポスターを見た。30万円が必要だったけど、どうしても行きたくて、もう風俗店で働くしかないって瞬間的に思いました。心からお金が欲しいと思った」その日のうちに渋谷のデリバリーヘルスに応募して、採用された。

翌日出勤して3人の見ず知らずの中年男性の相手をして、店長から3万6000円のお金を日払いでもらった。「こんなにお金がもらえるの、って驚きました。1カ月くらいで最初の目的だった30万円は超えた。でも、全然風俗を辞める気が起こらなくて、まだ続けています。奨学金の返済があるから就職しても辞めません」山田さんのように経済的に追い詰められて風俗を始める「女子大生風俗嬢」は、特に都内の有名私立大学で増えている。なぜなら、40年前と比べて、国立大学の学費は15倍、私立大学でも4倍以上に跳ね上がっているからだ。

一方で大卒男子の初任給は2倍強にしかなっておらず、物価上昇を考えても大学で学ぶためのコストは急騰している。さらに、景気の悪化で世帯収入は全国的に下落。首都圏の大学に通う新入生では、仕送りの額が1994年の12万4900円をピークに減少。2013年には過去最低の8万8500円となり、3割も減っている。大学進学率が5割を超える時代に、“普通の生活”ができる給料を得ようとすると4年制大学卒業は必須条件。「平成型苦学生」が増えているのだ。そうやって苦労して“普通の就職”ができたとしても、一度心身の不調やリストラ、親の介護などで仕事を失えば、生きる術を奪われかねない。特に都会では、生活コストは重くのしかかってくる。30代、40代の働き盛りの世代にとっても「下流化」は人ごとではないのだ。(12/16/2015 Reuters)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿