Good News Ministry

聖書的観点から見た世界の社会的、政治的、文化的、地域的現実を捉え、祈り備える。

「中国が尖閣諸島を攻撃すれば日本を防衛する」米太平洋軍司令官

2016年01月28日 | 世界情勢
米太平洋軍のハリス司令官は27日、ワシントンで講演し、中国公船が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺の日本領海への侵入を繰り返していることについて、「(日本が)中国の攻撃を受ければ、米国は間違いなく日本を防衛する」と言明した。ハリス氏は尖閣諸島の主権問題について「米国は特定の立場を取らない」と、従来の米政府の見解を改めて示しつつ、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であり、日本を防衛するとの立場を強調した。また、中国が滑走路を建設するなど、着々と整備が進められている南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島のうち、ファイアリークロス(同・永暑)礁について、「明らかに軍事拠点化しているか、軍事支援をできるように整備されている」と述べ、中国に対する強い警戒感を示した。(1/28/2016 産經新聞)

「終末時計」残り3分

2016年01月24日 | 世界情勢
人類が滅亡するまでの時間を象徴的に表すといわれる「終末時計」が、残り3分になった。アメリカの科学誌、原子力科学者会報が1月22日、発表した。時計の針が動いたのは3年ぶり。針が進められた原因には核軍縮の取り組みが停滞していることのほか、地球温暖化を防ぐ取り組みが不十分であることなどを挙げており、課題解決の取り組みとして、原発から出る核廃棄物に関する議論を行うことなどが求められた。

終末時計は核戦争など人類が生み出した技術によって世界が滅亡する時間を午前0時になぞらえ、残り時間を「0時まであと何分」という形で象徴的に示すもの。人類滅亡の危険性が高まれば針を進め、心配が軽減されれば逆に針を戻すが、ノーベル賞受賞者などを含む同誌の委員会が定期的に状況を分析し、時間を設定してきた。

1947年に創設された当初は「残り7分」に設定され、東西冷戦による核戦争の危機が評価の基準だった。今まで最も0時に近づいたのはアメリカとソ連が熱核爆弾の実験を行なった1952年の「残り2分」。最も0時から遠のいたのはアメリカとソ連が戦略兵器削減条約に署名した1991年だった。その後、気候変動や環境破壊などの要因も評価の基準に加えられ、福島第一原発の事故後の2012年には終末まで5分に進められた。

今回の変更について声明は「滅亡を招く可能性は非常に高く、危険を減らす行動を今すぐにでも起こすべき」として、各国指導者にスピードと規模の両面で核兵器削減や地球温暖化対策に取り組むよう求めている。また、声明は原子力政策について「失敗している」と指摘。コストや安全性、放射性廃棄物、核兵器への転用への懸念などをあげ、「原発の広がりが気候変動対策の大きな構成要素になるということに、合理的な人々は賛成しない」として、核廃棄物に関する議論を行うよう求めた。(1/23/2016 The Huffington Post)

ローマ法王 シナゴーグ訪問

2016年01月19日 | 世界情勢
ローマ法王フランシスコは17日、ローマのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)を2013年の就任後初めて訪れ、ホロコーストの生存者やユダヤ教ラビ(律法学者)らと面会した。イスラム過激派によるテロが世界中で相次ぐ中、法王は「暴力は、いかなる宗教の価値とも相いれない」と強調し、宗教の名を借りたテロ行為を批判した。さらに法王は、「(母国アルゼンチンの首都)ブエノスアイレスにいた時、地元の人々と会うためによくシナゴーグを訪ねた」と語り、異なる宗教間の対話と共存を呼びかけた。ローマのシナゴーグを訪問した法王は、故ヨハネ・パウロ2世、前法王ベネディクト16世に次いで3人目。今回の訪問の背景には、バチカンが昨年6月、パレスチナを「国家」として認める条約を結んだことに対するイスラエル側の不満を和らげる狙いもあるとみられている。(1/18/2016 Reuters)

SNSの写真を死後マスコミに勝手に使われる不気味さ

2016年01月18日 | 社会問題
長野県で起きたスキーバス転落事故に関連し、大手マスコミが犠牲者たちの「顔写真」をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)から入手して掲載したことがインターネット上で物議を醸している。法律上では「許諾なしで利用できる」と考えられているようだが、何気なく公開していた写真がマスコミに使用されることに対し、違和感を持つ人もいる。

2016年1月15日未明、軽井沢町でスキーツアーの大型バスが道路脇に転落し、運転手2人と大学生12人の計14人が命を落とした。これを受け、朝日、読売、毎日、産経の4紙は、亡くなった大学生の生前のエピソードと顔写真を17日付朝刊に掲載した。実は写真の多くは、犠牲者本人がフェイスブックやツイッターで公開していたものだった。テレビ局でも同様の写真を使用していた。掲載された大学生たちは亡くなっているため、本人からの許諾は当然得られていない。無断だとすれば使用に問題はないのか。

すべての人には「承諾なしに、みだりにその容貌、姿態を撮影、公表されない権利」とされている肖像権がある。日本の法律でこれを明文化したものはないが、判例によって認められている。そのため大手マスコミは肖像権を不当に侵害しないことを自社の報道ガイドライン等に記している。その上でマスコミは大きな事件や事故が起きた際、被害者や加害者の顔写真を報道してきた。マスコミには「公共・公益のため」という大義名分があり、写真掲載も法的に問題ないと考えられている。

今回のようにSNS上の写真を使用することも同様の認識のようだ。日本新聞協会の公式サイトには、元知財高裁判事の三村量一弁護士の話として「ソーシャルメディアに投稿された顔写真についても同様に、報道目的であれば許諾なしで利用できると述べた」と記されている。なお、写真は著作物だが、報道や批評、研究などのための正当な範囲内であれば引用が認められている。4紙のうちでは朝日新聞のみ「フェイスブックから」「ツイッターから」と一つ一つに出所を明示していたが、これは引用条件に配慮したものとみられる。

しかし、法律上は問題なかったとしても、倫理的な観点から疑問視する人は多い。ネット上では、大学生たちの写真の入手先がSNSだと分かるやいなや、違和感を指摘する声や批判的な意見が数多く上がった。「死んだらFacebookの写真はフリー素材になる」「最近のマスコミは被害者顔写真をカジュアルにFacebookからパクってくる」といった皮肉も少なくなく、「死後情報公開意思表明カード」が必要になるとの提案も飛び出した。元新聞記者で法政大学准教授の藤代裕之氏は17日、Yahoo!ニュース個人に寄せた記事の中で、「個人が身近に使っているソーシャルメディアの写真を死後に『勝手に』使われる気味悪さ」を指摘。その上で、

「現状のルールでは『引用』の範囲内だとしても、社会的に課題があるとすればマスメディアは扱い方を検討すべきですし、社会的な制度としても議論されるべきです」と主張した。ジャーナリストの佐々木俊尚氏も17日、自身のFacebookで「このようなかたちでSNSから被害者顔写真を転載することへの倫理的な是非についてはもう少し議論していかなければならないんじゃないかな」とコメント。さらに記者側の観点として、「『ガンクビとり』(編集部注:記者が加害者や被害者の顔写真を家族・知人から入手することを表す業界用語)という苦痛と悔悟をともなう行いが、Fbからの転載という机上の非常に簡単な作業に変わることによる『安易さ』が記者の側の当事者意識に何をもたらすのか、という視点も必要」と述べた。(1/08/2016 J-CAST News)

ケルン 難民による暴行事件739件

2016年01月15日 | 世界情勢
DPA通信は14日、ドイツ西部ケルンで外国人の男らが集団で女性を囲んで性犯罪に及んだり金品を強奪したりした事件で、被害者は739人に上ると報じた。検察当局の話として伝えた。事件は昨年12月31日に発生。約千人の男らが花火を人混みに打ち込むなどして暴れ、複数のグループが女性を囲み犯行に及んだ。容疑者の多くが難民保護申請者とみられ、難民らの受け入れに寛容なメルケル政権に対する批判が強まっている。(1/15/2016 AFP News)

北朝鮮「水爆も爆発させる気概」

2016年01月12日 | 世界情勢
北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、論評を配信し、6日実施した核実験により「小型化された弾道ミサイル搭載用の水爆まで備えた」とし、「わが科学者、技術者らは地理的制限がなく、領土さえ広ければ、米国全土を一気になくしてしまえる数百キロトン、メガトン級の水爆も相次いで爆発させる気概に満ちている」と主張した。今回の核実験をめぐっては、地震の規模などから「水爆」とする北朝鮮の発表に懐疑的な見方が出ている。論評は、地理的条件の制限のため実験を小規模で行ったと示唆した形だ。(1/12/2016 共同通信)

日本の支援によってイラクに建設された母子病院が爆破

2016年01月08日 | 中東情勢
サウジアラビアでのイスラム教シーア派指導者の死刑執行に端を発し、同国がイランとの国交を断絶し、それにバーレーンやスーダンや続くなど、宗派対立は激しさを増している。こうした対立が、いわゆる「イスラム国」(IS)を利する可能性もあると指摘され、新年早々新たな”処刑”の映像も公開された。シリアの和平は全く見通しが立たず、難民の流出は今も続く。中東がさらに不安定化する懸念と共に明けた2016年。日本はこの現状とどう向き合っていくべきなのだろうか。それを考えなければならないが、「日本は、情報鎖国の状態を何とかしないと、みんな何が問題なのかも分からないんじゃないですか」と指摘する人がいる。イラク戦争が始まって以降、同国への支援活動を続けている高遠菜穂子さんだ。

高遠さんは2003年5月に初めてイラクに入り、ストリートチルドレンへの支援を始めた。翌年、ファルージャで他の2人の日本人と共に、武装勢力に拉致・拘束され、帰国後も日本で激しいバッシングに遭った。そのダメージは大きかったが、後に立ち直って、支援活動に復帰する。2009年から再び現地での活動を行い、ISが勢力を伸ばしていくさなかのイラクの様子を見、人々の思いに触れてきた。その高遠さんに、昨年末、話を聞いた。

2013年10月にオープンしたファルージャ母子病院は、かつては町で唯一の総合病院だった。それが別の場所に移転新築されたため、その跡を全面的に修理、改装し、最新の設備なども入れて、母子病院を作ることになった。ここに、日本は約19億円を支援している。地域の母子保健サービスの中心的役割を果たすことが期待され、表の看板には、イラクの国旗と併せ、日の丸を描かれていて、日本に対する感謝の気持ちも記されている。同じ敷地には、重度の先天性疾患の子どもたちを治療する専門クリニックもできた。新総合病院を拠点にして活動していた高遠さんも、このクリニックを訪れて、子どもの支援を医師たちと話し合った、という。



ところが、昨年8月13日、この母子病院が空爆された。高遠さんは、この時は日本にいて、インターネット・メディアの報道で、新生児や妊産婦を含めた22人が死亡し、55人が負傷したと知った。ファルージャの医療関係者の知人からも、「日本の病院がやられたぞ」と連絡があった。こうした事実は、日本ではまるで報道されていない。高遠さんが現地の人たちから集めた情報によれば、攻撃をしたのは、イラク空軍ヘリだという。ネットメディアの報道や人権団体の調査結果でも、攻撃主体はイラク軍とある。シリアでは、反政府勢力との内戦の中、政府軍の攻撃で多くの市民が犠牲になっている、という。では、イラクでは、なぜ軍が自国内の病院を攻撃したりするのか?

「イラク政府は『対テロ』と言いながら、実際はスンニ派の人たちが住む地域を攻撃する”スンニ派狩り”をやっていきました。村が襲われて男が皆殺しにされる、などということもありました。病院も、何度も攻撃されています。これは、イスラム教の宗派対立、いわばイランとサウジアラビアの代理戦争でもあるんです」ファルージャは、スンニ派住民が多い地域で、市民による政府批判のデモも展開されてきた。それに対する攻撃だとすれば、シリアのアサド政権のやっていることと変わりがない。それがイランとサウジの代理戦争になっているという点でも似ている。しかし、シリアと異なり、イラクでは独裁政権は倒され、民主化されたはずではなかったか?

確かに、サダム・フセイン政権はアメリカの武力によって崩壊し、民主主義や法の支配、法の下の平等などを謳う新憲法が制定され、選挙を経て、2006年にシーア派のマリキ首相が実権を握る政府が樹立された。だが、その後のイラクに、アメリカが思い描いていたような民主主義は花開かなかった。サダム・フセインは独裁者ではあったが、その政権は世俗主義であり、少数のスンニ派が多数派のシーア派とクルド人をアメとムチを駆使して統合していた。キリスト教や少数民族は保護され、政権のナンバー2はキリスト教徒だった。一方、マリキ政権下のイラク政治は宗教色が濃くなり、露骨なシーア派優遇策をとった。汚職もはびこった。女性の人権はフセイン時代よりはるかに後退し、9歳以上の女の子を親の承諾で結婚できるとする幼児婚を復活させる法律もできた。こうした政治の改革を求める活動家は、次々に拘束されて拷問を受けたり、虐殺された。キリスト教徒も迫害された。

宗教対立は、市民生活にも及んだ。テレビの番組では、双方の宗派の過激な宗教指導者が、相手を激しく罵るスピーチを繰り広げた。かつては、宗派が違う男女が結婚することは珍しくなかったが、そうした家庭も崩壊の危機に瀕した。高遠さんは、ある時、スンニ派の知人男性から、次のような相談の電話を受けた。シーア派の妻が、一人娘を連れていなくなり、その後電話をかけてきて「離婚して欲しい」と言う。娘と話したいと言っても、なかなか電話口に出してくれない。何度かやりとりしているうちに、やっと聞こえた娘の声。だが、その娘からは、こう言われた。「パパ、スンニ派って悪いんでしょ。学校で習ったもの」「こんな風に絶縁してしまう家族が増えている。過激思想が、イラクの家族を引き裂いているんです」

マリキ政権はアメリカの支援を受ける一方、イランとも緊密な関係にあった。その影響力は次第に強くなっている。町中を走る車もイラン製が増え、2012年頃、高遠さんは、タクシーが全部、サイパという黄色いイラン車になっていたのに気づいた。「シリアのアサド政権は、(アメリカを中心とする)有志連合から批判をされていますが、実はこのアサド政権とマリキ政権は蜜月状態でした。そのバックはいずれもイラン。バグダッドでもプーチン大統領は人気で、肖像画が飾られるくらいです」
高遠さんによれば、2012年12月、スンニ派の財務大臣の自宅や財務省が襲われ、職員150人が拉致されるなどの事件が起きたのをきっかけに、ファルージャで支持者らがデモを始めた。これに対し、政府は軍が発砲するなど強硬な武力鎮圧に乗り出し、多くの死傷者が出た。高遠さんが2013年11月にファルージャ新総合病院にいた時にも、政府軍による攻撃があった。朝から銃声が聞こえ、緊急救命室(ER)に行くと、多くのけが人が運び込まれて床は血の海だった、という。



「そして、2013年12月28日に初めて空爆がありました。それまでは、どんなに激しくても陸からの攻撃でしたが、政府は『デモ隊のテント村がアルカイダの拠点化している』と言って、空からの攻撃を始めたのです」その後、戦いは激しさを増した。地元の部族側も武装して応戦し、バグダッドとアンバールの県境では、激しい戦いで、双方に死傷者が出る激戦となった。「ファルージャでは、警察も、地元と一緒に政府軍を迎え撃ち、その隙を突いてISが入り込んで、自分たちの旗を警察署に立てたんです」高遠さんは、2014年初めからクルド人自治区で、国内避難民の支援活動を行った。1月2月の2ヶ月で、ラマディとファルージャから40万人もの避難民が、同自治区に押し寄せてきた。ファルージャ出身の知人とクルド人自治区の主都アルビルに近いリゾート地シャクラーワを訪れると、ファルージャからの避難民であふれかえっていた。その知人は次々に故郷の知り合いと会い、「まるでここはファルージャみたいだ」と言っていた。ホテルにもアパートにも、複数の家族がぎゅうぎゅう詰めになって寝泊まりしていた。そのうち、避難民は320万人を超えた、という。

「この時、欧米のメディアは、『ISがファルージャを占拠した』ということばかり報じていました。でも、逃げてきた人たちにとっては、ISは『迷惑なジハーディスト』という存在ではあっても、もっと切実なのは、政府による空爆でした。避難民は口々に『ジハーディストのことより、とにかくヘリで空爆するのをやめさせて欲しい』と訴えていたんです」この戦いでは、イラク兵にも犠牲者が出た。シーア派の民兵が駆り出され、イランの革命防衛隊もイラク入りした。政府軍や民兵による、スンニ派住民への虐殺や略奪が続いた。子どもが虐殺のターゲットになることもあった。そうした蛮行の後、『スンニ派の血を減らせ』などと歌って回る者もいた、という。ラマディに住んでいた高遠さんの友人も、家に帰ったら弾痕だらけで、家の中はパソコンからテレビから全部なくなっているのと見て、怖くなって逃げた。

しかも、残虐な殺害行為や死体を引きずり回したり、首をさらしたりしている状況を、彼らはスマートフォンで撮影し、FacebookなどのSNSで公開した。アメリカのABCテレビが、そうした映像を集め、実行者の制服のエンブレムなどから部隊を特定するなどし、報道したこともあった。「シリア政権が樽爆弾で自国民を殺せば、国際社会は批判するけれど、ファルージャでは数え切れないほどの樽爆弾が使われ、子どもたちも死んだのに、何も反応がなかった。ISの残虐な行為は非難されるけれど、同じことをイラク兵士がやっても、同じ有志連合のだからか、何も言われない。『有志連合』『対テロ』という二つの言葉がくせ者で、『対テロ』と言われると、国際社会は安心して(見逃して)しまう」

「イラクでISに入っていく若者は、このようなスンニ派狩りの被害者か肉親を殺された人たちです。一昨年の前半の時期に、もう少し国際社会が声を挙げていれば……。病院を攻撃するのはやめなさい、いくら『対テロ』でも、ジュネーブ条約に反する行為はやり過ぎです、と。そうすれば、事態は違っていたかもしれない。でも、とにかく反応がまるでなかった」「それでもアメリカのマスコミは、ABCテレビのような調査報道をするけれど、日本では、こういう事実はまったく報じられない。母子病院が空爆された時も、日本のテレビ局に伝え、事実確認までしたのに、結局番組にならなかった。日本のメディアは、ISの恐ろしさについては話が作りやすいけど、日本も入っている『有志連合』のイラク軍がこんなに恐ろしい、というのは、作りにくいんでしょうか。その結果、日本の人たちは、ものすごい情報鎖国の中にいるわけです」

そうこうする中、ISが勢力を拡大。高遠さんは、IS支配地域から逃げてきた人から、状況を聞いた。「IS系の宗教指導者がモスクに子ども達を集めて、シーア派がどれだけ悪いかをどんどん洗脳しているそうです。子どもたちに憎しみだけを植え付けられていくのが怖い、と人々は言っています。かつては女性達がつけていたヒジャブ(頭髪を覆うスカーフ)はすごくカラフルでおしゃれだったのに、今ではみんな全身真っ黒。女の人が外食したりすると、夫が公開むち打ちされたり、男性はヒゲを剃っちゃいけない。町を出るのも、ISに許可をもらって、帰ってくる日も申告しなきゃいけない。帰ってこないと、携帯電話にメッセージが来る。私の友人にも、『お前の家の土地建物、財産すべて没収。どこにいても助かると思うな』という趣旨のメッセージが来て、今は身を隠している人がいます」

ISに迫害されたヤジディ教徒やキリスト教徒なども、クルド人自治区に逃げ込んできた。アルビルの学校すべてが避難所になって、授業ができない状況も起きた。一昨年8月には、イラク北部の山地に追い詰められた数万人のヤジディ教徒が、シンジャル山で周辺をISに包囲される形で孤立する事態になり、とうとうオバマ政権も空爆を再開。包囲するISを攻撃しつつ、食糧を投下するなどして、ヤジディ教徒の避難を助けた。「日本では、『アメリカはまた空爆を始めてけしからん』という人がいましたが、イラクではこの時の空爆は歓迎されていました。ファルージャ出身で反米感情が強い友人も、『(この救出は)米軍しかできない』と言っていました。この時の空爆を『けしからん』と言うなら、そのような事態になる前に、何らかの声を挙げるべきなのですが、情報がなく、何が問題なのか分からないのでしょう」

昨年夏、日本は集団的自衛権行使を認める憲法解釈の変更と安保法案を巡り、反対世論が盛り上がった。ただ、高遠さんは、その議論も現実から遊離しているように感じたようだ。「『(法案を成立したら)戦争に巻き込まれる』『平和憲法を守ろう』という言い方は、かなり(現実から)ズレている。『巻き込まれる』も何も、日本はイラク戦争(への協力)で、すでに(戦争に)片足は突っ込んでしまった。『有志連合』にも入って、今や『対テロ』で両足を泥沼に突っ込まされている状態です。平和憲法の形骸化も見透かされています。私はイラクの人たちから『日本は”戦争放棄”と言うけれど、”戦争支援”はいいの?』と、何度も聞かれました。この問いに答えられる日本人はいるでしょうか?」

昨年1月、安倍首相がエジプトで『ISILと闘う各国に』支援を約束した時も、高遠さんはイラクの知人たちから「人道支援とか言っても、殺す側に支援するんでしょ?」と言われた、という。政府によって迫害されたスンニ派の人々には、日本がイラク政府へ行う支援は、すなわち”スンニ派狩り”への支援と映るのだろう。そのような現実を知ったうえで、私たちはどうふるまうべきかを考えないと、善意の支援も逆効果にもなり、熱心な議論も現実から乖離したものになってしまうのではないか。マリキ首相は、後ろ盾だったアメリカとイラクの信を失い、3選を断念。昨年9月に発足したアバディ政権に、スンニ派との融和が期待されている。年末に、イラク軍は西部アンバル州の州都ラマディをISから奪還した、と発表した。ここで同軍がスンニ派住民の信頼を回復できるかどうかが、今後のイラク情勢や対ISの戦いにとって重要なポイントの一つかもしれない。確かに、日本は「情報鎖国」ではあるが、それでも、高遠さんら現地を見聞きしてきた人たちや専門家がSNSなどを通じて発信をしている。できるだけ多角的な情報を集めながら、この難しい情勢を、自分自身でもしっかり考えていきたいと思う。(1/08/2016 Yahoo!News 江川紹子)

もう、絶句..。何とも言葉にならず、ただ心が張り裂ける思いだ。恥ずかしながら江川さんの記事を読むまで、アタシもこの事件を知らなかった。スパイ天国で情報鎖国..。いったいどうなってんだこの国は・・。だが、問題は他にあるのではなく、自分自身の中にある。この混沌とした世界で、懸命に働いている人達がいる。人として、クリスチャンとして、無駄な所にエネルギーを費やすことはやめ、自分が置かれた場所で成すべきことを成す。アタシもそれに徹しよう。新年に望み、悔い改めます。

中国 南シナ海人工島で試験飛行

2016年01月07日 | 世界情勢
中国は6日、南シナ海の岩礁に造成した人工島に民間航空機を着陸させた。中国は今月2日にも試験飛行を実施し、ベトナムや米国などから抗議を受けたばかり。中国国営の新華社通信は同日、民間機2機が中国が永暑礁と呼ぶファイアリー・クロス礁に着陸した写真を配信した。中国は、豊かな資源を擁する南シナ海のほぼ全域を領海だと主張しており、領有権の主張が一部で重なるベトナムやフィリピンなどの周辺国と対立している。

新華社によると、中国南方航空と海南航空の航空機が6日朝に海南省の海口空港から飛び立ち、同日午前10時半(日本時間午前11時半)前後にファイアリー・クロス礁に着陸した。午後には中国本土に戻ったという。新華社が配信した写真には、舗装も新しい駐機場に飛行機が停まっている様子が写っている。新華社は「我が国で最も南の飛行場」だとしている。ァイアリー・クロス礁は中国、ベトナム、フィリピンがそれぞれ領有権を主張しているスプラトリー諸島の一部。

ベトナムは2日の中国による試験飛行が主権の侵害に当たるとして非難声明を出した。米国も懸念を表明している。一方、中国政府は、この地域に「議論の余地がない主権」を持つと反論。試験飛行は、民間航空の利用に必要な基準を満たしているか確かめる目的だと述べた。軍事情報を分析する英研究機関「IHSジェーンズ」の専門誌は昨年4月に、中国が岩礁に滑走路を建設している様子を写した衛星写真を掲載した。中国は、人工島の建設は非軍事目的だとしているが、各国は軍事的な用途に使われる可能性を懸念している。(1/07/2016 BBC)

中東は一触即発

2016年01月05日 | 中東情勢
トルコのクルトゥルムシュ副首相は4日、記者会見を開き、サウジアラビアとイランの対立について「中東はすでに一触即発の状態。(地域大国の)サウジとイランが敵対すれば、両国と地域に悪影響をもたらす」と述べ、早急に緊張を緩和するよう両国に促した。アナトリア通信などが伝えた。トルコはサウジと同様にイスラム教スンニ派が多数を占める。

中東不安定化の要因の一つのシリア内戦でも、サウジとともに反体制派を支援している。一方、シーア派が多数派のイランはアサド政権を支援している。だが、クルトゥルムシュ氏は「(サウジ、イラン)両国はトルコにとって重要なイスラム国家。我々は双方と良好な関係を維持している」と述べ、どちらにも肩入れしない姿勢を強調。そのうえで対立激化のきっかけとなった、サウジによるシーア派指導者ニムル師の死刑執行については「トルコは死刑を廃止した国であり、常にあらゆる死刑制度について反対してきた」と述べ、名指しは避けつつサウジを批判した。(1/06/2016 朝日新聞)