エウアンゲリオン

新約聖書研究は四福音書と使徒言行録が完了しました。
新たに、ショート・メッセージで信仰を育み励ましを具えます。

エチオピアの女王カンダケ

2013-11-06 | 使徒
 そして、「フィリポはすぐ出かけて行った。折から、エチオピアの女王カンダケの高官で、女王の全財産の管理をしていたエチオピア人の宦官が、エルサレムに礼拝に来て、帰る途中であった」(使徒8:27-28)のでした。エチオピアは今もある国ですが、歴史が古く、ギリシア語では「アイティオプス」のように書かれています。聖書ではクシュ人としてエチオピア人のことが描かれ、エジプト王朝として広い地域を支配したこともある民族です。伝説ですが、シェバの女王がソロモンを訪ねたとき、子を宿し、その子がエチオピアを建国したという話が伝わっています。旧約世界とは縁の深い国です。ここに「カンダケ」と訳されているのは、そのままの固有名詞のようですが、人名というよりも、「女王」という意味の言葉ではないかと言われています。つまり「カエサル」とか「ファラオ」とか私たちが呼ぶのと同様です。「カンダケ」「女王」と語が並んでいるのは並立の関係だと捉えられます。「高官」はいささか芸がありませんが、全権力をもつ偉大な権力者でありましょう。へたをすると「王」のこともこう呼ぶ可能性もあるといいます。ここでは宦官です。虚勢され、性的に危険がなく、子孫を残すこともできませんが、そのような立場にさせておいて、権力を握られることは、洋の東西を問わず、古代においてよくある方法でした。後継者に関して無駄な争いがなくなります。また、スキャンダルも減ることでしょう。やや見た目にも変化が起こるともいいますが、基本的に普通の人間として生活できました。「財産」は「ガゼ」のように発音するため、「ガザ」との洒落であるとも言えます。エルサレムを礼拝したとありますが、信仰心からとは限りません。観光目的であってもよいわけです。京都の寺院を「参拝」したという私たちが、果たして信仰心からそうしているか考えてみれば分かります。その観光の帰途に、ファリボと出会うのです。
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