我が家の敷地の北側は小川に面していて、川に向かって下る傾斜地の途中に敷地の境界がある。
河川改修工事の関係でこの小川は埋め立てられる予定になっていて、それをやめさせようとする環境保護団体の人たちが「小川を埋めるな!」という運動を展開している。先日、「小川を埋めるな!」の人たちの集会があり、私個人は彼らと立場を異にするのだが、どんな事を提案しているのか知るために参加して来た。
最初に、川の再生に多く関与してきた元河川局長のセミナーがあり、第二部の今後の活動方針に移る前に、この小川の状況をプロジェクターで見せるというプログラムが入れられていた。そこに「カワセミおやじ」が現れたんだ。この小川には時々カワセミがやってくる。写真の青い鳥がカワセミだ。「カワセミおやじ」は17年間この川で鳥の写真を撮っていると言っていた。彼は、自分の撮影したカワセミの写真を「かわいいですねー。こんなカワセミのくる川を埋めてしまうなんてもったいないですねー」とカワセミをとてもいとおしそうに説明した。
私の家の敷地は土の斜面のまま緩やかに川に落ち込んでいるが、私の家の下流側の2軒の家は、敷地を最大活用するため、川面から垂直にコンクリートの養壁を築いている。彼の調査によれば、このコンクリート養壁に開けられた雨水を逃がす為のパイプの穴にカワセミが営巣したんだそうな。「カワセミおやじ」氏は対岸の公園用地にテントを張ってデジカメを据え付け、カワセミを記録し続けた。「この写真の子(カワセミのことですよ)が4つも子供をうんでくれたんですねー」とカワセミの見分けも付いているようだ。何故カワセミが養壁のパイプに巣をつくるかというと、天敵であるヘビが急斜面でも巣を襲いに来るため、水面から十分な高さがあり、かつ垂直に切り立った崖の穴が最も安全に卵を埋める場所として本能にすり込まれているのだそうだ。しかも周辺は公園用地で未整備段階のため立ち入り禁止で人間も来ないのだ。この小川は150m先で河川改修でできあがった大きな川に合流し、広い河床の中央部分に小川の幅で流れ続けている。カワセミは安全な巣でヒナを育てながら、エサとなる魚を捕るために下流の川に「必死の思い」でハンテイングに行くのだそうだ。
「カワセミおやじ」氏の語った話によると、彼は涙ぐましいほどにカワセミに賭けている。彼は川の掃除をしている。「この小川も残す事が決まったら掃除しようと思っている」のだそうだ。彼はカワセミのハンテイングポイントに止まり木を立て、カwセミが止まり木の上から下の水中にいる魚を狙いやすいスポットを作っている。(当然撮影ポイントとして活用)
さらに、彼は昨年カワセミのエサになるべき小魚を繁殖させようと、川に数千匹の小魚を放流した。(自費らしい)但し、「つり名人みたいな人が片っ端から釣っていってしまいました!」だそうです。今年も放流するそうです。さらに「小さい魚は川が蛇行していないと育たない。まっすぐな川じゃだめなんですよ」と言って、河床に入りスコップで川の流れをわざわざ蛇行させているらしい。何とも大変な努力をしている物だ。
「カワセミおやじ」氏は、そうして呼び寄せたカワセミの写真をTシャツにプリントして販売することで活動資金にしている。
そういえば、今までも川沿いを散歩していると、高価なデジカメを携えたおじさん達が「今日は何回見た!」とかデジカメの見せっこをして立ち話しているシーンを見かけたな。あれがきっと「カワセミおやじ」&仲間達だったんだろう。あの潤沢な活動時間はどうして生まれるのだろうなどど思う半面、きっと幸せなひとだろうと思います。
これだけ打ち込める物が有るってそすごくないですか?