ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

祈りの幕が下りる時 / 東野圭吾 著

2013-09-24 | 本 東野圭吾


  祈りの幕が下りる時

  東野 圭吾 著     講談社 / 2013.9



  極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。
  夢見た舞台を実現させた女性演出家。
  彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。
  数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが。







いきなり、加賀の母親が…の展開に驚きました。
なんていうか、正直、“出しちゃうんだ…”と思ってしまいました。
ただ、母親の死が、これから起こるであろう事件の発端、もしくは、なんらかの関係を持つだろうと思うと、加賀の心の闇の部分を“使っちゃうんだ…”と、ちょっと残念な気持ちもあり、だけど、加賀のお母さんのことが明らかになるんだな…という思いもありました。

殺人事件が起こり、この事件に加賀はどう関るんだろう?と思いきや、やっぱり、堂々と(?)お母さんの死と事件に繋がりが見つかり、やはり、ここでも、“繋げちゃうんだ…”と、微妙に残念な気持ちがほんの少しだけありました(しつこいですが)。
捜査本部で加賀の母親のことがあからさまになり、加賀は平気なのかな…と思わず心配になりました。

その後、加賀本人が、これらの出来事(事件に関する)は偶然ではなく必然ではないかと思う辺りから、一気に空気が変って、苗村先生が………(書かない方がいいと思われます)のクダリからドキドキでした。
こう書いてしまうと苗村の関り方が重要と思われてしまうかと思いますが、、実はそうでもなくて、苗村の関り方はちょっと違って…、あ~~~、難しい!
やっぱり書くのは止めておきます。

と言った感じで、書くに書けない複雑な展開ばかりで、特にこの先はもう書けません(笑)。
ですが、練りに練って奇をてらっているようなわざとらしいトリックは一切ありません。
嘘臭さも取って付け感もなく、これだけ複雑なのに、一切の違和感はありませんでした。
橋の謎もトリック等ではなく、事件の発端と同じく、偶然の成り行きであり、そこには静かであり強い愛情が溢れていました。

加賀が感じた必然は確かに必然だったのですが、そこにも、深い愛情と優しさがあり、真相が判った時には涙が出てきました。
加賀が最後にどう感じたかは描かれていませんが、とても納得のできる、私が望むラストであったことは間違いありません。
内容を書いてしまうワケにはいかず、こんな感想になってしまいましたが、東野さんらしい親子の愛情と複雑さ、原発に対する思い、そして、加賀恭一郎の変化(もしかして今後結婚もアリ?)も感じられる、盛りだくさんなお話でした。

この記事についてブログを書く
« キリング・ショット | トップ | リンカーン弁護士 »

本 東野圭吾」カテゴリの最新記事