ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

ヤコブへの手紙

2012-02-16 | 映画 ヤ行


1970年代のフィンランドの片田舎、白樺に囲まれた古い家で生活する盲目の年老いた牧師ヤコブ。恩赦で出所したレイラは、ヤコブ牧師の家で働くことになった。一人で暮らす年老いた彼のもとには、悩みをもった人々からの手紙が郵便配達人によって毎日届けられる。レイラの仕事は盲目の牧師のために手紙を読み、返事を書く事。毎日届く手紙を楽しみにするヤコブと、生きることに希望を持てず嫌々ながら仕事をこなすレイラ。そして、突然現れたレイラに不信感を抱く郵便配達人。そんなある日、ヤコブへの手紙がぷつりと来なくなり、彼はすっかり気を落としてしまう。そんなヤコブにレイラは…。

ヤコブへの手紙 2009年/フィンランド/クラウス・ハロ





思わず涙腺が決壊してしまいました。
どれだけの極悪人かと思わせるレイラが心を開くその瞬間、それを期待していたワケではなかろうはずのヤコブの表情が、本当にたまらなかったです。
レイラの閉ざされていた罪の意識と姉に対する申し訳なさと、その姉がヤコブへと宛てた手紙の文面から姉妹の絆を感じずにはいられなくて、その絆を途切れさせなかったヤコブの存在が物凄く強いものに感じ、頭の中に巡る言葉や感動よりも先に涙が溢れてきました。

急にヤコブへの手紙がこなくなったことが不思議ではありましたが、でも、それはヤコブに与えられていた使命の終わりを予感させるものであり、また、それを見ている側に伝えるものでもあったのかもしれません。
悩み相談が自分にできる使命だと思っていたヤコブからそれを取り上げるのはいかがなものかとは思いましたが、それによって乱れたヤコブの人間性を見られたことによって、レイラも神以外の見えるものに対して自然と心を開いたのかもしれないなと思いました。

75分というとても短い映画で、とても地味な映画ではありますが、ありきたりな言葉では表せない、魂でもって人間の心を描いていると感じられる素晴らしい映画でした。

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