指揮者として成功したダニエル・ダレウスは、心身の限界を感じ、第一線から退くことを決断する。すべてを捨て、幼年期を過ごした小さな村へとたった一人で戻ってきたダニエル。ここで静かに余生を送ろうとしていた矢先、地元の聖歌隊を指導してほしいと頼まれる。最初は抵抗を感じたダニエルだったが、音楽を楽しむ彼らの姿に心打たれ指導を引き受ける。
歓びを歌にのせて 2004年/スウェーデン/ケイ・ポラック
いきなり、鼻血を出しながら指揮をする姿に驚き、
同級生に虐められた息子を躊躇なく転校させる母親に驚き、
その後、指揮者として成功した息子に会いに滞在先のホテルに行き、ホテルの窓から手を振る息子に喜び勇んで手を振りかえしていたら、車に轢かれて母親が亡くなるというのにも驚きました。
序盤からこのような感じで、この後もスゴイ展開が待ち受けているのかと思ったのですが、一気にテンポに落ち着きが感じられ、現実に向き合う姿勢を感じ、お話にも集中できたと思います。
ダニエルを始め、人々にはそれぞれに抱えるものがあり、それが垣間みられた時にとても切なくなってしまいます。
ダニエルは、ボロボロの心臓と共に、ずっと離れていた故郷に戻り、静かに暮らそうと思っていたはずなのですが、小さい頃からの夢である、音楽を通じて人の心を開きたいという思いから、それを叶えるべき地元の聖歌隊の指揮者を引き受けたのだと思います。
聖歌隊のメンバーの心を開き、そして、最後に自らの心も開くという、最大の盛り上がりの後に待ち受けているダニエルの死。
このままレナと幸せになればいいものを、どうして、死なせてしまうかな~と怒りを覚えたラストでした。
ふと、序盤の躊躇なき驚きの展開を思い出し、開きかけていた私の心は一気に閉ざされてしまいました。
でも、トイレの中で意識が薄れる中、音楽に包まれ眠りにつくダニエルの穏やかな表情を見ていると、こちらも穏やかさを取り戻せたかなと思います。
ただ、残されるレナが可哀想だな~と思いました。
そして、ダニエル役のミカエル・ニクヴィスとさん、見たことあるなぁ~と思ったら、「ミレニアム~ドラゴン・タトゥーの女に」の
ミカエル役の人でした。
ミカエル役はそれほど印象に残りませんでしたが、ダニエル役は素晴らしかったと思います。