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ツクバEX開業日から始めた親父居酒屋の放浪記。下町の居酒屋、旅先の地酒・酒蔵・秘湯、森と水の話や、たまには政治談義など。

「カメラを止めるな」と浄水場の歴史

2018年08月24日 | うんちく・小ネタ

 最近話題の映画、格安製作費300万円で作ったという「カメラを止めるな」を観た。ホラー映画と思っていたら、あにはからんやネタバラシ映画だった。原作or原案騒動の前だったので新鮮な気持ちで鑑賞した。

 ロケ地がどこかで見覚えのある風景、きっと、古い浄水場のポンプ室かなと思いつつ映画のどこかに施設名称があるかを探すが見つからない。後日調べたところ水戸市水道局の廃止した芦山浄水場だったとのこと。

 調べてみると大変歴史ある浄水場であることが分かった。寛文2(1662)年、水戸藩主・徳川光圀が笠原水道を布設した。歴史江戸時代末期、外国からの持ち込まれたコレラの大発生が起こり、明治になると赤痢、腸チフスなどの伝染病が毎年一定の数発生していた。笠原水道は、明治・大正と水戸市民の水道として機能してきたが、大正時代となり人口増加と、伝染病の原因は飲料水に問題があるのがわかり、ろ過・消毒などを行った近代水道の緊要性が提唱されるようになり近代水道の布設を大正14年に議決した。その後、昭和5年から浄水場の建設に着手し、緩速濾過法による芦山浄水場、高区配水塔と低区配水塔を建設し、昭和7年から給水を開始した。

 ところで、大正後期までは赤痢・チフスによる乳児の死亡率が大変高く、飲料水によるとわかっていた。近代水道の普及と大正12年に当時アメリカで導入されていた塩素滅菌機の導入と国産化により乳児の死亡率は一挙に低下したことは案外知られていない。

 現在は浄水場は廃止されているが、歴史的な建造物から二つの配水塔と含めて「近代水道百選」に選ばれている。ロケ地として開放しているため「欅坂46」のMV『もう森へ帰ろうか?』や「各種仮面ライダーシリーズ」、「金田一シリーズ」のロケ地としても有効活用されているようだ。

 原作、原案騒動、双方のそれなりの言い分は理解できる。頭を絞って「元祖カメラを止めるな」と中をとって飲み屋で手打ちをしたらどうか。ジジイの知恵である。