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【法政大学】田中優子総長 2014年度卒業生へのメッセージ

2015年03月25日 | 日記

【法政大学】田中優子総長 2014年度卒業生へのメッセージ

 

皆様、卒業おめでとうございます。保護者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。

ただいま入学式が執り行われましたように、皆さんの多くが入学なさった2011年4月、法政大学は入学式をおこなうことができませんでした。そのことが私たち教員にとってもたいへん心残りであり、ぜひ短くとも入学式をとりおこないたいと思っておりました。

2011年3月11日とその後、皆さんの中にはご自身や大切な方々が被災なさった方もおられることでしょう。直接の被災がなくとも、大きな衝撃を受け、さまざまなことを皆さんは考えられたことでしょう。
しかしその日を乗り越え、皆さんが入学し、今日卒業を迎えました。たいへん嬉しいことです。
皆さんはどうか、この入学と卒業を、ほかの世代の誰も持ち得なかった記憶として持ち続けて下さい。2011年3月11日の記憶は、これから皆さんが生きていく原点になるものなのです。

それはなぜなのか、お話しします。
地震は自然災害です。しかしこの震災の第一の特別な意味は、原子力発電所事故という文明災害でもあった、 ということです。皆さんはまだ生まれていない時代ですが、1954年、国会議員が原子力予算を国に提案しました。そして福島第一原発の誘致が1960年か ら始まり、運転開始は1971年でした。
私は1970年に法政大学に入学しました。その私が大学でたいへん充実した時間を過ごしていたとき、福島第一原発は稼動を始めたのです。
地震は日本列島では古代から無数に続いています。日本人はいつもそれを乗り越えて来ました。しかしこのたびの災害は、いまだに克服したとは言えません。それは、これが文明によって引き起こされた災害だからなのです。

私が生まれ育ったその時代に進められてきたことは、日本の経済成長を促しました。その結果、今では日本人の半分以上が、皆さんのように大学を卒業す ることができています。その上、多くの人が留学体験をしています。このことは、現在海外で起きている学校の破壊や、教育を受けられない多くの若者のことを 考えると、素晴らしく恵まれたことなのです。

しかしその一方で、日本は大変な体験もしてきました。私が法政大学に入った年、ある先生が授業で石牟礼道子の『苦海浄土』の一部を朗読なさいまし た。その時の衝撃は今でも忘れません。水俣病の発生とその経過を書いたこの本は、今では多くの人が読んでいますので、内容はよくご存じだと思います。
この本に書かれた一連の事件が起こっているときに、各地で原子力発電所の建設が同時になされました。さらなる経済成長をするためです。そして今に至り、私たちはこの災害から再出発しなければなりません。2011年は、これからの日本を考える上で、とても重要な年なのです。

皆さんの多くは4月から社会に出ます。社会に影響を与える存在になります。どのような仕事につこうと、仕事をするということはそれじたいが、社会を 創ることなのです。どうか、自分の仕事が世界をどのような方向に向けているのか、充分に学び、意識して下さい。それが、いまこそ世界が必要としている「世 界市民」という存在なのです。
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2014年度学位授与式 告辞 2014年度卒業生へのメッセージ

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