Because I'm a surfer

サーファーだもの、しょうがない…。
「最高でしょう!」そんな波乗り人間特有の超ポジティブ思考コラム

フィンシステムの誤解

2009-03-12 10:40:15 | 日記
サーフィンをすればするほど
サーフボードにとって「フィン」が
本当に大切なことを切実に感じます。

フィンを付けずにパドリングしたことありますか?
まっすぐに進まないばかりか
バランスが悪くなって安定しません。
その分、進むスピードも遅くなってしまいます。

「フィン=曲がるため」のように思ってしまいがちですが、
もっと沢山の役割を担っているのです。

個人的な意見ですが、僕はボードに樹脂でフィンが固定された
いわゆる下の写真のような「オンフィン」が好きです。






なぜかというと、フィンの選択やセッティングは
自分にとって、とても難解な作業だからです。
波はその日の条件によって違います。
ましてや今乗った波と次に乗る波ではサイズや
パワーなどあらゆる要素が異なってきます。
その上、自分のライディングだって
調子が良かったり、悪かったりするのだから
ベストマッチのフィンを選んだり
取り付けの「数センチ」をアジャストするのは
とても不可能な作業に思えてしまうのです。

その点、オンフィンは固定されているので
あれこれと迷いようがありません。
ロッカーやレール、幅やアウトラインといった
サーフボードの様々なスペックを決めたシェイパーが
「このボードにはこのフィン。ここの位置がベスト!」
と決めてもらった方が、気持ち的に楽です。
さらにオンフィンはファイバーグラスで固定されている構造からか、
「しなり」がいいように思います。
FCSやボックスは根元の一部分にストレスがかかるため、
全体的にしなることがないように思えます。
もちろん各メーカーのフィンによって特性は違うと思いますが…。

もちろんオンフィンにはデメリットがあります。
まず第一に、持ち運びに不便ということでしょう。
飛行機に載せる際は、本当に気を使います。
パッドをかましたり、段ボールで梱包をしたり工夫しますが、
僕のボードも何度となくフィンの根元にヒビが入ってしまいました。
さらに一度ヒビが入ったオンフィンの修理は、
とても素人の手に負えるものではありませんし、
レールなどのリペアに比べて通常、
修理コストも何倍もかかってしまいます。

したがってフィンの取り外しが可能な
FCSや下の写真のようなボックス・フィンが便利なのですが、
位置が決まっているFCSは別として、
ボックス・フィンのセッティングには細心の注意が必要です。






「フィンを前にすると回転性が高くなって
後ろにすると直進性が増す」

よくサーフィン雑誌に書いてあるフィンのセッティング解説です。
(僕も確かNALUで書いた記憶があります…)

もちろん間違った記述ではないと思いますが、
それはあくまで「一般論」だと思います。
アウトラインやロッカーによっては、
フィンを前にするとレールが引っ掛かってしまい
曲り難くなってしまうボードも間違いなく存在します。
後ろにすると安定性が増す、というのもかなり乱暴な言い方です。
特にサイドフィンにスタビライザーが付いているボードは
サイドフィンとの位置関係が、センターフィンの位置や性能に
より大きな影響を及ぼしているのではないでしょうか。

さらにフィンの位置を考える上で
埋め込まれた「ボックスの位置」も大きなファクターです。

「まず最初にボックスのセンターにフィンを付けて、
調子をみながら前後にずらしてセッティングを出しましょう」

以上のような記述もよく雑誌で目にしますが、
これもボードによって間違った知識になってしまいます。

この写真は壊れたので取り外したボックスです。






ご覧のようにボックスにはメーカーにもよりますが、
通常2.5センチ程度の「厚み」があります。
したがってボックスをサーフボードに埋め込む際には
ボードの厚みを考慮してセッティングされます。
これは構造上、どうしても仕方がないことなのです。
ボードの厚みが足りないところにボックスを埋め込んでしまえば
デッキ側からボックスが飛び出してしまいますから…。

だから「もう少し後ろにセッティングした方がいいけれど、
厚みが足りないから、ここに埋め込むしかない」
というサーフボードも少なくないのです。
そんなボードに「ボックスの真ん中がニュートラル(中間的な特性)」
といった先入観を持ってセッティングをすると
なかなかボードのポテンシャルを引き出すことはできないでしょう。
ボックスの後ろの方に付けていても、
実はそこがニュートラルだったりするのです。

どうです? フィンのセッティングって
結構、複雑でしょう?

上級者なら今までの経験、いくつものノウハウや
「勘」を頼りにセッティングを出すことはできるでしょう。
でも初心者にはちょっと…。

そこで初~中級者がフィンのセッティングを出すのに
一番、手っとり早い方法をお教えしましょう。

それは、ボードを削ったシェイパーに聞いてみることです。
もちろん個人の好みやサーフィンの技量、
そして波質によっても違うので
「ここだ!」というピンポイントの位置は
教えてもらえないかもしれません。
しかし、「だいたいの位置」は教えてくれるハズです。
自分が持っているボードのシェイパーを知らない、
または海外のサーフボードだったら、
上級者に聞いてみてもかまわないと思います。

さらに是非お勧めしたい裏ワザがあります。
それは上の写真のようにボックスにメモリを付けるということです。
僕はカッターで1センチごとにボックスへ切れ目を入れて
見やすいように傷に白い水性ペイントを塗りこみます。
そのあと布で拭くとご覧の通り。






「あれ? 確かこの辺だっけなぁ~。まっ、いいか!」

ということを繰り返していては
ベストのフィン・セッティングが出るワケがありません。

ボックスにメモリが付いているだけで
フィンの位置に対する意識は高まるはずです。

作業時間は僅か5分程度。

どうぞお試しあれ!