ヒトの腸内には善玉菌と悪玉菌があります。過敏性腸症候群(IBS)の方の腸内細菌を調べると善玉菌が減っている場合が多く、また、善玉菌である乳酸菌を摂るとIBSの改善がみられることも多くの臨床試験で報告されています(1,2,3)。
元々、各人の腸内には各人の個性が反映し、各人固有の善玉菌が住み着いています。外から摂った善玉菌は通過菌といわれ、その菌が増える訳ではありませんが、通過菌を摂取することにより、各人固有の善玉菌が増えることがわかっています。
善玉菌としては乳酸菌とビフィズス菌がよく知られています。乳酸菌を摂取すると、乳酸菌だけでなくビフィズス菌も増えます。腸内環境が善玉菌の生育に適した状況となり、摂取していないビフィズス菌も増えると考えられています。
善玉菌摂取によらずとも、ミルク抗体摂取によっても善玉菌は増えます。このことを始めて明らかにしたのはロシアの小児科医で、12年前の1995年のことでした。新生児の下痢患者にミルク抗体を与えたところ、便中のビフィズス菌が増えると共に下痢が止まりました。その効果をビフィズス菌製剤と比べると、ビフィズス菌製剤よりも早く腸内のビフィズス菌を快復させるというものでした(4)。
(1) Niedtzelin K et al Eur J Gastroenterol Hepatol 2001 13 1143
(2) Omahony L et al Gastroenterology 2005 128 541
(3) Fan YJ et al J Zhejiang Univ SCIENCE B 2006 7 987
(4) Kushnareva MV et al Zhurnal Microbiologii, Epidemiologii I Immunologii 2 101-104 1995