免疫力が未発達で抗体を作ることができない新生児にミルク抗体を経口摂取したときの効果を紹介します。
このグラフは抗生物質による菌交代症を起こしている新生児にミルク抗体を経口で1週間から3週間投与したときの結果です。
下痢の程度はビフィズス菌の数で区分しています(ビフィズス菌 重度7乗以下、中等度7~8乗、軽度8~9乗、正常9乗以上) 。
上のグラフのように、ミルク抗体の投与により、下痢症状が軽減され、87%の新生児において素早く、かつ安定した腸内のビフィズス菌の増加が見られました。
一方、比較として行った従来のビフィズス菌製剤の結果は下のグラフのようになりました。
これらの結果、ミルク抗体がビフィズス菌製剤よりも優れており、抗体の経口摂取は腸内細菌バランスを改善させることがわかります。
また、このことから抗体産生能が低下した高齢者や病中、病後、慢性疾患の人に対してもミルク抗体が有効であることが示唆されます。
ただし、ここで示した試験は牛の初乳から調製した抗体を使用しています。
しかし、日本では初乳を食品として利用することはできません。 初乳以外のミルク抗体の供給源として、乳清たんぱくが注目されています。
(Kushnareva MV,et al. Zhurnal Microbiologii, Epidemiologii Ⅰ Immunologii 2, (1995) 101-104.)