抗体のお話

抗体、特に生乳中のミルク抗体の有用性について解説します。

加齢による腸管免疫の低下とミルク抗体による改善(まとめ)

2006-03-03 00:00:17 | Weblog
 以上、まとめますと、加齢により抗体は質的に機能が低下し、その結果、感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、ガン、酸化ストレス、体調不良が増大し、腸内細菌バランスが崩れます。
 また、加齢による免疫の低下に対し、ビフィズス菌、乳酸菌のようなプロバイオティクスは必ずしも免疫強化に作用しないことが知られています。
 一方、乳清たんぱくには悪玉菌や細菌毒素に対する抗体が多く含まれているものがあり、そのミルク抗体は腸内細菌バランスを改善し、また、ミルク抗体を用いることにより、抗体の質の低下を補い、免疫増強が可能であることがわかりました。
 したがって、抗体を多く含有する「アサマ乳清たんぱく」はシニア世代にお推めの食品素材と考えられます。

エンドトキシンと自己免疫疾患

2006-03-03 00:00:16 | Weblog
 エンドトキシンと自己免疫疾患の関連については、多くの論文が出ています。それらによりますと、エンドトキシンなどの細菌毒素が、自己免疫疾患、アレルギー、動脈硬化、がんなどの免疫疾患や生活習慣病、老化の原因となっていると結論付けています。
 「アサマ乳清たんぱく」には、先に示したように細菌毒素に対する抗体も含まれています。エンドトキシンの活性をミルク抗体により無毒化することによって、自己免疫病の予防や悪化の防止、老化の抑制になると考えられます。

細菌毒素の作用

2006-03-03 00:00:15 | Weblog
 これらの細菌毒素の作用を挙げてみます。
 グラム陰性菌は全てエンドトキシンを持っています。エンドトキシンは抗体をつくる細胞であるBリンパ球全てを活性化してしまい、自己抗体の産生、自己免疫疾患に繋がります。
 また、マクロファージが活性化することにより、炎症性サイトカインの産生が促進され、老化や疾病に繋がります。
 ブドウ球菌などがつくるエンテロトキシンはスーパー抗原とも言われていますが、かなりの種類のTリンパ球を活性化し、また、免疫機能の疲弊による免疫力の低下を起こします。
 このように、細菌毒素により免疫異常と酸化ストレスが増大します。

悪玉菌・日和見菌は毒素を産生する

2006-03-03 00:00:14 | Weblog
 腸管免疫が低下すると腸内細菌バランスが悪くなります。
 これまで示したように腸内細菌バランスの改善には初乳だけでなく、乳清たんぱく中の抗体も有効であることがわかりました。
 ところで、悪玉菌が悪玉である理由は、ひとつは感染性があること、もうひとつは毒素を産生することです。
 ここに主な悪玉菌、日和見菌を挙げましたが、エンドトキシン、エンテロトキシンをはじめ、悪玉菌と言われるものは全て表に示したような様々な毒素を産生します。

ミルク抗体摂取による便通、便臭の改善

2006-03-03 00:00:13 | Weblog
 これは、50歳以上の方を対象に、乳清たんぱく含有食品を2週間継続して摂取したときの、便通、便臭の変化についてアンケートを行った結果です。
 2週間で、左の便通に関しては63%の方に、右の便臭に関しては68%の方に改善が見られました。
 このように、初乳によらずとも、抗体含量の高い「アサマ乳清たんぱく」によって腸内細菌バランスの改善が可能であると考えられます。
 腸内細菌バランスを改善する手段として、プロバイオティクスである乳酸菌やビフィズス菌は菌そのものを補充し、プレバイオティクスであるオリゴ糖は善玉菌を増やす栄養となります。
 一方、「アサマ乳清たんぱく」はミルク抗体の働きにより悪玉菌を減らし、同時に善玉菌を相対的に増やすことが確認され、腸内細菌バランス改善に有効な手段と言えます。

ミルク抗体摂取による腸内細菌バランスの改善

2006-03-03 00:00:12 | Weblog
 抗体濃度の高い乳清たんぱくを摂取することの意義を調べました。
 「アサマ乳清たんぱく」を用いて腸内細菌バランスの改善を見た結果です。
 「アサマ乳清たんぱく」を1日10gずつ3週間、毎日摂取し、その前後に糞便を採取して腸内細菌叢を比較しました。 
 腸内細菌の測定は、遺伝子から解析するT-RFLP法で行ないました。
 グラフのように、「アサマ乳清たんぱく」を摂取することでバクテロイデスが有意に減少し、善玉菌であるビフィズス菌とラクトバチルスを合計した値が有意に増加しました。
 このように、初乳によらずとも、抗体含量の高い「アサマ乳清たんぱく」によって腸内細菌バランスの改善が可能であると考えられます。

「アサマ乳清たんぱく」に含まれる細菌に対する抗体とその量

2006-03-03 00:00:10 | Weblog
 搾りたての牛乳には抗体が含まれていますが、
 市販されている牛乳は抗体を含んでいません。殺菌され、抗体が失活しています。
 ところが、チーズやカゼインを作るときに副産物として得られるホエー(乳清)中には、活性を保ったままの抗体が残っていることがわかってきました。
 そこで、いろいろな乳清たんぱく中の抗体濃度を測定し、抗体濃度の高い乳清たんぱくを用いて試験を行いました。
 これは、「アサマ乳清たんぱく」に含まれる抗体の種類(特異性)とその量を示したものです。
 消化管の悪玉菌や呼吸器の病原菌など、試験した30種類全ての菌に対する抗体が含まれていることが確認されました。

ミルク抗体はどの程度有効か2

2006-03-03 00:00:09 | Weblog

 これは免疫系が破壊されているエイズ患者にミルク抗体を経口摂取したときの効果を見た報告です。
 重篤な下痢を繰り返しているエイズ患者に対して行った試験の概要で、延べ33回の治験症例中22名によい結果が現れ、1日平均の排便回数も治療前が7.4回だったのに対し、治療後は2.2回と改善しました。
 治療中止後も14名には少なくとも4週間後まで下痢が見られませんでした。
 また、4名の便の中にクリプトスポリジウムが見つかっていましたが、治療後は消失していました。
 このように、T細胞が破壊され抗体を作ることができないエイズ患者に対して、抗体の経口摂取は有効に働き、腸内細菌バランスを改善させることがわかります。また、このことから抗体産生能が低下した高齢者や病中、病後、慢性疾患の人に対してもミルク抗体が有効であることが示唆されます。
 ただし、ここで示した試験は牛の初乳から調製した抗体を使用しています。
 しかし、日本では初乳を食品として利用することはできません。
 初乳以外のミルク抗体の供給源として、乳清たんぱくが注目されています。

(Stephan W, et al. J Clin Chem Clin Biochem. 1990 Jan;28(1):19-23.)


ミルク抗体はどの程度有効か1

2006-03-03 00:00:08 | Weblog

 免疫力が未発達で抗体を作ることができない新生児にミルク抗体を経口摂取したときの効果を紹介します。
 このグラフは抗生物質による菌交代症を起こしている新生児にミルク抗体を経口で1週間から3週間投与したときの結果です。
 下痢の程度はビフィズス菌の数で区分しています(ビフィズス菌 重度7乗以下、中等度7~8乗、軽度8~9乗、正常9乗以上) 。
 上のグラフのように、ミルク抗体の投与により、下痢症状が軽減され、87%の新生児において素早く、かつ安定した腸内のビフィズス菌の増加が見られました。
 一方、比較として行った従来のビフィズス菌製剤の結果は下のグラフのようになりました。
 これらの結果、ミルク抗体がビフィズス菌製剤よりも優れており、抗体の経口摂取は腸内細菌バランスを改善させることがわかります。
 また、このことから抗体産生能が低下した高齢者や病中、病後、慢性疾患の人に対してもミルク抗体が有効であることが示唆されます。
 ただし、ここで示した試験は牛の初乳から調製した抗体を使用しています。
 しかし、日本では初乳を食品として利用することはできません。 初乳以外のミルク抗体の供給源として、乳清たんぱくが注目されています。

(Kushnareva MV,et al. Zhurnal Microbiologii, Epidemiologii Ⅰ Immunologii 2, (1995) 101-104.)