伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

8/15〆切:川内原発審査書パブコメを送付 

2014-08-15 10:23:48 | 運動の紹介

川内原発の再稼働を食い止めよう、1人でも多くのパブコメを!8/15〆切 で紹介していましたもの、自分でも書いてみました。

パブコメ文は15日朝4時に全部で4分割して送りました。

 (岩波の『科学』編集部さんで、川内原発へのパブリックコメントを公表するページにも掲載していただきました。沢山の人からのパブコメ内容がならんでいます。)


 

p.3 はじめに 3.本審査書の構成 (番外編:パブコメのプロセス自体への意見。)

 ・そもそもパブコメで科学・技術的なものに限定すること=専門家からのインプットをパブコメで求めることがオカシイ。火山問題で火山の専門家からのインプットを期待するのなら、それは専門家を招聘して審査会合の中で心ゆくまで議論すべきことである。

 

・制度面の問題点、プロセス自体への意見も受付けから除外すべきではなく、時間をとって取りまとめるべき。なんせ最初の個別原発の再稼働に関わるパブコメであるのだから。

 

p18 3-1.1基準地震動 (3)地震動評価

・想定活断層が敷地の間際にまで届いていない川内原発の基準地震動が、原発本体の6から8km先に50km級の活断層が前面海域に広がる伊方原発(検討用地震としては570gal)と同等の大きさ(540gal)になるのは、にわかには信じがたい。伊方原発の場合となぜ規模が違うのか不明だが規制への信頼を失う元になるため、電力会社に個別に基準地震動について独自の解析をさせるのではなく、規制委地震(自身の誤り)が同一の手法に基づく解析を行い、その基準地震動の数値に基づいて電力会社の設備の耐震性を評価させるべきである。各電力会社がばらばらな検討の式を使っているとすれば、審査は困難を極めることになるため。

 

・同じく基準地震動については、津波を引き起こす源の地震の式(武村式)と基準地震動を想定する地震の式(入倉式)が異なるという現状はいかにも整合性がないため、より新たな評価である津波の側の式を採用するべきである。

 

p.61 3-4.2.2 火山の影響に対する設計方針 1.原子力発電所に影響を及ぼし得る火山の抽出

・口永良部島について、カルデラ噴火の検討対象とすべき

 評価を行った中では鬼界カルデラがカルデラ火山群の一番南端とされていますが、その薩摩島のさらに南側にある、今まさに噴火を始めた口永良部島はもう一つの、カルデラ噴火の潜在的な可能性がある火山ではないのでしょうか、過去にカルデラ噴火を起こしていない?と思われるこの火山において、カルデラ噴火の可能性をモニタリングする必要は本当にないのでしょうか?議論を呼ぶところでしょうが、きちんと「初回のカルデラ噴火」問題をどう評価するか、検討するべきです。 (p.418 5 審査結果 に関してもその旨を記入すること)

 

p.64 3−4.2.2 火山の影響に対する設計方針 3.火山活動のモニタリング

・カルデラ火山の評価について、審査のやり直しを行うべき。

 カルデラ火山の階段ダイヤグラムの評価は、火山学会の中でまだ定まっていません。また9万年に1回というサイクルを仮定してまだ平均間隔まで時間がある、との九電の評価をそのまま通用させるとおかしなことになります。阿蘇山は過去数十万年にわたって、4回カルデラ噴火を起こしていますが、この阿蘇山のサイクルを想定すれば、もう過去の近接噴火の間隔からは大きく隔たっていて、いつカルデラ噴火を起こしてもおかしくない、ということになってしまうからです。

 それとも伊方原発の審査の場合には、160km圏内にある阿蘇山が9万年に1回のサイクルではもう危険な間隔に来ているからと伊方の廃炉を決めたり、四国電力にカルデラ噴火のモニタリングを常時義務づけることになるのでしょうか?

 火山学者はカルデラ噴火と普通の噴火を分ける術を知っていません。この状態で信頼性のある予測はできませんから、リスクの評価自体ができないレベルの科学の状況である、と語っています。できないはずのリスクが小さいという主張は「安全神話」に他なりません。カルデラ火山の予測については、未解明の状況である、として審査自体をやり直すべきです。

 しかも、モニタリングの中身も、カルデラ噴火予知時の燃料搬出計画についても、実態はなく、電力会社の意向を確認したにすぎない段階のものです。この状態で審査を終了させることは、恣意的な運用であり、まずは政治的な再稼働ありきのための審査であり、信頼を再構築するための審査ではないと言わざるを得ません。カルデラ火山の評価について、審査のやり直しをするべきです。 (p.418 5 審査結果 に関してもその旨を記入すること)

 

 

p.109  3-15 保安電源設備(第33条関係) 1.保安電源の信頼性(2)電線路の独立性

・外部電源喪失につながる送電網の破壊に関わる問題

 単独の経路の送電網が運用できなくなることに対処するため、電力網を切り替える時間を評価しているが、4時間という復旧時間は、危機対応の最中としては長すぎるため、実際には多重系(3回線以上の)による冗長性のある防護がされているとは言えないという評価を下すべきである。 (p.418 5 審査結果 に関してもその旨を記入すること)

同上

・火山と送電網の破壊について

 とくに川内原発においては、火山の影響を想定するべきである。カルデラ噴火の際は言うまでもなく南九州の変電所が同時に複数破壊され機能を失う怖れがあるが、そればかりでなく通常の火山灰の堆積(新燃岳などの霧島および桜島を想定)で同時多発的に複数の変電所が機能を喪失することも想定すべきである。

 変電所の運転継続要件について、もっと重視した詳しい検討が必要である。

同上

・地震と送電網の破壊について

 福島事故においても、全部の交流電源が停止をした原因には受電鉄塔の倒壊だけではなく開閉設備の耐震性に関わる問題があったと言われているが、仮にそうであれば、開閉設備の耐震性基準をもっと上げてSクラスに変える必要があるのではないか。変電所設備についても、耐震性の見直しが必要になることになる。局所的な送電線の重なり具合については評価していたが、変電所設備の耐震性基準をクラスを変えるべきではないか。

 

p.145 4-1.2.1.4 原子炉格納容器の除熱機能喪失 1.申請内容 (2)解析手法及び結果、不確かさの影響評価 3不確かさの影響評価

・除熱が間に合うことはどうやって証明できるのか。単独のコードによる評価では信用できない。

 JNESが保有している別の解析コード、メルコアを使ったクロスチェックを行って、電力会社側のMAAPによる結果と付き合わせて評価を行うべきです。

 

p.147 4-1.2.1.4 原子炉格納容器の除熱機能喪失 3.審査過程における主な論点 (1)格納容器再循環ユニットの除熱特性及び長期的な原子炉格納容器の安定状態への移行

・汚染水対策としての汚染水タンクの設置場所を準備すること

 崩壊熱が出続ける中で水の注入を続けるため、格納容器底部に張った加熱された汚染水が全部水蒸気と化して格納容器を高圧で破壊しないためには、高温になった汚染水の一部は格納容器外に取り出して保管するという形も併用されて除熱すべきものと想定されます。

 この時には、系外に取り出す汚染水は各種の汚染物質を含んでいるため廃棄することはできません。福島の場合と同様に緊急に汚染水タンクを置いて、そこで保管する他はありません。

 福島の経験によればその保管場所、タンクの施設自体が膨大になりますから、そのタンク用の土地の用意があるのかどうか、は審査する上で欠かせないものと思われます。溶け落ちた燃料の除熱システムの付随物として、汚染水タンクの必要量と設置場所は欠かせない要素ですので、場所の準備が出来ているのかどうか、審査が必要です。

 

同上(p.418 5 審査結果 も)

・同じく「水冷で循環冷却することが不可能だったのであれば、再稼働もまた止める必要がある。現在の再稼働認可は仮の免許に過ぎない。」ということを審査書の中で、きちんと論理的に書いていただくべきです。

 福島第一原発事故の教訓に関連して、汚染水の汚染除去ができない問題が再び浮上しています。ALPSもなかなか稼働できず、更にトリチウムは除去する技術もなく、太平洋に垂れ流す以外の手はない、となっているようです。福島第一原発事故は、水冷で循環冷却しつづけるという対応で収束を図れているという建前があって初めて再稼働が可能になっているので、「水冷で循環冷却することが不可能だったのであれば、再稼働もまた止める必要がある。現在の再稼働認可は仮の免許に過ぎない。」ということを審査書の中で、きちんと論理的に書いていただくべきです。


p.193  4-1.2.2.4 原子炉圧力容器外の溶融燃料-冷却材相互作用 2.審査結果

 水蒸気爆発が起きないこと、あるいはコア・コンクリート反応を起こさないよう注水が間に合うことはどうやって証明できるのか。単独のコードによる評価では信用できない。

 JNESが保有している別の解析コード、メルコアを使ったクロスチェックを行って、電力会社側のMAAPによる結果と付き合わせて評価を行うべきです。

 

P207 4-1.2.3.1想定事故1

・使用済み燃料ピットに貯められた使用済み/使用途中の燃料は、無人でも給水が可能なようにするか、再稼働前に全体を取り出して乾式貯蔵化するべきである。

 

p.418 5 審査結果

・電力会社の過酷事故対処の体制、訓練等ヒューマンエラーに関わる要因については、本規制基準の審査対象外であることを審査書に明示し、実際にはこれを越える残余のリスクがあることを明示して、5月末に自治体向けに提示した、100TBq以下の放出量目安を撤回するべき。

 審査の要点の解説では、"100TBqを超えるような事故が発生する確率は、重大事故等対処設備、体制、訓練等が実際に運用された後、「実用発電用原子炉施設の安全性の向上のための評価 」において評価することとなる。”とされているが、この確率論的評価を事前にすること抜きに、”安全目標の議論を踏まえ、「想定する格納容器破損モードに対して、 Cs-137の放出量が100TBqを下回っていることを」確認”出来るはずがないので、実際にはこれを越える残余のリスクがあることを明示して、第5層の原子力防災を企画することを求めるべきである。

p.418 5 審査結果

・「2機分の運転要員による同時1機運転」を川内原発再稼働に際する制約条件として課すべき

 福島第一原発事故の教訓の中に、過酷事故収束策におけるヒューマンエラーの存在が上げられていない。

政府事故調によれば、1-1号機のICの、機器についての知識不足からの操作ミスという重大なヒューマンエラーが明らかとなっており、これを教訓に再発防止策が提案されなければならないはずだが、新規制基準においては、この種の機器の操作ミスを排除するための完全自動化を要件としておらず、過酷事故収束策に人の関与を減らすべきという方向性になっていない。これについては人の関与を減らすという方針を明確に示すべきである。

「人力に頼らずとも事故が収束する」。このような性能要件を規定しない理由はない。

福島第一原発事故発生時に、東電が社員の安全のために総員撤退を菅首相に打診したことは、決して非難すべきことではない。米国におけるような軍隊内の事故収束チームを派遣するのであれば別がが、そのようなチームもなく、今の法律も撤退を拒否できる権限を政府に与えていない以上、現状では総員撤退もありうることとして、無人化可能なシステム化を進めるべき。

 それはさておき、人的資源を最大限に動員して収束を図るのが現在の方針なのだとすれば、ヒューマンエラーを避けるため、緊急時に対処する初動対応およびその後の体制の人数について、余裕を持った人員配置で対応することが不可欠である。

 また、これも福島第一原発事故の教訓の中に含まれてはいないが、共同通信による最近の連載記事などを見ても、事故の際には複数の原発が同時に運転されていたことにより事故の悪化を招いたことは明らかである。ただでさえ人員不足の上に、収束作業の司令塔である吉田所長が複数機の対応を並列して迫られたことがミスにつながったものである。

 新規制基準の中ではヒューマンエラーを根絶する想定では審査を行っていない以上、過酷事故収束にあたる人的資源に関しては、フクシマで行われた明日無き決死隊的な極限的勤務を再現させるのではなく、交代ができる複数の勤務ローテーションを取れるようにすることが最低限必要であり、また意思決定に余裕を持たせるためにはなにより同一敷地内の2機を同時には運転させないという運用が有効である。このような「従来の2機分の運転要員による同時1機運転」という条件を川内原発再稼働に際して制約条件として課すべきである。

 

p399 4-4.18 緊急時対策所及び…

・再稼働を免震重要棟の完成まで遅らせるべき。

 上に関連して、2種類の建物、(27年末に運用を開始する)免震重要棟と(既存の)代替緊急時対策所の仕様を比較すると、やはり免震重要棟の機能とくに収容人数は300人対100人と、暫定的な代替緊急時対策所の機能を大きく上回っている。収束作業に必要な電力会社のみの人員に加えて、協力会社の相当人員を収容できる規模の施設であるべきである。

 特に、前記「2機分の運転要員による1機運用」をする上では、人的資源の余裕を持った運用ができる免震重要棟の完成を待って再稼働とするべきである。実質的な遅れもそれほどあるわけではない日程であるため。

 

p.418 5 審査結果

・現状を説明するために、「新規制基準においてはIAEAの5層の深層防護という国際標準の安全性哲学を採用しておらず、国際水準の安全性には達していない。審査書案は安全を担保していない。」旨の解説を審査書の中に一文付け加えるべきである。

 福島第一原発事故の教訓の中に「IAEAの深層防護の第四層(過酷事故発生時の対処策)および第五層(原子力防災)の中身が日本にはなかった」ことが揚げられていません。

 この教訓を明示していれば、新規制基準の中に、住民にとっての安全を担保するために第五層目である原子力防災の合格基準を含めて作るべきであるが、現状では作られておらず、新聞を賑わしている課題となっている。

 例えば、日弁連の6月20日意見書「新規制基準における原子力発電所の設置許可要件に関する意見書」においても、”原子力規制委員会は、新規制基準には以下の点に関する審査基準が欠けているので、既設の原子力発電所についての設置変更許可の適合性審査を停止すべきである。1 原子炉と周辺住民との間に、福島第一原子力発電所事故を踏まえた離隔がとられていること。2 事故時に、周辺住民が安全に避難できる避難計画が策定されていること。”とされている。本文リンクはこちら。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2014/opinion_140620_2.pdf

 本来であれば、規制委員会設置法案で求められている「縦割り行政の弊害を除去」するためには、「原子力災害対策指針」を作成した原子力規制委員会自身が各地の自治体からヒアリング等を行い、自治体が作成している避難計画の有効性と問題点を評価し、基準に適合したかを確認し、お墨付きを与えることが必要だがそうはなっていない。

 それゆえ、現状を説明するために、「新規制基準においてはIAEAの5層の深層防護という国際標準の安全性哲学を採用しておらず、国際水準の安全性には達していない。本審査書は安全を担保していない。」旨の解説を審査書の中に一文付け加えるべきである。

 この但し書きとして問題をキッチリ書いておくことで、政府・政権は「規制委が基準に適合してると判断したらそれに従って再稼働」「あとは電力会社と自治体で」と、自らの判断責任を放棄している現状であることを伝え、本規制審査が通過後、政府がこの問題点を解決することを、規制委員会として求める姿勢を明らかにするべきである。 了■


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