いっちゃんのよもやまばなし

ユートピア活動勉強会で使用した政治・経済・歴史などの書籍やネット情報、感想などを中心に紹介します。

日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP) いまなお続く占領軍の心理作戦 関野 通夫 著 

2016年03月28日 13時15分46秒 | 書籍の感想とその他
保守系論客により「日本人を洗脳した元凶」と指摘されていたウオー・ギルト・インフォーメーション.プログラム(WGIP「戦争犯罪情報計画」GHQ占領下で実施)はその実在が疑われていましたが、国会図書館に乗り込んで,その実在を世に証したのがこの書籍です。《最新のWikipediaでは削除されています》



朝日新聞の誤報告白事件以後保守陣営の勢いがましてはいるものの、国連の人権委員会の動きなど、事態は日本にとって悪化の一途をたどり、いわれなき非難に対して日本人は一丸になって対応しなければならない。残念ながら、そのよう反日言動の支持はいまだに後をたちません。

同氏は2014年7月、<慰安婦の真実国民運動>の一員として、ジュネーブに出かけ、国連のいわゆる「人権委員会」を傍聴しています。日本の問題についての意見の発表が行われるそのセッションに入ろうとしたときに、国連の職員がやってきて、我々を会議場から排除しようとしたことを経験しています。

ジュネーブで目にした反日派の有名人は、「性奴隷(Sex Slaves)」という語を国連に持ちこんだと鼻高々の戸塚悦郎弁護士だったそうです。著者が実感したのは、日本の反日派を中心とする人々が、長年にわたって、ある意味充実した情報と思想を、国連人権委員会に売りこんできたという事実がある一方、保守派は、ほとんど何もしてこなかったという反省です。

これらの背景として、東京裁判史観だけでは説明のつかないものとして、ウオー・ギルト・インフォーメーション.プログラム(WGIP)に思い至り、江藤淳氏の『閉された言語空間』(文藝春秋)を読み返し、ウィキペディアを参照し、上記の疑問符が付けられていることを知ります。

下記は、そのウィキペディアの引用です。(引用)
【戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画。文芸評論家の江藤淳が『閉された言語空間』(1989年)において、この政策の名称がGHQの内部文書に基づくものであると主張し、江藤の支持者らが肯定的にこの名称を使用している。しかし、この内部文書そのものは江藤らによって公開されておらず、実在するかどうか明確でない】
自明の存在だとばかり思っていたWGIPが、真偽を疑われていたのです。

勝岡・高橋両先生の助力で絞りこみ、国会図書館で調査した内部文書の一覧表は以下の通りです。



特に重要なCIE(Civil Information and Education Section民間情報教育局)の通知(イ)と(ロ)を下記にイメージのまま引用します。









ご覧の通り、東京裁判に焦点を合わせてWGIPが教育から放送や新聞などを対象に洗脳工作(日本軍の悪逆非道など)が徹底的に行われたことがよく分かります。これに加えて検閲と焚書まで行われたことを併せ考えるとその戦略性に感動すら覚えてしまいます。《焚書に関しては既に西尾幹二によるGHQ焚書図書開封が出版》

昭和20年9月10日、GHQは、「新聞報道取り締まり方針」を発し、9 月19日には、「日本出版法」(Press Code for Japan)を制定しています。趣旨として「日本に言論の自由を確立するため」ということを謳っていましたが、もちろん連合軍に対する批判を許さない条項が盛られたものでした。30項目に及ぶ「削除及び発行禁止対象のカテゴリー」は以下の通りです。

①SCAP(連合国軍最高司令官もしくは総司令部)に対する批判
②極東国際軍事裁判批判
③GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判
④検閲制度への言及
⑤アメリカ合衆国への批判
⑥ロシア(ソ連邦)への批判
⑦英国への批判
⑧朝鮮人への批判
⑨中國への批判
⑩その他連合国への批判
⑪連合国一般への批判(国を特定しなくても)
⑫満州における日本人の取り扱いについての批判
⑬連合国の戦前の政策に対する批判
⑭第3次世界大戦への言及 
⑮冷戦に関する言及
⑯戦争擁護の宣伝
⑰神国日本の宣伝
⑱軍国主義の宣伝
⑲ナショナリズムの宣伝
⑳大東亜共栄圈の宣伝
㉑その他の宣伝
㉒戦争犯罪人の正当化および擁護
㉓占領軍兵士と日本女性との交渉
㉔闇市の状況
㉕占領軍軍隊に対する批判
㉖飢餓の誇張
㉗暴力と不穏の行動の扇動
㉘虚偽の報道
㉙GHQまたは地方軍政部に対する不適切な言及
㉚解禁されていない報道の公表

このようにしてWGIPの毒素は時間をかけて体内に浸透してしまいました。「日本人はこの作られた歴史観という”事実”に目覚めるべきである」というのが著者の主張です。

この書籍に寄せられた加瀬英明氏の序を以下に引用します。

日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP) いまなお続く占領軍の心理作戦

加瀬英明 加瀬英明外交評論家

アメリカによる占領下で、日本を罪深い国として仕立てる「ウォア・ ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」が、どのようにして行われたのだろうか。
マッカーサー総司令部(GHQ)は昭和二十(一九四五)年九月に日本を占領すると、十月二日に「各層の日本人に、彼らの敗北と戦争に関する罪、現在と将来の日本の苦難と窮乏に対する軍国主義者の責任、連合国の軍事占領の理由と目的を、周知徹底せしめること」(『一般命令第四号』)を命じ、日本民族から独立心を奪い、贖罪意識を植えつける政策が実施された。
十月二日というと、日本が米戦艦『ミズーリ』艦上で降伏した、僅か一ケ月後だった。
この年の十二月から、NHKが『真相はか(こ)うだ』(後に『真相箱』) の放送と、全国の新聞が『太平洋戦争史』の連載を始め、日本が非道きわまりない国であったことを、全国民に刷り込むことをはかった。
GHQは日本を軍事的に征服したうえで、日本民族から記憶を奪い、精神を破壊して、占領を終了した後も、未来永劫にわたってアメリカの属国としてつくりかえるために、日本に対して全面的に歴史戦を開始した。
九月に早々と報道を厳しく制限するプレスコード(新聞綱領)を定めたのをはじめとして、徹底的な検聞と言論統制、神道指令、公職追放、日本の国家指導者を裁いた東京裁判、日本国憲法などが、その手段だった。
WGIPは、日本をアメリカに隷属させる計画の柱だった。
関野通夫氏は本書で、WGIPの全容を、見事に白日のもとに曝している。その過程で、これまで知られていなかった、占領当局の関係文書を発掘している。
日本は昭和二十七(一九五二)年に、対日講和条約が発効して、独立を回復した。日本国民はWGIPによる洗脳工作にかかわらず、まだ多分に正気を保っていた。
その翌年に国会が法改正を行い、戦勝国による不当な軍事裁判によって処刑、獄死、自決された、いわゆる戦争犯罪人を戦死者とみなして、遺族に年金などを支給し、戦犯として刑期をつとめていた人々の即時釈放を求める決議を、ともに全会一致によって採択した。
その後、日本は戦争体験が風化するにつれて、正気を失なっていった。
WGIPが種を播いた自虐史観が、蔓延るようになったのは、売国的な日本人の手によるものである。
自由社ブックレットの創刊にあたり、WGIPの存在を明らかにした本書を、第一号としてお届けし、新しい興論が喚起するよう、願ってやみません。
(以上引用)

日本が有史以来初めて外国に敗れたショックが大きかったことは事実かもしれませんが、そろそろ自虐史観から脱却しなければならないと信じます。























自主防衛を急げ! ― 日本人の覚悟 日下公人 / 伊藤貫 著 李白社

2016年03月03日 17時17分19秒 | セミナーなど
2011年の5月18日に取り上げた同書は、今から考えると非常に先駆的な内容でした。「中国の核戦力に日本は屈服する」に併せてあわせて、日下公人氏のコメントを中心に紹介します。

李白社の内容紹介
今、明かす日米関係の「真実」と新米保守派の「デタラメ」。裏では「ジャップ!」と呼ぶキッシンジャーら知日派米国人。日本のグランド・ストラテジーとは何か。「対米依存」はなぜ間違いか。「自主防衛」はなぜ必要か。このままでは日本は崩れてしまうー白熱大議論。
(引用は以上)




依存は堕落に通じる(概意)とはアダムスミスの言葉だそうで、独自核の開発を進めたドゴール仏大統領の思いにも通底しています。

以下に気になった日下氏のコメントを紹介します。

昭和天皇の苦衷を忘れてはならない 日下
昭和50年、昭和天皇はテレビ会見で、記者団から「原子爆弾をどう思われますか?」と尋ねられたとき、「戦争ですから」とお答えになっている。翌日の朝日新聞は「天皇は逃げた」と書いた。昭和天皇ははっきりお答えになられたではないか、(真意は)「戦争は何でもありだから、止むを得ない」と。日本が先に発明したら日本も先に使ったはず。《これには異論もあります》

日本は百年先を行く「超先進国」である 日下
構造協議は故意にした誤訳、イニシアティブは協議ではなく「命令に近い指導」。日本人はお金よりも心の幸せを求めるようになってきた。それを含めた経済学はまだアメリカにはない。均衡の主因として価格だけを見るのが主流となっていて、それ以外を見るのは傍流にされている。大きく見れば、世界は「価値の多元化」や「相互に認め合う共存化」に進んでいく。日本では当然のこととされているが、外国はいまから始めても百年かかる。

それでもかつては「国家意識」があった 日下
吉田茂の時代が終わったばかりの日本人には国家意識が残っていた。全国総合開発計画策定の審議会には満州国の残党がかなりいた。そういう人達の話の根底には国家論があった。彼らは工業の指摘配置から入ることに疑問を抱いていた、最適人口配置プランから入るべきではないか。最適人口配置は何で決まるのかの質問に対して、軍事的配慮であると答えた。だから、現在でも離島および北海道や沖縄の辺境に日本人を配置しておかなければならない。下知島の3000m級滑走路を生かして自衛隊の駐屯地にすればよい。所得倍増計画の後には、幸福倍増計画が浮上したことがあった。元海軍中尉の大蔵省調査官が強く反対し、経済企画庁は採用しなかった。国家は国民の幸福観にまで立ち入ってはいけない。

アメリカは中世の叡智をご破算にしてしまった 日下
イギリスは勢力均衡論でいうとバランサーと呼ばれる。(強きをくじき弱き助ける)しかし、日本は誠心誠意が好きで、バランサーには向いていない。これは実力の無い国の思考、天下泰平の江戸時代の武士がそれ。英語の諺には「正直は貧乏人の正義」「弱者の武器」というのがある。ハンス・モーゲンソーの言葉に“名誉あるバランサー“と“不名誉なバランサー“というのがある。イギリスは前者でイタリアは後者、違いは実力。イギリスがついた方が勝つ。冷戦後、日本は結果的に名誉ある方となったが、自分の実力を知らなかった。例えば、レーガンに対して「冷戦勝利への特別国債」であれば買うと言うべきであった。ニューヨークタイムズは社説で勝因として、①レーガンの不退転の決意と②日本の財政的支援を挙げていた。
欧州はギシシャ・ローマ時代には奴隷がいたが、一千年の間に、①徐々に奴隷を無くし、②キリスト教国同士が後々まで恨みを残すような非人道的な戦いをやめようと暗黙の合意に達した。アメリカは「神の招命」を持ち出し、インディアンの撲滅、南北戦争、日本への原爆投下を行い、①奴隷を使わない戦争 ②条件付降伏 ③平和の回復という戦争作法をご破算にした。

ウェストファリア条約の意義 日下
30年戦争はハプスブルグ家と阻止しようとする勢力、カソリックとプロテスタントの戦争で消えた町や村が百以上ある悲惨な戦争であった。最も重要なのは「原則として他国の宗教に口を出してはならない」という大原則が確立されたこと。

中国人の本質は「文」(外見の粉飾)である 日下
中国にとって「兵は詐なり」軍事力の一つ、文は飾るの意味。何事であれ見かけが大事。日本のインテリで騙されなかったのは、聖徳太子、菅原道真、内藤湖南、岡田英弘、現在は石平が有名。時事通信社の2005年のアンケートで中国が好きと答えたの4%、嫌いと答えたのは40.5%。日本の庶民の知恵は的確に中国の本質を捉えている。

北の核など日本の「死活問題」ではない 日下
戦後日本は焼け野原になった、その日本がこれだけ復活できた。あの焼け野原に比べれば、テポドンが十発飛んできても水爆ならともかくプルトニウムであれば運が悪いという程度。密集市街地にうまく当たるかどうかも分からない。ブラフをかけてきても、縮みあがってはいけない。第二次世界大戦後1954年のディエン・ビェン・フーの戦いでホーチミンは仏軍を包囲して全滅させた、フランスは「原子爆弾を使う」と言い出した、ホーチミンは「使うなら使え」と答えている。日本人よ気概を持て!その決意があるからこそ、アメリカはフランスに対して再侵略はやめるように忠告した。

孤立しても「核」を選んだインドに学べ 日下
日本はスパイ防止法がないので日本には情報を教えられない。スパイ防止法を作ることは核武装ほど国防力強化になる。1998年インドは核拡散防止条約(NPT)を無視して、核実験を実行した。日本も経済援助をストップして、川口外務大臣が訪印してて援助を再開することになった。インドの新聞によれば空前絶後の大歓迎をされた。世界中を敵にまわして孤立した、その後ブッシュと話しあって新しいNPTを結びなおした。「改定」とか「廃棄」とか言わずに、「よいものができたからこちらにしましょう」というかたちにした。

防衛問題は”戦場の常識”から考えよ 日下
苦戦している友軍は助けに行かない、というのが戦場の常識。いま行く、いま行く!と言って、アッツ島もサイパン島も硫黄島も沖縄もそうだった。ニューヨークやワシントンといった都市が火の海になるリスクを冒してまで日本を守るだろうか、ということは子供の頭で考えても分かる。安保条約には具体的な取り組みは書かれていない。モーゲンソーは「同盟はともに強くなければ維持されない」と書籍に書いている。

日本兵の規律正しさが「日英同盟」の原動力だった 日下
「守城の人」(村上兵衛)の主人公である芝五郎大将は北京に出兵したほかの国の軍隊はイギリスもフランスもロシアも略奪の限りを繰り返したが、規律正しく引き上げも潔かったことを英国ジャーナリストは絶賛した。総司令官の公使クロード・マクドナルドは事変後駐日公使に転じると、ソールズベリー首相に会って日英同盟を勧めている。

あまりにもお粗末なF・ルーズベルトの歴史観 日下
 Fルーズベルトはカサブランガの米英連合会議(1943)でドイツと日本に無条件降伏を要求すると語った。チャーチルは「それでは戦争がタルタン人の時代に戻ってしまう」と反論した。チャーチルはウェストファリア条約以来の暗黙の了解があるから、数日間抵抗した。ヒットラーはこの宣言を聞いて絶望した。ドイツはカサブランカ宣言以来、見違えるほど強くなった。スターリンでさえ、「ヒットラーに跪けと要求するような戦争をするな」と忠告している。ヒットラーを滅ぼしてもドイツ人は残るという認識は戦争に対する大人の見方。

アメリカは日本の「潜在能力」を恐れている 日下
ワシントンの人間は日本を脅威と感じている。脅威とは「意思」と「能力」がある。ウラジオストックの極東艦隊は「意図」があったが、「能力」は第七艦隊より低かった。日本のロケットは軌道をそれてワシントンの真上を通過した(2002年のH2A?)ことがあるし、プルトニウムもすぐ作れる。沖縄駐留のスタックボール中将が「ビンの蓋」論を唱えたのもこの点にある。《極東裁判で米国の法曹関係者は日本に報復権があると語っている》実際には日本をいじめていまの強い中国を作ってしまったという認識が欠落している。日本に世界新秩序を構想する能力が無いのがこの不景気の根本原因、アメリカばかりを責めるのは自分を劣位において安住する思考。

北朝鮮の恫喝に屈したクリントン政権 日下
94年の米朝合意直前はかなり危機的な状況があった。アメリカ海軍はトマホークを使えば北朝鮮の核施設を簡単に破壊できると考えたが、陸軍がこれに反対した。北朝鮮はソウルを火の海にすると恫喝した。韓国にはアメリカ第2師団の3万人に加えて家族が3万5千人いた。ペリー国分長官はクリントン大統領に死者は百万人、アメリカ人も8万人から10万人死亡し、軍事費用は1千億ドルにのぼると報告した。あのとき、日本は「日本の航空自衛隊も協力する」とか「在韓米国人家族の引き揚げに全面協力する」とか言うべきであった。日本のタテ割政府は責任を押し付けあった。そうすれば日米同盟は揺らがなかった。ゆらぐのは日本に自分を守る決意がないからである。米国人家族3万5千人を48時間以内に輸送すると決めて、自衛隊は勿論、JALもANAもレジャーボートもかき集めて、日本各地の温泉旅館に案内すべきであった。そう語っていたのは佐々淳行氏であった。

聖徳太子の故知に学ぶ時期がきた 日下
聖徳太子の「日出る処の天子、日没する国….」は、隋の煬帝が史上稀に見る暴君であったから。周辺国に朝貢を強要し高句麗を攻めようとしていることに気が付いた。煬帝が怒り出すことは百も承知であった。結果、十年後隋は唐に滅ぼされた。アメリカには日本に感謝するグループもいる(日本企業が進出している州など)、そうであるなら分断する戦略をとってはどうか?親日派の議員のお膝元の州に日本企業を進出させる。しかし、百年の歴史で見れば日本を敵にまわした国はかならず没落している。清、ロシア、蒋介石の中華民国、英国も日英同盟を廃棄してから落日の一歩手前。攻撃精神や略奪精神が旺盛で、誠心誠意の国ではないから。自制心や共存共栄や感謝する心がないから。

「保護なきところに忠誠なし」日下
第2次世界大戦のマレーシア、軍政下で日下氏の父は6つある裁判所の裁判所長に任ぜられた。中国のゲリラが南下してきた、日本軍は討伐し十羽一からげにして連行してきた。全員抗日ゲリラなので国際法に従って死刑にせよと要請してきた。日下氏の父は、住民に尋問した、「中国人のゲリラはどの程度の頻度で姿を表すのか?」1週間に1-2回、「では日本軍は?」1月に1回くらい。同氏はローマの「法諺」を使って判決文を書いた。「保護なきところに忠誠を求むる謂れなし」南方司令部から参謀が飛んできて、軍の威信を示せ」という。「われわれは内地で天皇陛下の何より判決文を書いていた。ここでは寺内総司令官の名前で判決を書く。司令官も天皇陛下の下にあるのだから、いい加減な判決を書いたら陛下にご迷惑がかかる」当時のエリートにはそのような気概があった。日本の敗戦でイギリス戻ってきたら、6人の裁判所長のうち5人が死刑に処せられ
た。保護なきところに…は世界の常識らしい。この問題の重要性を分かっていたのは、安倍さんぐらい。

アメリカ人の罪責感と恐怖心 日下
ハムラビ法典以来報復の原理があり、基本的には倍返し。米国の講演会でそう語ったら会場は静まり返った。日本人はこの罪の意識に付け込まないといけない。

米国の利益を代弁する″サロゲート〟たち 日下
日本の親米保守主義者は米国を擁護する、これをサロゲート(身代わり)と呼ぶ。石破 大臣は2009年の地下核実験の成功を受けて、「敵地先制攻撃なんて言ってどうする」と 発言した。最初から核保有を除外している。抑止力が大切と言ったが、その中身はまるでハッキリしない。

「核武装へ」十五のステップ(続) 日下
1 歴史問題をクリアする 中国には歴史認識カードしかない、さんざん議論しているう
ちに、世界はこの60年以上日本は何も悪いことはしていないと悟るにきまっている
2 金融不況については自己責任原則を提案する 世界に日本の存在感を示す良い機会になる
3 アメリカの財政危機や経済危機の対策について条件付で協力する 
4 国連から脱退する 拒否権のない国会を作ろうと提案する、提案が受け入れられないなら拠出
金を断る どうしても受け入れられないなら脱退する、そして新しい国連を作る
(東京財団の研究会で発言したら、安倍幹事長代理はアメリカはついてくると発言した) 
5 最後に「日本の道」を宣言する 大事なことは一つでもステップを上がること。

以上 いかがでしょうか。

中国の核戦力に日本は屈服する 今こそ日本人に必要な核抑止力 伊藤貫 著

2016年03月03日 15時13分01秒 | 書籍の感想とその他
『China 2049秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』では、親中国派(パンダハガー)のピルズベリー氏が、百年かけて世界の覇権を奪う密かな計画が孫子の兵法に倣って、着実に実行しつつあると警告を発しています。
では、日本はどう対処すべきか?その回答を求めて、以前勉強会で取り上げた伊藤貫氏による核武装論としてこの著作を取り上げ、仲間の皆さんと共に先週学びました。お薦めの書籍です。



小学館による要約は以下の通りです。

この本を読んでも「核保有」に反対ですか?

尖閣事件は中国の「勢力圏拡大戦略」の前奏曲でしかない。今後中国は露骨に日本の主権を侵害してくる。ワシントン在住で国際政治・経済のアナリストである著者は、何年にもわたって国務省、国防総省、CIAの高級官僚や軍事委、外交委の政治家、そして著名学者らと日本の安全保障について議論してきた。その結論は「日本にアメリカの核の傘はない」「MDでは核ミサイルを防ぎきれない」「アメリカに届く核を持つ中国と、日本のために戦争する気はない」であった。
(引用は以上)「

核とはそもそも先制攻撃によって相手を完全に滅ぼす(反撃能力を奪う)ことを可能にすることで、外交上強力な力を行使できる政治的な兵器です。ところが中国は、アメリカから多弾頭ミサイルなど先端技術を盗み*、ミサイルの固形燃料化による可搬性(DF-31F 東風)を実現したことにより、完全な報復能力を得ています。*クリントン政権時の大事件でしたが、同政権は隠ぺいしました。私はカンター国務長官が平和利用として、ロケットの高度姿勢制御の輸出を許可し発射に立ち会ったことを覚えています。正直、腹が立ちました。

以上を要約すると、「核の傘は無い」ということになります。問題は、「それでも日本には核武装させない」と国務省などの政府要人たちが考えていることです。著者は「それは如何に不道徳なことであるか!」との議論を行い、相手が認めざるを得ないところまで追い詰めています。このような議論こそ日本の政治家が正直にパブリックな場で行うべきと主張しています。《大いに賛成です》

核を持たせたくないから、高額なMD導入を強硬に求める。しかし、有効かもしれないのは単発の単弾道ミサイルの場合のみで、事実上迎撃成功の可能性1%にも満たないというのが国防総省の品質検証担当の見解なのです。北朝鮮のミサイルは実際に撃ち落とすことができませんでした。

中国は実際に「核の恫喝*(ニュークリア・ブラックメール)」を米国要人に何度も行っており、米国の核による抑止力は効かなくなっていることは明白です。著者が強い危機感を覚えるのはアメリカが団塊世代の退職などにより財政が逼迫し、日本からの軍備撤退、或いは日米安保の一方的廃棄が現実味を帯びてくることが背景にあります。

*一九九五年の秋、チャールズ・フリーマン元国防次官補が北京で熊光措副総参謀長に会つたとき、フリーマン次官補は、「中国はすでに、米軍が破壊することのできない移動式の核戦力を所有している。われわれにロサンジェルスを核攻撃されたくなかったら、台湾紛争に介入するな」 と恫喝されている。

中国は東アジアの覇権戦略で台湾の併合を必ず目指し、地政学的な危機は決定的になると著者は主張しています。台湾南部から米海軍が排除されることで航行の自由は失われ、日本はエネルギー政策(石油の輸入)に致命的なダメージを受けることになると警告を発しています。

もし通常兵器による台湾侵攻が行われた場合、核の恫喝に屈さず米第七艦隊が出動しても、生命線ともいえる通信衛星による空・海 共同オペレーションがレーザー兵器や衛星兵器により封じられる恐れもあります。

著者は、これらの脅威に対処するため、英仏型のDeterrence(自主的核抑止力)型の核武装をすべきであると主張しています。内容は小規模で安価な、必要最小限度の核抑止力のことであり、具体的には、潜水艦をべースとする核弾頭付き巡航ミサイルを、二〇〇~三〇〇基配備することです。

保守言論人の中には、「日本は数週間もあれば開発できる」と主張するのは虚妄だと断定します。保存しているプルトニウムの濃度はそのまま使えませんし、システムの構築には10年近い時間がかると主張しています。中国の軍事予算が米国を上回るまで(2020年まで?)に自主的核抑止力を実現しなければなりません。開発期間を短縮化するとともに、ただちに着手しないと間に合わないかもしれません。

最後に、自主的核抑止力に関する記者からの否定的な質問に対するサッチャー英元首相の実に堂々とした答を紹介します。

①一九四七~一九九一年の冷戦期に、米ソが直接、軍事衝突しなかったのは、核兵器のおかげである。核兵器の破壊力があまりにも強いため、米ソ両国は、彼らが支配する第三世界の衛星国に代理戦争させることはあったが、 核武装した米ソ同士の直接の軍事衝突は注意深く避けた。
この事実を見ても、核兵器に非常に高い戦争抑止効果があることは明らかだ。もし核兵器が存在しなかったら、米ソ両国は冷戦期に正面衝突して、数千万人の戦死者を出すような大戦争が起きていたのではないだろうか。

②イギリスは中型国家であり、その軍事予算は限られている。この限られた予算を使って最大限の戦争抑止効果を得るためには、通常兵器に投資するよりも核兵器に投資したほうが、高い抑止効果を得られる。核兵器への投資は、限られた英国軍事予算の生産的・効率的な使い方である。

③現在の国際社会は、核兵器を持つ国が支配している。そのことが良いことか悪いことかは別として、それが国際政治の現実である。もしイギリスが常に最新型の核抑止力を整備しておかなかったら、 イギリス政府は国際社会で独立した発言力を失ってしまう。

以上