いっちゃんのよもやまばなし

ユートピア活動勉強会で使用した政治・経済・歴史などの書籍やネット情報、感想などを中心に紹介します。

日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP) いまなお続く占領軍の心理作戦 関野 通夫 著 

2016年03月28日 13時15分46秒 | 書籍の感想とその他
保守系論客により「日本人を洗脳した元凶」と指摘されていたウオー・ギルト・インフォーメーション.プログラム(WGIP「戦争犯罪情報計画」GHQ占領下で実施)はその実在が疑われていましたが、国会図書館に乗り込んで,その実在を世に証したのがこの書籍です。《最新のWikipediaでは削除されています》



朝日新聞の誤報告白事件以後保守陣営の勢いがましてはいるものの、国連の人権委員会の動きなど、事態は日本にとって悪化の一途をたどり、いわれなき非難に対して日本人は一丸になって対応しなければならない。残念ながら、そのよう反日言動の支持はいまだに後をたちません。

同氏は2014年7月、<慰安婦の真実国民運動>の一員として、ジュネーブに出かけ、国連のいわゆる「人権委員会」を傍聴しています。日本の問題についての意見の発表が行われるそのセッションに入ろうとしたときに、国連の職員がやってきて、我々を会議場から排除しようとしたことを経験しています。

ジュネーブで目にした反日派の有名人は、「性奴隷(Sex Slaves)」という語を国連に持ちこんだと鼻高々の戸塚悦郎弁護士だったそうです。著者が実感したのは、日本の反日派を中心とする人々が、長年にわたって、ある意味充実した情報と思想を、国連人権委員会に売りこんできたという事実がある一方、保守派は、ほとんど何もしてこなかったという反省です。

これらの背景として、東京裁判史観だけでは説明のつかないものとして、ウオー・ギルト・インフォーメーション.プログラム(WGIP)に思い至り、江藤淳氏の『閉された言語空間』(文藝春秋)を読み返し、ウィキペディアを参照し、上記の疑問符が付けられていることを知ります。

下記は、そのウィキペディアの引用です。(引用)
【戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画。文芸評論家の江藤淳が『閉された言語空間』(1989年)において、この政策の名称がGHQの内部文書に基づくものであると主張し、江藤の支持者らが肯定的にこの名称を使用している。しかし、この内部文書そのものは江藤らによって公開されておらず、実在するかどうか明確でない】
自明の存在だとばかり思っていたWGIPが、真偽を疑われていたのです。

勝岡・高橋両先生の助力で絞りこみ、国会図書館で調査した内部文書の一覧表は以下の通りです。



特に重要なCIE(Civil Information and Education Section民間情報教育局)の通知(イ)と(ロ)を下記にイメージのまま引用します。









ご覧の通り、東京裁判に焦点を合わせてWGIPが教育から放送や新聞などを対象に洗脳工作(日本軍の悪逆非道など)が徹底的に行われたことがよく分かります。これに加えて検閲と焚書まで行われたことを併せ考えるとその戦略性に感動すら覚えてしまいます。《焚書に関しては既に西尾幹二によるGHQ焚書図書開封が出版》

昭和20年9月10日、GHQは、「新聞報道取り締まり方針」を発し、9 月19日には、「日本出版法」(Press Code for Japan)を制定しています。趣旨として「日本に言論の自由を確立するため」ということを謳っていましたが、もちろん連合軍に対する批判を許さない条項が盛られたものでした。30項目に及ぶ「削除及び発行禁止対象のカテゴリー」は以下の通りです。

①SCAP(連合国軍最高司令官もしくは総司令部)に対する批判
②極東国際軍事裁判批判
③GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判
④検閲制度への言及
⑤アメリカ合衆国への批判
⑥ロシア(ソ連邦)への批判
⑦英国への批判
⑧朝鮮人への批判
⑨中國への批判
⑩その他連合国への批判
⑪連合国一般への批判(国を特定しなくても)
⑫満州における日本人の取り扱いについての批判
⑬連合国の戦前の政策に対する批判
⑭第3次世界大戦への言及 
⑮冷戦に関する言及
⑯戦争擁護の宣伝
⑰神国日本の宣伝
⑱軍国主義の宣伝
⑲ナショナリズムの宣伝
⑳大東亜共栄圈の宣伝
㉑その他の宣伝
㉒戦争犯罪人の正当化および擁護
㉓占領軍兵士と日本女性との交渉
㉔闇市の状況
㉕占領軍軍隊に対する批判
㉖飢餓の誇張
㉗暴力と不穏の行動の扇動
㉘虚偽の報道
㉙GHQまたは地方軍政部に対する不適切な言及
㉚解禁されていない報道の公表

このようにしてWGIPの毒素は時間をかけて体内に浸透してしまいました。「日本人はこの作られた歴史観という”事実”に目覚めるべきである」というのが著者の主張です。

この書籍に寄せられた加瀬英明氏の序を以下に引用します。

日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP) いまなお続く占領軍の心理作戦

加瀬英明 加瀬英明外交評論家

アメリカによる占領下で、日本を罪深い国として仕立てる「ウォア・ ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」が、どのようにして行われたのだろうか。
マッカーサー総司令部(GHQ)は昭和二十(一九四五)年九月に日本を占領すると、十月二日に「各層の日本人に、彼らの敗北と戦争に関する罪、現在と将来の日本の苦難と窮乏に対する軍国主義者の責任、連合国の軍事占領の理由と目的を、周知徹底せしめること」(『一般命令第四号』)を命じ、日本民族から独立心を奪い、贖罪意識を植えつける政策が実施された。
十月二日というと、日本が米戦艦『ミズーリ』艦上で降伏した、僅か一ケ月後だった。
この年の十二月から、NHKが『真相はか(こ)うだ』(後に『真相箱』) の放送と、全国の新聞が『太平洋戦争史』の連載を始め、日本が非道きわまりない国であったことを、全国民に刷り込むことをはかった。
GHQは日本を軍事的に征服したうえで、日本民族から記憶を奪い、精神を破壊して、占領を終了した後も、未来永劫にわたってアメリカの属国としてつくりかえるために、日本に対して全面的に歴史戦を開始した。
九月に早々と報道を厳しく制限するプレスコード(新聞綱領)を定めたのをはじめとして、徹底的な検聞と言論統制、神道指令、公職追放、日本の国家指導者を裁いた東京裁判、日本国憲法などが、その手段だった。
WGIPは、日本をアメリカに隷属させる計画の柱だった。
関野通夫氏は本書で、WGIPの全容を、見事に白日のもとに曝している。その過程で、これまで知られていなかった、占領当局の関係文書を発掘している。
日本は昭和二十七(一九五二)年に、対日講和条約が発効して、独立を回復した。日本国民はWGIPによる洗脳工作にかかわらず、まだ多分に正気を保っていた。
その翌年に国会が法改正を行い、戦勝国による不当な軍事裁判によって処刑、獄死、自決された、いわゆる戦争犯罪人を戦死者とみなして、遺族に年金などを支給し、戦犯として刑期をつとめていた人々の即時釈放を求める決議を、ともに全会一致によって採択した。
その後、日本は戦争体験が風化するにつれて、正気を失なっていった。
WGIPが種を播いた自虐史観が、蔓延るようになったのは、売国的な日本人の手によるものである。
自由社ブックレットの創刊にあたり、WGIPの存在を明らかにした本書を、第一号としてお届けし、新しい興論が喚起するよう、願ってやみません。
(以上引用)

日本が有史以来初めて外国に敗れたショックが大きかったことは事実かもしれませんが、そろそろ自虐史観から脱却しなければならないと信じます。