今回の旅の目的は、昨年見られなかったアスピーテラインと、鳥海山の撮影だったが、youtube動画を見ているうちに秋田駒ケ岳に惚れて、突然路線変更をしたのだった。本当は三つ石山の絶景を撮影したかったのだが、二時間以上の登山をしなければならないということで断念した。大体登山は小学生のときに氷上山へ遠足で登ったきりで、このときには3時間かかったのだが、老体で二時間はえらいというので路線を変更した。これが大間違いで、動画を上げた人が「分岐点まですぐ」という「すぐ」は、登山に馴れた人の「すぐ」なので、ずぼらが考える「すぐ」というのとは意味が違うのだということは、登山道の半ばでしみじみわかった。山登りに馴れていないずぼら老体にはつらい。おまけに熊の生息地である。熊よけ鈴は森山荘のご主人から貸していただいたので登る間中鳴らした。さあ、行けども行けども分岐にたどり着けない。途中若い娘の二人連れが追いついて来たので、「あとどれくらい?」と聞いたら、「いままで登ったくらい」というのですっかり落胆した。心臓はとくとくと早く鳴り、呼吸は乱れて目の前に星がちらちらして来る。いやあ無理をして人さまの世話になるのもいやだ。もう降りようかとも思ったが、ともかく半分は登ったのだから ということで気をとり直し、途中休みながらでも目的を完遂しようと決心した。
結局三つ石山登山と同じ三時間ちかくかかって登った。苦労して登った山はたしかに雄大で、すばらしいが、その雄大な景色も生い茂った木々の所為で見えなかった。さらに強風で体が飛ばされそうで、おまけに熊も怖い。登山者が多ければ安心して動き回れるとも思うのだが、山に入ったのは数人。そさくさと下山したが、降りる道を見て、よくもまあ登ったものだと、「自分を褒めたい」というあの人の台詞の意味がわかったような気がしたのだった。(登山に馴れた人から見ればたいした登山ではない)
無事に降りたという報告書に記載をして、宿に戻ったのだった。 おわり
左に田沢湖が見えます
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