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書籍紹介*「発達保障ってなに?」

2012年08月23日 | 書籍の紹介
ご無沙汰しています。

今回は、今夏に発売された全障研出版部の書籍から
おもしろい本をピックアップして紹介していきたいと思います。

まず第一弾はこれ!
「発達保障ってなに?」

全障研HPから注文できます)

2012年8月に、全障研出版部から出された「ブックレット」です。

分かりやすい3部構成!
このブックレットは、「発達保障」を順を追って学ぶために3部構成になっています。
執筆者およびタイトルは、それぞれ次のようになっています。

 発達保障とはどういうことか?   /丸山啓史(京都教育大学・全障研常任全国委員)

 発達保障はどのように生まれたのか?河合隆平(金沢大学・全障研常任全国委員)

 障害児学級の実践から
   「みたがり・しりたがり・やりたがり」の芽を見つけ、育て、花咲かせる
 
                           /品川文雄(NPO法人発達保障研究センター)

本質をとらえた内容!
次に、順を追ってその内容を見ていきましょう。

「発達保障とはどういうことか?」
この章では、「ヨコへの発達」や人格の豊かさといったことから「発達」とはなにか?を見ていき、権利としての発達保障とはどういうことかを一緒に考えていきます。そして、発達保障を広げていくために、今どのようなことを大切にしたら良いのかを考えます。


「発達保障はどのように生まれたのか?」
この章では、発達保障が生まれてきた歴史的背景や、実践で積み重ねられてきた思い、国際的な動きと合わせて、発達保障を求めて運動していくことの意味を一緒に考えていきます。


障害児学級の実践から
      「みたがり・しりたがり・やりたがり」の芽を見つけ、育て、花咲かせる

最後の章では、品川さんの実践を通して、発達保障の思いや理論がどのように人間の関わりの中で息づいているのかを体感していきます。


■「ブックレット」の意味!
 『「発達保障」って身近に言われるけど、よく分かっていないかも』と思われている方は、全障研会員の中にもいらっしゃると思います。このブログで、これだけ発達保障という言葉を使った私自身もよく分かっていません。

 この「発達保障ってなに?」第2章(54頁)の中で、河合さんはこう言います。
 発達保障について明確な定義を与えることは、あまり意味がありません。なぜなら、私たち一人ひとりが「発達保障」という枠組みを通して現実を見たり、想像力を働かせることで、埋もれている事実や取り組むべき課題が掘り起こされてくるというのが、発達保障の最も重要な役割だからです。』と。

 そして、第1章(24頁)の中で、丸山さんはこう言っています。
 発達保障を担う人の輪は、その輪につながる人の発達を支えるものでもあります。発達保障を目指す取り組みのなかで、その人自身が発達していくのだと思います。障害児者の発達を考えても、発達保障の輪に加わる人が学び合い、自らの発達を実現していくことが望まれるでしょう。…障害のある子どもたちの発達を願うなかから発達保障の言葉は生まれましたが、障害児者だけでなく、すべての人が権利の主体であり、発達の主体です。互いに学び合うなかで、私たち自身が豊かに発達し、集団として育っていきましょう。』と。
 
 障害のある子どもや障害のある方たちの「発達」について、様々な場面で関わって支えておられる方がいらっしゃいます。この本に書かれているように、その方たちがともに実践や理想について語り合うこと自体が「発達保障」の営みの一部なのではないでしょうか。
 この本が「ブックレット」である意味もそこにあるのだと思います。分厚い本は、1人で黙々と読まないとずーっと読み終わりません。しかし、「ブックレット」という薄い本ならば、誰かとともに「あーだ、こーだ」言いながら読み進めることができるでしょう。
 「いつもは本なんて読まない」という人や「発達保障って難しそう」と思っている人にも、お勧めできる本だと思います。また、1人で読むのではなく、誰かと、一緒に、あーだこーだ言いながら、読み進めることをお勧めします。

 全障研に関わりのある方も、また全障研は知らないけれどという方も、障害のある方(子)たちとともに「発達保障」を目指すきっかけとして、ぜひお手にとってください。全障研公式HP(http://www.nginet.or.jp/shuppan/2012/what.html)よりご注文ができます。

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