ひゃっかんのひとりごと

日常生活の中で感じた事を、防備録の代わりに徒然に。

音程の良いチェンバロ奏者

2007-04-09 | 音楽
今日やっと昨年の12月に行われたコンサートのマスタリングが完成しました。しか
しこのCDが世に出る事はありません。主催者のためのCDです。内容はチェンバロと
室内楽です。

マスタリング後改めて聴き直してみると素晴らしい音程なのです。もちろん調律は
平均率ですが、聞こえてくる響きはまさに純正調そのもの。奏者は小林道夫先生。
本番当日、打ち上げの後にお話を伺ったのを思い出します。「年とってだんだんよ
れて来ましてねぇ…etc」 もちろんご謙遜です。
平均率で調律されたチェンバロを、純正調の様に聴かせるテクニックは並大抵の事
では有りません。チェンバロの楽器と言う特性上、全ての音が均等に鳴る様に出来
ているので、ピアノの様に強弱で純正調の様に聴かせる訳には行きません。
そのテクニックをほんの少し分析すると…、長調の時にはほんの少しだけ第三音を
早く弾き始めその余韻が残っているところに、根音と第五音を乗せる。短調の時に
はほぼ同時に弾き始めているのですが、微妙に第三音が早い気がします。しかしそ
この隙間には絶妙な音楽的な間が有り、違和感を感じさせません。
指を速く動かす事だけをテクニックと思っている今の若い人が聴いたら「へたく
そ」と思うかもしれませんが、これこそが職人技の究極だと私は思いました。
こう言った収録に立ち会えると言うのは至極の喜びですし、心が豊かになります。
職人技の先に初めて芸術が有る。そんな事を感じさせてくれた一日でした。

最新の画像もっと見る