小児科耳学問

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ヒブワクチンと髄膜炎

2009年04月11日 | Weblog
まったく本数の足りないヒブワクチンに関しては、不公平なので当院では接種に消極的だったのですが、問い合わせが多く、しぶしぶ始めました。ヒブワクチンの情報はあふれているので一般的な話は省略します。ヒブとはヘモフィルスインフルエンザ菌B型のローマ字の略語からきています。ヘ イ B が ヘイB になり ヒブ になりました。このワクチンは米国では3種類くらい流通しています。日本には1種類のみが輸入され不足の一因になっているのでしょう。米国でヒブ菌が重要視され検出されると、日本で結核菌が検出されるのと同じくらい家族調査や予防投薬が行われます。ヒブによる細菌性髄膜炎の割合は5歳までに2000人に一人がかかるそうです。罹患率は低く、発症後24時間以内に診断がつけば後遺症は残らないと思います。しかし診断が遅れると脳が破壊され脳性マヒなどの後遺症が残ります。医療機関受診前に家に残っている抗生物質を飲ませると細菌が検出できなくなり診断の妨げになります。保護者の方々は安易に発熱時に残っている抗生剤を飲まさないようにして下さい。細菌性髄膜炎の初期症状は発熱だけです。嘔吐や痙攣は症状が進んでから見られます。診断は背中から髄液を抜いて髄液検査するしかありません。医者は発熱した子供すべてに髄液検査するわけにはいかないので診察所見や血液検査などを参考にし、髄液検査のタイミングを計ります。通常髄液検査は夜間はできないので、早期診断を受けるにはなるべく平日昼間の診療体制が整っているときに小児科を受診することです。運悪く休日の場合も昼に受診しましょう。2日続けて夜間救急を受診するようなやり方は診断が遅れる原因になります。

気管支炎患者へのアプローチ

2009年04月11日 | Weblog
発熱、膿性鼻汁と咳の症状がそろう場合通常はフロモックスやトミロンなどのセフェム系抗生物質を処方します。しかし3日ほど内服しても改善しないときにマクロライド系抗生物質を追加すると改善することがしばしばあります。おそらくマイコプラズマやクラミジアが混合感染しているのだと思います。抗生剤単剤にこだわることはありません。セフェムとマクロライドを両方飲んでも改善しなければ気管支喘息など感染症以外の病名を考える必要があります。