去年のちょうど今頃、「邦画美男子 TOP 3は誰だ」という記事を書きました。
(ちなみにここで言う「美男子 TOP 3」とは「この映画のこの俳優」という、役柄込みでの超ワタクシ的なセレクションです)
あのときは、
『酔いどれ天使』 の 三船 敏郎(=松永)
『関東無宿』 の 小林 旭(=鶴田 光雄)
と、こう来て、あと一人どうしてもピンと来る人がいなくて保留になっていました。
しかし最近ついに「これぞ!」と思う人を見つけましたので、ここに発表します。
その人の名は…
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『安城家の舞踏会』 の 森 雅之(=安城 正彦)
前の記事では「松永・鶴田、両方ともヤクザだ。もし3人目もヤクザだったらちょっと恥ずかしい」というようなことを書きましたが、この森雅之演ずる安城正彦という男は、ヤクザでこそありませんが、不良です。不良貴族。
この映画はひと口で言えば、かつて名家の誉れ高かった華族安城家の没落と再生の物語です。中学か高校のころ、たまたまついていたTVで初めてこの映画を見ました。なぜだか全編ものすごく印象に残り、中でも初めて見る森雅之という俳優のイメージは強烈で、いっぺんに好きになりました。その後も森雅之の出演作を見るたびにこの映画のことを思い出し、是非もう一度見たいものだと思っていました。最近になってDVDが出ていることを知りさっそく手に入れて見たところ、「これこそ三人目だ!」となったわけです。
原節子という女優も、この映画で初めて見ました。原節子というと、いろいろな屈託や悩みを胸に秘め、それでもいつも白い花のように笑っている人、というイメージの役柄が多いように思います。この映画での役どころも、そういうイメージ。過去の栄華にしがみつき、空虚なプライドに囚われて前に踏み出すことのできない家族の中で、ひとり未来に目を向け皆を救おうとするけなげな令嬢敦子を演じています。
敦子の兄・正彦は、知・美・格を備えながらどこか弱さのある男。華族の長男という縛りから逃れられず、ただ全てを軽蔑することで自分を保とうとする投げやりな偽悪家。この複雑な役柄に、森雅之がぴったりです。
この人の数多い出演作の中で代表作を一本あげるとしたら、『羅生門』ということになるのではないかと思いますが、私の場合森雅之と聞いて最初に出てくるのは、ぜったい『安城家の舞踏会』。
父親である安城忠彦が、安城家で行われた最後の舞踏会でお妾との正式な結婚を発表する場面、唖然とする客たちの中でひとり立ち上がって拍手をするシーンが忘れられない。
この映画を紹介するにあたってぜひつけ加えておきたいのは、安城家当主安城忠彦を演ずる滝沢修のいかにも貴族的な容貌について。「三人目」はこの人でもいいかも、と思うくらいの美老人ぶりです。1906年生まれというから、『安城家の舞踏会』のときには41歳か…。えぇッ!65歳くらいかと思ったよ!若いときからおじいさん役といったら、その筆頭は笠智衆だけど(40代の頃から70歳くらいの役をやってたんじゃなかった?)、滝沢修も相当な老け作りですね。びっくりした。
あと、安城家のアンチとして成金のイヤな男が出てくるのですが(このかつては自分の下で働いていた下品な成金男に、「殿様」安城忠彦が膝を屈し死ぬような思いで懇願するという、涙なしには見られないシーンがある)、この男の娘役が津島恵子。
純情を装ってはいるけれど、実はその内面は非常にふてぶてしいという成金令嬢役に、私の嫌いな津島恵子がこれまたピッタリはまっている。
津島恵子という人は、大して可愛くもないのに『七人の侍』で木村功と恋に落ちる役をやったりして、私としては全くもって腑に落ちなかったのだが、こういう役ならばお似合いである。
そうだ、あとひとつ、殿山泰司が殿様の忠実な使用人役で出ているということも、言っておこう。
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画像は映画『恋文』より。
私はまだこの映画を見ていません。
森雅之の視線の先にはたまげるような美女が写っているのだが、その女優が誰だかわからない。
DVDが出ているようなので、そのうち買おうと思ってます。
↑この方です。どなたですか?
といっても私は1本も見てないのよ、恥ずかしながら。
さらに大きな声ではいえないが「黒沢明」の映画を
まともに見た事がない。う~ん。
一応言い訳をすると、私は映画は映画館で見るのが好きなので
(というかうちではわんにゃんのせいで落ち着いてみられない)
映画館で現在、上映してない映画はあまり見てないのよ。
それはともかく、この映画は面白そうだ。
それに森雅之さんも気になるよ。
昔はこんな映画をテレビでやってたんだね。
BSやケーブルもなかったのにね。
たまたま見たのが強烈な映画って素敵だ。
昭和の美しさだわ~。
「酔いどれ天使」は前から見たいと思っています。チラッと見た三船敏郎が、男前だった!
森雅之もよいですよね~。私は、こういう、ちょっと線が細いタイプに惹かれる傾向にあるみたい。
ご紹介の映画、いつか(いつになるやら~)見てみます!
>私は映画は映画館で見るのが好きなので
や~、やっぱり映画は映画館で見るのがベストですよねー。
DVDで見ても、ほんとの良さはわからないような気がします。
私が今まで見た中で一番好きな『LOVERS』という映画があるのですが、
これなんかほんとに映画館で見たかったです。
りきさん、森雅之好きなような気がする。
有島武郎の長男です。
実生活でも、ものすごくモテたそうです。
昔はTVで昼下がりによく映画をやっていたんですよ。
その頃見た映画で、心に残っているものがいくつかあります。
>チラッと見た三船敏郎が、男前だった!
そうなのですよ~!
ちょっとあくどい、野獣みたいな男前なんですよね。
森雅之は、知が勝っていてエレガント。
どちらも好きです。
この二人と原節子が出ている『白痴』(黒澤明監督)は、
嫌な映画だったなぁ…。とにかく暗くて…。
でも、そういわれると、観てみたい気もします(笑)。 前にも聞いていたかもしれないけど、森雅之って有島武郎の息子さんなんだ。有島武郎の「或る女」はつん読の一冊です。いつか読むぞ!
嫌な映画だけど、面白くないわけでは、もちろん無いですよ
原節子が、あの明朗さはどこへ??というような、謎めいて悲劇的な、
ファム・ファタールを演じています。
立派な顔だけに、深刻な表情が怖いです。
>いつか読むぞ!
私も~~
コメントありがとうございます
これ、久我美子ですか?うーん、違うと思うなぁ…。
久我美子は出演作を何本か見ているので顔を知っているのですが、
この写真のひとは別のひとのような…。
でも写真によっては、別人みたい写ることもありますよね。
久我美子は右の小鼻にホクロがあるけど、この写真ではちょうど見えない(笑)
DVDで確認しよう。
三橋達也さんの奥さんですね。
コメントありがとうございます。
安西郷子という女優は知らなかったので検索して見ましたら、
どうもこのひとっぽいですね!
「日本のピア・アンジェリ」と言われていたとか。
この写真も、確かにピア・アンジェリに似ている。
三橋達也の奥さんなんですか
三橋達也って私はあんまり好きでは無いのですが、
でも美男美女の夫婦と言って良さそうですね。
教えてくださって、ありがとうございます。
ところで、いま手元に『恋文』のDVDがあるのですが(まだ見ていない)、
パッケージには「安西郷子」の名は無いんですよ。
ひょっとすると上の写真、『恋文』ではなく別の映画のものなのかなぁ…。
もしそうだったら、ごめんなさい。
とにかくDVDを見てみなければ。