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カナダ政府の国民をテロから守るための具体的対策を盛り込んだ「2015年反テロ法(案)」の内容とその意義(その1)

2015-02-05 18:00:01 | 国家安全保障・テロ対策



 Last Updated:May 15.2021

 1月30日、カナダのハーパー首相(Prime Minister Stephen Harper)は拡大するテロの脅威と国民や社会の安全を守るため警察等法執行機関や国防省等国家のセキュリティ機関の権限強化を内容とする新たな立法措置の概要を発表し(注1)これに引き続き連邦議会では同法案の具体的審議(注2)が始まった。

Stephen Harper首相


 わが国では、日本人2人の人質がイラクとシリアで活動しているスンニ派イスラーム教原理主義組織であるISIS(ISIL)の残虐な行為に対し激しい憤りを覚えるとともに、世界中で活躍するNGO・NPOやビジネスマンやその家族等に危害が及ばないよう迅速な対応を取る必要が改めて指摘されよう。また、同時にわが国内で仮に2014年10月にカナダで起きた戦没者記念碑、カナダ連邦議会でのISISシンパシーのテロ事件問題の扱いの対応が問題となろう。

 従来からISIS等イスラム教原理主義グループに対する武力攻撃等を行っている米国やテロの被害にあったフランス等EU主要国等が極めて厳しい警戒態勢を敷くとともに、例えば、オーストラリアは反テロ立法を成立、または英国では最終法案審議を行うなど国内テロ阻止に向けた立法措置を行っていることはいうまでもない。
(注3)(注4)

このような状況下で、同首相はカナダ国内におけるテロ支援、擁護者を決して許さないとすることを2014年10月の連邦議会等へのテロ攻撃の直後に明言した。

 このカナダのテロ対策立法の概要につき、わが国のメデイアでも言及しているものがあるが
(注5)、その指摘は立法論および人権擁護問題として参考になる内容ではない。
 しかし、一方でイスラム国を名乗るテロ集団を厳しく糾弾すると言うのみのわが国政府の姿勢も「無責任」である。また、外務省の海外安全情報サイトのテロ情報の不徹底さも極めて問題視すべきと考える。

 わが国の現実は、各種民間NGO,JICAボランティア
(注6)や、現地派遣ビジネスマンやその家族、旅行者、自衛隊員等多くの日本人が仮に標的なるとしたら、さらには国内においてsympathyを感じたり、心情的に支援する者がいたとすれば、どのような結果が起きると考えるべきか。

 筆者が海外の主要国の取組みにつき情報を持つが故の過剰反応、不安かもしれないが、少なくともテロ阻止だけでなく人権問題と深く関わる問題でもあり、制度論としては今から検討することは決して無駄ではないと考え、本ブログをまとめた。
(注7)(注8)

 なお、本ブログ執筆中にもカナダの王立騎馬警察(RCMP)やその他法執行機関による国家安全保障法執行チームが現行刑法に基づくテロ犯罪容疑3名を逮捕、起訴した旨リリースがなされた。カナダの国家レベルのテロ対策プロジェクトの概要とともに追加して解説する。

  今回は2回に分けて掲載する。

1.ハーパー首相の発言要旨
(1)背景の説明
 筆者なりに、カナダの公式声明や地元記事等に基づき事実関係をまとめると次の点が首相や与党の立法論の背景といえる。

 カナダでは、2014年10月20日に東部モントリオール郊外で兵士2人を車ではねて1人が死亡する事件が起きたが、容疑者はイスラム教に改宗しイスラム過激思想に傾倒していた。また、同22日にケベック州サン ジャン サー リシュリュー(Saint-Jean-sur-Richelieu)の戦没者慰霊碑警護の兵士(ネーサン・シリロ伍長)がテロリスト狙撃・射殺され、その後、連邦議会に侵入、犯人(マイケル・ゼハフビボー(Michael Zehaf-Bibeau)容疑者(32歳))は射殺されるという事件が発生した。
 また、筆者がカナダのメデイアで確認したところでは、ISISに対する有志国連合のなかで唯一軍事攻撃に参加している問題が同国の議会でも大きく取り上げられている。

 このような背景からもカナダが内外のカナダ国民に対するテロリストの攻撃に敏感な事情が読み取れよう。
 なお、英国大手メデイアである「ザ・ガーディアン」は10月22日付け記事が事件の経緯、、またカナダの独立系大学新聞「コンコルデイアン」(注9)等がカナダ国内のイスラム教への改宗者の実態やカナダ軍の中東、東欧、アフリカ等における活動を生々しく解説している。

(2)政府による法案の概要説明
 プレスリリースで明示されている法案の具体的内容を見ておく。これらの法改正や新規立法を含む包括的法案がいわゆる”Anti-Terrorism Act 2015”である。 

①一般的にみたテロ犯罪の擁護や推進行為を犯罪行為とする。
②わが国裁判所にオンラインによるテロリスト教義の削除命令を発する権限を与えることで、テロリストの補充活動を無効化・阻止する。
③裁判所による監視活動を確実化する一方で、カナダ国家安全情報局(Canadian Security Intelligence Service:CSIS)カナダの安全保障に対する脅威に向けた活動権限を強化する。
④法執行機関にテロ犯罪やテロ活動の阻止させる権能の強化する。
⑤テロに関与する目的をもった航空機の利用阻止や安全輸送にかかる脅威を一層減ずるため「顧客保護プログラム(Passenger Protect Program)」を強化する。
⑥法執行機関にテロリストがカナダ国民を傷つける前にテロリスト容疑者を拘留し、また裁判所の命令違反に対し罰則を強化することをより簡便にする。
⑦連邦省庁間でテロの脅威の特定やその取組みにおいて国家の安全保障にかかる情報の効率的かつ責任を踏まえた情報の共有を可能とする。
⑧この法案の一部ではないが、政府は個人が急進的思想を持たんとする兆候を示すときは、地域社会とともに過激化の阻止や介入に向け動く。
⑨国家安全保障機関に、カナダに脅威をもたらす者に対し入国や非市民の地位を拒否するときに、機密情報の保護やそのよりよい使用を保証する。
⑩国家安全保障手続きおよび更なる起訴において証人やその他の参加者を提供する。

 なお、首相サイトでは、前述のとおり、議会の法案審議に資する意味から解説とリンクしている。あえて、①、②について併記・仮訳するとともに、筆者の判断で補足・説明した。
①一般的に見たテロ犯罪の擁護と推進行為の犯罪行為化の内容
 現行カナダ刑法においても他者に特定のテロ犯罪を助長の助言や行動は犯罪である。しかし、現行刑法(Criminal Code)はいかなる特定のテロ行為が該当するか明記されていないため、他者に「カナダ国内におけるテロ攻撃の実行」を説示する行為として必要に応じて刑法を適用することができない。
 今回の法案は、カナダ国民への攻撃を含むテロ行為やその助長行為を犯罪とする新たな刑法規定を新設することで、テロをあおる教唆行為を阻止することに寄与する。新設の刑罰は最高5年の拘禁刑で、この刑罰レベルは不特定のグループに対し大量虐殺を擁護したり推進した犯罪に対する刑罰と同等である。また、刑法に定める教義のプロパガンダ活動を規制する3つの犯罪のもっとも重大な犯罪にあたる。
 法案ではテロの結果がもたらされるか否かにかかわらず、また故意または過失にかかわらず意図的なテロの擁護や助長行為を禁ずるものである。

②テロ教義プロパガンダ・データ・資料等の押収
 カナダ国民の考えを急進主義者化しまたテロのシンパ募集を目的とするテロリスト教義の拡大を狙うテロ団体の能力を制限するため、本法案は刑法にインターネットを含むテロリストの教義手段を押収し、頒布による拡大を排除させる命令の新たな発行権を裁判所に与えることを意図している。これらの押収はすべて司法命令(judicial order)を要することとなる。
 この新たな手段は英国、オーストラリアやその他の同盟国にすでにある法律と類似する。例えば、英国法のモデルで見ると(注10)テロを賛美または賞賛するソーシャルメデイやウェブサイトの分解や手段への当局の規制を認める「2006年テロ法」を制定、厳しい運用を行っている。(注11)
 また、オーストラリアの通信・メデイア規制・監督機関であるACMA(通信メデイア庁)はテロ勧奨や暴力、性描写等オンラインの内容に対する利用者の苦情申立サービスを実施している。ACMAは苦情を受け付けた後、ISP等サービスの提供事業者に通知を行い、その命令内容を記録する。

 カナダの現行刑法は裁判所に対し子供ポルノ(child pornography)や憎悪のプロパガンダ(Hate Propaganda)に関する素材の押収(seizure)や没収(forfeiture)を認めている。(注12)しかし、現行法はテロリストに関するプロパガンダについての規定はない。
 法案はテロリストのかかるプロパガンダに適用すべく2つの押収令状を作成する。テロ犯罪の実行を命じたり一般的なテロ犯罪の実行の支援、擁護を進める素材はテロのプロパガンダ素材とみなされる。

2.Anti-Terrorism Act 2015法案の正確な内容
 連邦議会では同法案C-5につき、第一読会での審議が始められている。連邦議会の全法案審議を追跡できる公式サイトが”LEGISinfo”である。また民間ベースでの追跡サイトが”OpenParliament”である。

 今後の審議状況を追いながら、問題点を改めて整理したい。なお、カナダの人権擁護団体やプラバシー問題の研究者の意見等についてはまだ本格的なレポートは見当たらない。別途調査したい。 

 このような中で、オーストラリア人で2007年にテロリストに物資を提供したとする裁判で有罪答弁を行い、ガンタナモ軍基地収容キャンプ(注13)に収容されていたデイビッド・ヒックス氏(David Hicks)につき無実とすることに米国政府が同意したという記事が1月23日付けのABC news に掲載されている。同記事によると、有罪答弁は法執行機関の強要に基づくものであり、現在控訴中であると記されている。

3.カナダの王立騎馬警察やその他法執行機関による国家安全保障法執行チームが現行刑法に基づくテロ犯罪容疑で逮捕、起訴した旨のリリースの内容
(カナダの国家レベルのテロ対策プロジェクトの具体的成果例)

(1)カナダでは前述の議会での立法作業に優先したかたちで、警察組織横断的な安全保障特別捜査チーム「SERVANT Project」が2012年12月に立ち上がり、2013年1月にはアルバータ州・エドモンドにk division「統合国家安全法執行チーム(INSET)」(注14)を第5番目のものを立ち上げている。

 今回のテログループの逮捕は、これらチームの連携活動の成果であるとカナダのメディアは報じている。
○ 2月3日付けのCBCの記事「ISISとの緊密な財政、過激な思想面等関係に基づきオタワ住民の男性3人がRCMPにより逮捕、起訴」の要旨を仮訳する。
 

容疑者アウソ・ペジャダエリー(Awso Peshdary:25歳)
カナダ刑法第83.18条(テログループの活動への参加)および第83.19条(テロ活動の支援)(注15)が起訴事由である。

ジョン・マクガイヤー(John (Yahya) Maguire:24歳)
起訴事由は刑法第83.19条。である。

カダール・カリーブ(Khadar Khalib:23歳)
カリーブの起訴事由は刑法第83.181条および第83.18条である。

 これら3人に対し共通して刑法第465(1)(c)(共謀罪)が適用される。
その起訴容疑は、テロ活動を支援するにつき共謀し、故意にテロ集団の活動に参加および参加にあたり第三者にカウンセリングを行ったことも上げられている。
 ペジャダエリーはオタワ市内で拘束され、マクガイヤーとカリーブは不在のまま起訴された。
○ RCMPは2人(マクガイヤーとカリーブ)の逮捕令状を得て、同時に国際刑事機構の”Red Notice”(国際刑事警察機構が加盟国の申請により発行する通知。その国で逮捕状が出ている被疑者などについて人物を特定し、発見したら手配元の国に引き渡す方向で協力するよう各国に要請するもの)の発行を要請した。

○“Project SERVANT”等が捜査で容疑者の違法な活動情報
 2月3日付けのCBC記事が主犯格のペジャダエリーの共犯者への勧誘行為、さらにはテロ関係の捜査で5年前に一度逮捕されていたが、テロ犯罪では起訴されず釈放された事実等に言及している。今回の起訴に伴い、オタワ住のテロ犯罪で起訴された男性の数はのべ6名となり、カナダ国内で起訴された最大の過激な聖戦主義者の集団となる。

(2)カナダのテロ等重大犯罪の重要性にかんがみた捜査情報の充実度
 前述したような捜査当局が示した容疑者の詳細なプロファイル情報は一挙に収集できるものではない。プライバシー問題に比較的おう揚なわが国の捜査機関ではプロファイル情報が果たしていかほど有しているのか・・・まだまだの感強いが、重要課題であることは間違いない。(注16)

4.わが国「外務省」の海外安全情報の不確実性
 最後に読者は2つの外務省サイトをよく比較してほしい。いずれも2月1日現在で収集した情報である。いったいどちらがわが国民に対するテロ情報として機能するであろうか。
外務省 海外安全ホームページ「テロ・誘拐情報」2014年4月7日
外務省「 危険情報・スポット情報・広域情報」2015年2月1日

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(注1)1月30日の発表時、法務大臣兼司法長官ペーター・マッケイ(Peter Mackay)公安および緊急事態対策担当大臣スティーブン・ブレイニー(Steven Blaney)および国防副大臣ジュリアン・ファンティーノ(Julian Fantino)が同席している。

(注2)連邦議会では同法案の具体的審議(第一読会)が1月30日に始まった。

(注3)オーストラリアは、法案「Counter-Terrorism Legislation Amendment (Foreign Fighters) Bill 2014」を2014年10月30日 連邦議会両院で可決、11月2日国王裁可により成立している。同法案の詳しい内容は司法長官が議会で説明した内容を参照されたい。また、英国議会では「2014-2015年 反テロおよび安全保障法案(Counter-Terrorism and Security Bill 2014-159」が上程、審議されて、現在、第2会期・第三読会で審議されている。同法案の内容は法案説明書(EXPLANATORY NOTES)を参照されたい。

(注4) わが国のメディアではほとんど報じられていないが、1月15日ドイツのメデイア「Deutsche Welle 」は「ベルギーがテロ対策強化:大規模なテロ攻撃を計画していたシリアから帰国していたイスラム教徒グループを急襲し、2名を射殺し1名を拘束した」とするベルギー警察や連邦検事の発表を報じた記事を載せた。ベルギーの警察・司法当局は1月7日のフランスの17人が殺されたテロの前から捜査を進めており、テロの脅威は欧州全体に広がっていることは間違いなかろう。ドイツ連邦警察も2008年11月25日にイスラム急進派を擁護するウェブサイトの責任者を逮捕し、また最近もドイツ国籍を持つシリア国内での反政府グループ(ISISの支持者)2名を逮捕している。

(注5)1月31日の読売新聞は次の記事を載せている。
「カナダのハーパー首相は1月30日、国内でのテロ行為を未然に防ぐため、情報機関や捜査機関の権限を大幅に強化する法案を議会に提出したと発表した。
 昨年10月に国会議事堂などで発生した銃乱射テロなどを受けての措置で、議会は与党が多数を占めるため、成立は確実とみられる。
 政府の発表などによると、法案は〈1〉インターネット上などでテロを呼び掛ける行為を訴追対象とする〈2〉疑わしい人物の渡航や金融取引を阻止できる権限を情報機関に与える――などとする内容。テロを助長するサイトの閉鎖も可能にする。」

(注6) 青年海外協力隊、シニア海外ボランティア、および中南米地域の日系社会への協力を活動内容とした日系社会青年ボランティア、日系社会シニア・ボランティアの4種類がある。

(注7 )テロ問題はカナダのわが国の大使館でも重要課題であり、決して無視し得ない危険な状況にあることは理解しておくべきであろう。

(注8) 2月4日付け時事通信記事は「国内にイスラム国支持者」=山谷国家公安委員長が答弁」を取り上げている。少なくともわ国内にシンパが活動していることは関係機関は情報を持っているとしても、現行のわが国の法体系の中でいかなる法執行が取れ、また対抗策がありうるのか、大いに疑問である。

(注9) 「コンコルデイアン」は、モントリオールのコンコルデイア大学の独立系新聞(週刊)である。わが国のメデイア以上に情報収集力があるように感じた一方で、カナダの若者への過激な思想シンパシーに敏感になっていることも事実であろう。

(注10)カナダ政府の説明では英国やオーストラリアの類似法やその内容までは言及していない。
 筆者なりに調べた範囲で補足する。
英国立法「Terrorism Act 2006:CHAPTER 1」第28条の原文は次のとおり。

28 Search, seizure and forfeiture of terrorist publications
(1) If a justice of the peace is satisfied that there are reasonable grounds for suspecting that articles to which this section applies are likely to be found on any premises, he may issue a warrant authorising a constable—
(a) to enter and search the premises; and
(b) to seize anything found there which the constable has reason to believe
is such an article.
(2) This section applies to an article if—
(a) it is likely to be the subject of conduct falling within subsection (2)(a) to (e) of section 2; and
(b) it would fall for the purposes of that section to be treated, in the context
of the conduct to which it is likely to be subject, as a terrorist
publication
Terrorism Act 2006 (c.11)Part 2 — Miscellaneous provisions 29
(3) A person exercisin g a power conferred by a warrant under this section may use such force as is reasonable in the circumstances for exercising that power.
(4) An article seized under the authority of a warrant issued under this section—
(a) may be removed by a constable to such place as he thinks fit; and
(b) must be retained there in the custody of a constable until returned or
otherwise disposed of in accordance with this Act.
(5) An article to which this section applies which is seized under the authority of a warrant issued under this section on an information laid by or on behalf of the Director of Public Prosecutions or the Director of Public Prosecutions for Northern Ireland—
(a) shall be liable to forfeiture; and
(b) if forfeited, may be destroyed or otherwise disposed of by a constable
in whatever manner he thinks fit.
(6) In Schedule 1 to the Criminal Justice and Police Act 2001 (c. 16) (powers which relate to the seizure of property in bulk)—
(a) in Part 1, at the end insert—
“73H The power of seizure conferred by section 28 of the Terrorism
Act 2006.”
(b) in Part 3, at the end insert—
“113 The power of seizure conferred by section 28 of the Terrorism
Act 2006.”
(7) Nothing in—
(a) the Police (Property) Act 1897 (c. 30) (property seized in the investigation of an offence), or
(b) section 31 of the Police (North ern Ireland) Act 1998 (c. 32) (which
makes similar provision in Northern Ireland),applies to an article seized under the authority of a warrant under this section.
(8) Schedule 2 (which makes provision about the forfeiture of articles to which this section applies) has effect.
(9) In this section—
“article” has the same meaning as in Part 1 of this Act;
“forfeited” means treated or condemned as forfeited under Schedule 2,
and “forfeiture” is to be construed accordingly;
“premises” has the same meaning as in the Police and Criminal Evidence
Act 1984 (c. 60) (see section 23 of that Act).
(10) In the application of this section to Scotland—
(a) in subsection (1), for the words from the beginning to “satisfied”
substitute “If a sheriff, on the application of a procurator fiscal, is
satisfied”;
(b) in subsection (5) omit “on an information laid by or on behalf of the
Director of Public Prosecutions or the Director of Public Prosecutions
for Northern Ireland”;
(c) in subsection (9), for the definition of ‘“premises” substitute—
“‘premises’ has the same meaning as in the Terrorism Act
2000 (c. 11) (see section 121 of that Act).

(注11)英国の言論自由擁護団体(Freedom House)は”Freedom on the Net 2013”サイトで国別の解析を行っている。その英国版では2006年テロ法等関係法について詳しく分析している。

(注12) 現行カナダ刑法は第320条で大量虐殺等「憎悪のプロパガンダ(Hate Propaganda)」に関する素材、データ等、また第163条で子供ポルノに関する素材等に対する押収や差押えを裁判所に与えている。また、裁判所命令でウェブサイトのオーナーやISPに当該素材の削除命令権を与えている。なお、「憎悪のプロパガンダ」について同刑法の該当条文の訳文を一部抜粋引用する。
〔Advocating genocide〕
〔大量虐殺の支持〕
318. (1) Every one who advocates or promotes genocide is guilty of an indictable offence and liable to imprisonment for a term not exceeding five years.
第318条第1項 大量虐殺を支持もしくは奨励する発言を為したる者は誰でも、起訴犯罪で有罪とし、5年以下の禁固刑に処す。

〔Definition of “genocide”〕
〔「大量虐殺」の定義〕
(2) In this section, “genocide” means any of the following acts committed with intent to destroy in whole or in part any identifiable group, namely,
第2項 本条でいう「大量虐殺」とは、定義可能な集団の全体もしくは一部を破壊する意図で行われる、以下にのべる行為を指す。すなわち、
(a) killing members of the group; or
(a) 集団のメンバーを殺害すること、または、
(b) deliberately infl12icting on the group conditions of life calculated to bring about its physical destruction.
(b) 故意に、集団に肉体的な破壊をもたらすこと。
(以下、略す)

(注13) グアンタナモ米軍基地収容キャンプ(Guantanamo Bay Detention Camp)は、カリブ海のキューバ共和国南東部にあるグタンタナモ米海軍基地の収容キャンプ(収容所)で、2002年よりアフガニスタン、イラクで拘束されたアルケイダ、タリバンなどイスラム過激派テロリスト容疑者が収容されている。

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