社会課題解決2020

実に10年ぶりにブログリニューアルです。ここでは主に社会の課題解決、SDGs関連を取り上げて行きます。

組織改革の本質・・・動きが変わる

2009-03-04 23:50:43 | Weblog
 10年前の1999年に、月刊「地方分権」(ぎょうせい刊、後にガバナンスに名称変更)に連載された「ケースに学ぶ自治体組織改革再編手法」の第1回で、組織改革とは単に組織の機構を変えるものではないと警告した。先日、ある市の組織と人事担当の課長さんからこの記事に関する問い合わせを頂いた。そこで改めてその原稿を読み直してみると、その骨子は10年後の今でも十分適用できることが確認できた。

 以下はその2009年度版としてのリメークである。

行革大綱(集中改革プラン)の中で「効果的、効率的な組織体制」と明記され、
この4月から組織機構改革を行う自治体も少なくないようだ。

 しかし、組織機構改革は実際にそこで働く職員から見ればなかなか実感が涌かないのではないだろうか。せいぜい半年間位で機構案を検討しても結局はあまり変わり映えのないありきたりの大括りフラット組織機構を採用したり、あるいは組織問題の本質を議論せずに新組織の名称などの議論に終始してしまうというのが実態だと思う。

 そもそも組織の機構は中長期のまちづくり目標(基本構想、基本計画)に基づいてトップの決断で行うものであり、そこには明確な基本理念、組織原理がないといけない。さらに、そうした理念を具体的な業務分担、責任権限分担を通じていかに末端まで浸透させるか、この浸透度合いによって組織改革の成否が決まるのである。

 例えば以下の質問に対してどう答えるだろうか?

・効果的・効率的な組織体制となった状態を、自分の課や仕事に当てはめるとどうなるのか?
・昨年度と今年度で仕事の内容ややり方をどう変えなければ効果的または効率的に なったと言えるのか?
・今回の組織機構改革は定員管理や事務事業見直し、あるいは職員の能力開発など とどう連動してるか?
・庁内の各課がまちづくりなどの課題に対して連携が図られているか?
・新組織で政策の形成や事業の意思決定の過程はどう変わるのか?
・あなたやあなたの所属部門に与えられた権限や責任はどう変わるのか?
・業務執行の手続きや職員の分担を効率的にするための手だてはあるのか?
・新組織を具体化するために職員一人一人の21年度の業務遂行目標や職務拡充目  標、さらに能力開発目標は既に設定されているのか?

これらの質問に明確に答えられなければ再度、組織改革の原点に戻って本質的な議論をすべきであろう。ただその議論の枠組みが重要である。

まず組織機構改革は組織改革の一部に過ぎないということと、それらの改革の出発点は組織ビジョンを設定することにある。組織の機構やポストの削減などは組織の構造的那改革の一部であり、むしろ全庁的な観点での集権と分権、集中と分散の最適化の議論が先である。

 本来はこれらが行革大綱で明確に示され、それに基づいて組織機構改革や行政評価が論じなければならないのだが、どうもその通りにやっている自治体は未だ少数の様だ。

 大概は行革担当部門や企画、人事部門がやっていること、打ち出している内容がバラバラに縦割り志向でやられており、時に互いの足を引っ張っていたり、重複したことをやって現場の混乱を招いていることが少なくない。

 これは関係部門の課長が各々が考えていること、やろうとしている方向性を改革の全体像として行革大綱の中で共通認識してなかったからである。よくこのような症状の組織では部課長が「トップのリーダーシップ」とか「職員の意識改革」と叫んで自分たちの当事者意識を忘れてしまうことがたまに見られる。

 組織改革の本質は組織機構の変更ではない。むしろどのように組織が、その中の役職が動いたかである。


最新の画像もっと見る