社会課題解決2020

実に10年ぶりにブログリニューアルです。ここでは主に社会の課題解決、SDGs関連を取り上げて行きます。

オバマ大統領の就任演説・・・再生への道は政策評価を本気でやること

2009-01-30 23:52:02 | Weblog
オバマ大統領の就任演説は既に英文や和訳文で各新聞に掲載されたが、その中で特に共感を覚えた文を、独自の翻訳で紹介する。実務家としての意訳を入れている。
特に政治家や公務員に読んでもらいたい部分だ。

What the cynics fail to understand is that the ground has shifted beneath them - that the stale political arguments that have consumed us for so long no longer apply.

☆政府の在り方を論ずる評論家は、自らが拠りどころとする視点が今や大きく変わってしまったことを理解していない。それは政府のあり方について長年時間を掛けて議論されてきたことである。

The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works

☆もはや政府が大きくあるべきか、小さくあるべきかを議論することではない。むしろ、政府が正しく機能しているかを議論すべきである。(目的を達成しているかどうか)

- whether it helps families find jobs at a decent wage, care they can afford, a retirement that is dignified.

☆それは各家庭が十分な所得を得る仕事に就け、必要な医療保険を受け、遜色のない退職金をもらえるように政府が支援しているかどうかなのである。

Where the answer is yes, we intend to move forward. Where the answer is no, programs will end.

☆その質問に対してイエスであれば私たちは政府の仕事をさらに進める。ノーであれば政府の仕事を思い切って止める。

And those of us who manage the public's dollars will be held to account - to spend wisely, reform bad habits, and do our business in the light of day - because only then can we restore the vital trust between a people and their government.

☆さらに税金などの公金を扱っている私たちは、それらを賢く使い、悪しき慣習を是正し、情報公開に耐えられるような仕事をしていく。なぜならばこうした姿勢を貫くことで初めて国民と政府との間の信頼を築くことが出来るからである。

・これはまさに政策評価、行政評価を正しく実践することを強調していると理解出来る。政府が正しく機能しているかどうかを評価するのが政策評価、行政評価の実践ということだ。

http://www.gyosei.co.jp/home/books/book_detail.html?gc=1111715-00-000


 

成田での警察庁キャリアの不祥事から真の警察刷新を考える

2009-01-17 01:51:13 | Weblog
新聞報道によると、警察庁人事課の課長補佐の警視(36歳)が昨年12月24日、成田空港の手荷物検査場で、国際線への持ち込み制限を超える男性用化粧水を持ち込もうとして女性の航空保安検査員に制止された。その際、「私は警察庁の警察官だ。県警本部長に連絡してもいいんだぞ」などと暴言を吐き、トレーを投げつけたという。
この警視は2000年に警察庁入庁。昨年4月から人事課に配属され、警察官の職務倫理教育を担当しているとのことだ。

誰もがこのニュースを知って情けないと思ったであろう。

警察官の不祥事は後を絶たないのが残念だが、この事件は法律的には重くはないが、組織体質的にはとても重く受け止めるべきものである。

警察組織の人事制度は巡査→巡査部長→警部補→警部→警視と言う典型的な
資格制度であり、多くの警察官は都道府県の警察本部(東京都は警視庁)に巡査として採用され試験をパスして昇進(昇格)をしていく。私は警部クラスのマネジメント研修の講師を行った経験があるが、警部は、一般企業で言えば課長級で部下を持って組織の統括を行うマネジャーである。年齢は35歳から55歳位と幅がある。もちろん警部にならずにして定年退職となる警察官は沢山いる。

そうした多くの警察官に対して、この警察庁の職員はキャリアと言われ短期間で、警部のさらに上の警視まで昇進(昇格)をしている。一般企業で言えば、
地方の支社採用ではなく本社採用のエリート社員。まあこれだけの短期間の昇進
となるとそれは普通の人ではなく、オーナーの息子、後継者にありがちな処遇
と言える。

皮肉なことに彼が警察庁に入庁した2000年は相次ぐ警察の不祥事を受けて
国会公安委員会に警察刷新会議が設置され、7月13日に緊急提言が発表された。
しかも、この日を警察刷新の日と定めて、この提言が風化しないようにと
された。これは警察官の職務倫理教育の原点にもなっているはずである。

そしてこの緊急提言の中には「人事・教育制度の改革」と題して以下の項目が
見られる。
http://www.npsc.go.jp/sasshin/suggestion/7_9/index4.html

・・まず、キャリア警察官に最も求めたいものは、霞が関にとどまらず都道府県警察の第一線現場も自らの働きの場であるという認識であり、「ノブレス・オブリージュ(高い地位には義務が伴う)」の考え方に基づく使命感の自覚である。
 また、入庁後の約10年間は、将来必要とされる知識を習得し経験を積む上で大変に貴重な期間であるため、他省庁の1種採用者との処遇の均衡に配意しつつも、警視に昇任するまでの期間を現在の2倍程度に延ばすべきである。被疑者の取調べなどの捜査実務や住民と直接に接する交番での勤務経験などを充実させるとともに、海外留学の機会も与えるようにすべきである。・・・・

今回の不祥事から推察されることは、こうした人事・教育制度の改革は道半ば
ということである。もしかしたらこの警察刷新会議の提言そのものが風化して
いるかもしれない。

成田空港での彼の発言からは「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige:高い地位には義務が伴う)」の考え方に基づく使命感の自覚どころか、「ノブレス・
プリビレッジ(nobless priviledge:高い地位だから特別扱いが当たり前)」の
考え方に基づく法令遵守と倫理観の欠如が伺えるのが残念だ。さらに言うと、
組織の運営原則から外れた認識も持っているようだ。

「県警本部長に連絡をしてもよい」とはおそらく「県警本部長に言えば特別
扱いしてくれ見逃してくれる」との認識があったわけで、普通の常識では
考えられない。なお、県警本部長は警視よりもさらに2階級ほど上の資格
を持つ人である。

 一般の企業を例にすると、本社の人事課の課長補佐が、工場に出向いた時に
工場の安全基準に抵触した行為をしようとして工場管轄の警備員に制止された
時に「工場長に伝えておくから見逃してほしい」と言っているようなもの。

 警察庁=本社、県警本部=工場長、そしてその工場長の人事権を持っている
人事課の課長補佐の方が偉い・・これは勘違いのノブレスと言うものだ。
少なくとも人事課の職員である以上、人事教育制度の改革を進めて警察組織の
信頼回復と使命発揮に結びつけることを第一に考えるべきである。それが
職業倫理と言うものだ。

現在の警察庁の人事課長は大変お気の毒であるが、今回の事件を決して
表層的なものとして受け止めないで、次の自分の異動先などを気にせず
再度、警察刷新会議の提言を読み直して、キャリア職員が「ノブレス・
プリビレッジ病(=オーナーと勘違い病)」に陥ってないか、日頃の
発言や行動にその兆しがないかなど交通安全教育で強調している「ヒヤリ
ハットの法則」も当てはめてみて、人事評価と教養(研修)の在り方を
再点検することを期待する。

今年の7月13日が楽しみだ・・・




 





 

定額給付金問題は予算編成制度改革の契機に

2009-01-16 00:49:40 | Weblog
 財務省の諮問機関の一つである財政制度等審議会が、2008年度第2次補正予算案に盛り込んだ定額給付金(総額2兆円)の撤回、見直しを求めることになった。
政府の諮問会議が諮問されてない事項を提言、進言するのは珍しいことと言われている。審議会の西室会長は財務省の事務方から「過激なことは控えて」と言われた
そうだが、形式に捉われない思い切った言動にまずは敬意を表したい。

定額給付金に関しては既に各新聞者の世論調査結果を見ても、7割以上の人が
「バラマキだ」「景気対策には雀の涙だ」などと反対をしている。要は、民意の
反映に基づく政策というよりは政局の手段としての予算使途と言える。

 財政制度等審議会は大企業トップや大学教授など相当たる有識者が委員に
委嘱されているが、私としては、定額給付金という一つの事業、予算使途の
指摘だけに止まらず、予算編成制度改革との関連で、民意を確実に政策として
予算に反映出来るような仕組みと運用の提示をして欲しかった。

 それは財政制度等審議会の一つに「財政制度分科会」が設置されており、ここの
所掌事務は「国の予算、決算及び会計の制度に関する重要事項を調査審議すること」と明記されているからである。今回の審議会では「定額給付金の支給を
止めて他の経済活性化策にその予算を振り向けるべきだ」との意見が大半を占めた
ようだが、そのようなことは日々のテレビで多くのニュースキャスターやコメンテータがより庶民感覚で訴えている。

 むしろ、そのような民意を必ずしも反映していない予算使途案(事業)が出てきた時に、その目的を明確にして、それによってどれだけ成果が期待出来るのか、
それを実施する上でのリスクはないか?それを行う際のコストは適正か・・など
の「新規事業の事前評価」を義務付けることが大切である。こうした予算編成制度改革としてその所管大臣である財務大臣またはその上司の総理に進言するのが、この審議会の本来の役割ではないだろうか・・例えば工場に例えると、顧客の要求基準を達成できそうもない製品を検査して、「これは出荷すべきでない」と指摘する
のは改革とは言えない。品質不安定な製品が出荷されつつあることの深層原因を
究明して抜本的な仕組みと運用を行うのが改革である。

 ついでであるが、この定額給付金が支給された後には必ず政策評価(事業の事後評価)を行うべきである。そして将来に対する教訓を残しておくことが
政府のマネジメントサイクル(計画・予算・決算・評価)のレベルアップをはかる
上でも重要なことだ。

 

要するにまずは「業務マネジメント」の実践!

2009-01-15 01:57:00 | Weblog
ワークシェアリングについて追記。

報道によると14日、東京で開催された「新春労使トップセミナー」で、連合の会長がワークシェアリングの前提としてサービス残業などを含めた労働時間の正確な把握が必要と説いた。また同じ仕事を正規従業員と非正規従業員が行っている場合には同じ賃金水準を適用する「同一労働・同一賃金」も課題提起した。

確かに働く側の立場としては「自分たちの仕事の実態を踏まえた適切な対応策を採らないとワークシェアリングの副作用だけが出る」とか「ワークシェアリングをする前提としてシェアする(分かち合う)仕事について身分の異なる人の間で賃金格差が出るのならば不公平ではないか?」と言った不安や疑問は出るものである。

では具体的にまず何をすべきか?

実務家の立場で提案したいのは、以下の取り組みである。これを「業務マネジメント」と呼んでいる。言い換えると、「人と仕事との最適な組み合わせのPLAN、DO、
Check、Actionの仕組みと運用」である。

①部門の業務を分類・体系づける(例;受注業務・受注伝票の入力など)
②業務の体系と担当者の組み合わせを明らかにする
(誰がどの業務を年間、月間、週間、1日などどれだけの時間を掛けて行っているのか)・・これは振り返りの方法と日々の日報作成と集計方法の2つがある。
③担当者の月間や年間の負荷状況(時間外勤務時間、サービス残業時間など)を
 明らかにする
④横に業務の体系、縦に担当者というマトリクスで現状の業務の負荷状況を
 確認する。さらにどの業務が他の人と共有できるのか?またどの担当者の業務が
 他の人と共有できるのかを明らかにする。
⑤業務毎に習熟期間や専門性要求度合いを明らかにする。
⑥上記に基づいて時間当りの給与水準を設定する。
⑦管理者(マネジャー)は次月や次週の業務計画を策定し担当者に示す。
⑧業務計画の進捗状況を適宜、管理者が把握する。
⑨当初の計画通りに業務移管や進行が出来たのかを確認する。
⑩必要あれば計画を修正する。業務の分担替えや担当者に対するトレーニングを
 実施する。

・・つまり業務という切り口で全体を明らかにしてPDCAを回す業務マネジメントが
ますますこれから重要になっていくのではないかと思う。


ワークシェアリングの本質は労使の危機感共有であるべき

2009-01-12 22:12:39 | Weblog
製造業を主体に雇用対策の焦点がワークシェアリングに移ってきている。
ワークシェアリングとは企業の売上減少に対して雇用を維持するために
従業員が行っている仕事をシェアする、つまり時間外勤務や総勤務時間を
削減してでも従業員数を減らさないという取り組みで過去にも労使協議の
中で出てきた解決策である。しかしこれまでは労働組合側はワークシェアリング
が賃下げの契機になることを警戒し、経営側も自分達だけはコスト削減の聖域との
姿勢を崩さなかったこともあり、なかなか実現されなかったようだ。

ワークシェアリングの本質は、経営として何を優先するかである。
株主配当や内部留保、経営陣の報酬を第一に考えればワークシェアリングは
総人件費の削減のための従業員間の痛みのシェアリングに過ぎない。
しかしこれでは従業員の納得は得れないだろう。

真のワークシェアリングは労使の危機感を共有することである。
この思想が無い中で単に仕組みだけを導入してもそれは本来の目的を果たさない
ばかりか副作用が起きる。

また単にこれまで従業員が行ってきた仕事を他の人にもやってもらうようにする
だけでは不十分である。
それを契機にして仕事の標準化、つまり比較的経験や技能を要さなくても出来るようにするとか、また能力の高い従業員には時間的余裕を作りこれからの新たな事業機会、売上確保のためのプロジェクトに投入するなど人材の構造改革を進めていくものでなければ企業体質は変わらない。

こうした考え方で実践することがピンチをチャンスに変える「経営改革」となる
だろう。当面のコスト削減策では駄目なのだ。



改革と改善

2009-01-06 15:05:00 | Weblog
改革と改善との違いは何か?どちらも「良くするように改める」ことで
あるが、その違いは単に変化の度合いではない。改革とは革を改めるという
ことで根本から良くすることである。例えば個人の意識とか組織の体質などは
根本から良くしなければいけないので「意識改革」「体質改革」となる。

一方で改善は根本から良くするのではなく、少し工夫する。例えば机のレイアウト
を変えるとか、無駄な仕事を減らすとか、チェックリストを作って忘れ物を
しないようにするなどは一連の改善である。改善は一人ひとりが工夫して実践
出来るので取り組みはしやすい。しかし根本から変える改革とは違う。

組織の構成員の一人ひとりが自ら進んで仕事の改善をやりきるように
組織の体質を変えるのは「体質改革」・・・改革は組織の責任者レベル、
改善は個人レベルの取り組みではないだろうか・・・・・・・

激動期の状況下では改革をまず考えることが必要であろう。



謹賀新年

2009-01-04 12:12:23 | Weblog
新しい年、今年の関東地方は新年から快晴が続いている。日の出の写真は
正月に出かけた本州最東端の犬吠崎から撮影した日の出。やはり太陽が
昇る現象は何かの始まりを伝えている。今年1年、継続してかつ、あまり
肩肘を張らずにメモを残していこう。