『美月ちゃ~ん、お願いがある‥』
「イヤよ、そのフレーズの時は絶対にイヤっ」
『まだ何も話してないだろう?
何だよ人を変態のような眼で見て…』
「裸でこれを着て、とかっ、エッチなビデオを
撮らせてとかって普通じゃないでしょ!」
二年ほど前の痴話げんかです(笑)
さて、この時撮影したモノが変貌したモノを
私は意外な形で驚く場所で目にしたのです
彼の家は正面が母屋で
両端に先代夫婦の離れ、現当主の離れと
3棟の家が建ち並んでおります
一見無造作に並ぶ樹木や草花も
人工的に創られ選び抜かれたモノばかりです
この「旧家」に相応しいモノ以外は
並ぶことさえ許されないのです
私と母が通されるのは母屋です
先代の離れにもよくお邪魔しますが
現当主の離れには足を踏み入れたことが
ございませんでした…このたび
奥さまに誘われて初めて入った家庭
そこ彼処に見知らぬ彼の残影があり
少々息苦しくなり始めたころ‥
一枚の絵と俳句が眼に映り
気を取り戻したのです
俳句は~*薩摩の俳人 瓢水*~
「手に取るな やはり野におけ 蓮華草」
画は間違いなく彼の描いた2年前の私
薄い布を身に纏いシャワーを浴びながら
彼が映した私の姿と泥水の中から
無垢な姿で咲き誇る蓮華の
四日間だけの短い華の命を
包み込み護るように描かれたその画
どのくらい魅入っていたのか…
「綺麗でしょう?主人が買ってきて
母屋に飾ったのだけれど義母の気に召さず
外されそうになってしまったから
有り難くこちらで頂いたのよ…」
そうですよね…
私はこの家に相応しくないのです
祖父母が亡くなり伯父が亡くなってしまった
今の伯母(家)にとって一番消し去りたい汚点
手塩にかけた大切な嫡男を拐かした
妖女だと思われ続けているのですから
彼を生んで育ててくれた女性だから
恨みたくはない…
母が大学病院などへ通って手渡した
私と彼が結婚できる可能性を秘めた資料を
目を通すことなく破り捨てた人
大切な家族、父の姉を侮辱し軽蔑した人
許せない…胸の奥から込み上げる
醜い想いと対峙してしまったその時
愛猫(満月)が泣いてくれたのです
じっと私を見上げて鋭い眼から
優しい愛情のヒカリを添えて
「ごめんね…許して」って
必要なことしか起こらないこの世界
愛猫(満月)を抱きしめながら
涙を呑みこみ我を取り戻せました
そう、誰のせいでもない
むしろ私達のせいで心の美しい女性を
傷付けてしまうかも知れないのだから
しっかりしてっ!そう言いながら
空を見上げるのです
私には本音を語れる場所は此処だけなのです
せめて今だけは泣かせてください
明日は笑顔で活きているから
ありがとうと感謝の愛を捧げられるから
生涯、秘密のままで構わないから
心のままに泣かせてください
*よろしかったらお願いします*
切ない不倫の恋.☆。:*・° |
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