『クレージー・ストーン~翡翠狂想曲~』(2006/中国)
Cinema Topicsより
http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=8395
せっかくの「中国映画の全貌2007」ですが、あまり、見にいけません。
でも、気になっていた、この映画は見ることができました。
昨年の、釜山国際映画祭のクロージングを飾った映画です。
泥棒トリオのアクション・コメディらしくて、なんだか、『ルパン三世』っぽいのです。
中国では歴史的な興行成績を記録し、香港でも大ヒットしたそうです。
先日もご紹介しましたが、監督は、『モンゴリアン・ピンポン』のニン・ハオ監督。
『モンゴリアン・ピンポン』は、予告を見たことがあります。
のどかなモンゴルの部族のところに、ピンポン球が転がってくるのです。
ピンポン球が何か知らない、モンゴルの子供たち。
王様のものだと思い、王様の元に届けなくては!と、北京に向かって旅に出る。
そんな話だったように思います。
と~っても、可愛くて、草原の広がりを感じる予告編でした。
『クレージー・ストーン』でも、そのユーモアが散りばめられていました。
高価な翡翠の塊が、破産寸前の工場の、トイレの壁に埋め込まれていたのが発見されます。
その翡翠を巡って、工場の従業員だった警備員と、泥棒トリオ、田舎ギャングが、三すくみになって、狂騒曲をかなでます。
この三者が、あらゆる出来事で、絡みあうのです。
やっぱり、『ルパン三世』っぽかったな~。
でもね、私には、どうしても乗り切れない感じが残りました。
私は、韓国映画や香港映画が好きなのですが、中国映画は苦手らしい。
韓国映画や香港映画では、アクションや、ストーリーだけでなく、
登場人物たちをつなぐ「情」や「絆」や「縁」を、映画の根底に感じるのが、好きなんですよね。
中国映画では、それが温かみを持って感じられないんです。
以前、『さらば、わが愛~覇王別姫』という中国・香港の合作映画を見たことがあります。
チェン・カイコー監督、レスリー・チャン主演で、カンヌ映画祭のパルムドール賞に輝いた名作です。
太平洋戦争以後、共産党の政治、文化革命などの激動の中国で生き抜く、京劇役者の一生を描いた映画でした。
中国人って、なんて、強いんだろうと思い知らされた映画でした。
この映画で描かれていた時代以降も、天安門事件や、資本主義経済の導入、
香港の返還など、中国社会は、激動が続いています。
今、中国で生きている人たちは、そういう激動の歴史をかいくぐって、生き残っている人たちなんですよね。
だから、中国映画は、いつも力強いし、生命力がみなぎっていて、
そこに描かれる人生は生半可ではありません。
リアリティに溢れているのが、中国映画の魅力だと思います。
でも、そうしたリアリティの前では、「情」や「絆」や「縁」などは、
ウソの世界の、甘っちょろいもののように感じられてしまうんです。
香港映画では、敵対しながらも、警官と犯人が心を通わせるシーンとかがありますよね。
そういうのが、じーーんと来たりして、好きなのです。
ところが。
この『クレージー・ストーン』は、アクション・コメディだんですけど、
笑わせてくれても、そういう「情」や「縁」の温かさが感じられなくて。
それは、やはり、中国という激動の社会のせいなのかしら?、などと分析してしまいました。
映画って、その国のカラーを、常に感じるものなんですね。
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