ショートショート・フィルム・フェスティバルのスペシャルイベントとして、
6月30日(土)、ユ・ジテ×別所哲也のトークセッションが行われました。
「日韓ショーとフィルム事情の現在」と題されたトーク。
映画オタクの二人が、映画への愛情、短編映画の魅力、そして、日韓の映画事情、などを語ってくれ、
二時間強の、とても内容の濃い~トークになりました。
上手くまとめられないので、メモった限りで、ご紹介しますね。
まずは、前半。
緊張しつつも、ジテ君と別所さんは、とても楽しそうな感じでした。
進行の古屋さんは、昨年のセミナーでもジテ君と一緒でしたから、
とてもリラックスしていて、よかったです。
<短編映画との出会い>
別所:
10年位前。
アカデミー賞の中継の仕事をしに、アメリカに滞在。
そのときに見た短編が、とても面白かった。
短編映画といえば、実験的であったりして、エンタテイメント性がないかと思ったのですが、
とても面白かったんです。
この面白さは、説明しても伝わらないので、みんなに見せよう!と思って、
映画祭を作ることにしたんです。
(↑そう思って、実現しちゃうなんて、別所さんの情熱はすごい!)
ジテ:
大学では、演劇を専攻していたのですが、
そこで、先輩たちが作る短編映画を見ていました。
中には、賞を取った作品もありました。
俳優としての時間が多くて、なかなか映画を作る機会はなかったのですが、
大学院のプロジェクトで、映画を作ることになりました。
そのときの指導教授は、パク・チャヌク監督です。
その前に、大学でも作ったものがありますが、みなさんにはお見せできるものではありません。
(「見た~い」という、別所さん・古屋さん・観客の声を拒否するように)
当時の教授には、「これは映画ではない」とまで、言われたし。
自分では、ベストを尽くしたつもりだったので、その教授から、別の教授に移りましたけどね(笑)
<お互いをどんな風に思いますか?>
別所:
同じ俳優として、映画も撮っているということに驚きました。
うらやましさと、感動を覚えます。
ジテ:
こうした映画祭を作るなんて、すばらしいです。
今日は、哲也先輩(こう呼んでいました)のミュージカル舞台『レ・ミゼラブル』を拝見してきましたが、
俳優としても素晴らしいです。
別所:
いや~、そんな~(と、うれしそう!)
こちらこそ、映画祭にこうして参加してくださって、本当に感謝しています。
ジテ:
哲也先輩を手伝うためなら、いつでもきます。
でも、ゆっくりと、眠る時間も作ってくださいね。
(別所さん、大ウケ(笑))
<監督と俳優、どちらに重みをおいているのですか?>
ジテ:
食べていかなければならないので、俳優は続けます!
というのは冗談で、俳優の仕事も好きです。
これまでは、俳優が70%、監督が30%くらいかな。
でも、長編を撮りたいという思いも出てきたので、
これからは、半々くらいになるかもしれません。
どちらでも、映画人として生き残りたいです。
ジョージ・クルーニーや、ショーン・ペンのように。
ジョージ・クルーニーは、「なぜ、監督をするのか?」と聞かれ、
「絵になるより、画家になりたい」と、答えたそうです。
俳優なら、みな、監督になりたいという思いがあるのではないでしょうか。
<3本目の監督作の予定は?>
ジテ:
今、1本取り掛かっています。
準備段階で、帰ったら、撮影に取り掛かれそうです。
『無意識のうちに、自分でも気づかないうちに』という、題名です。
映画は、常に撮りたいという欲求がありますが、食べていかないといけませんからね(笑)
40本以上撮りたいという、思いがあるんですけど。
<短編映画の長さについて>
ジテ:
韓国の映画祭の場合、20分前後が、ウケがいいようで、
先輩たちも、その時間のものをよく作っていました。
でも、私は、1作目41分、2作目42分、なので、次は43分かな?(笑)
別所:
短編は「ノールール」なんです。
この映画祭では、25分以内と規定はしているんですけどね・・・(笑)。
でも、時間って、あまり関係ないんです。
面白い、いい映画は、時間が短く感じたりしますしね。
ジテ:
映画は、相対的な時間ですからね。
別所:
なんだか、専門的ですね~(笑)
***************
ここで、二本のショート・フィルムを上映。
私の席から見える位置に座ったジテ君。
おや、めがねをかけています。
視力、悪かったんですね。
①韓国の『ブラボー・ミスター・キム』
家賃も払えないくらい、生活苦の老人キムさん。
息子がいることを理由に、生活保護は受けられません。
屋台で、何とか稼ぐ息子夫婦をたずねますが、何も言い出せません。
心中を察した息子は、キムさんに、あるだけのお金をわたします。
息子にすまないという気持ちを抱え、バスに乗り、家に帰るキムさん。
ところが、そのお金が入ったバックを、バスの中に置き忘れてしまうのです。
家に戻ったキムサさんは、絶望します。
家には、長年、郵便局員としてまじめに勤めた賞状が飾られています。
まじめに勤めてきたのに・・・。
②日本の『Line』
開幕式でも見た、コメディ・ショートフィルムです。
保険会社のビルの掃除婦(ふせえり)が、旦那(上島竜平)に、
社長室の金庫から、社長のへそくりを盗ませるんです。
この夫婦の会話が面白くて、ジテ君も大うけしていました!
会場は、主婦層が多かったので、ふせえりが、旦那の竜ちゃんにぼろくそに言う場面がウケていたのですが、
ジテ君は、「旦那さんが死ぬと、これだけもらえるんですよ~」という、保険外交員のセリフにウケていました。
けんかしながらも、あったかい夫婦の関係に、ほろっとするコメディでした。
**********
<それぞれの感想は?>
別所:
あまりに、タイプが違う作品ですが、あえて、共通点を探せば、
「お金に困ったとき、どうするか?」
それと、「家族の絆」でしょうかね~(爆笑)
(↑別所さん、うまいっ!)
ジテ:
同じジャンルのほうが比べやすかったかもしれませんね。
短所から言うと、
日本のものは、オーバーアクティブに感じました。
韓国のものは、作為的な感じがしました。
いいところは、どちらも、プロットがしっかりしていることですね。
別所:
日本の作品に、ジテさん、受けてましたね~。
韓国の作品は、心のセリフを想像させられました。
見えないセリフを考えさせられ、想像を掻き立てるエンジンのような、
映画の魅力は、それですよね。
韓国の作品で、生きたタコの足を焼酎に入れて、躍らせるシーンがありました。
長い階段で、老人が躓いてしまうシーンも象徴的でした。
それが、ジテさんのいう、作為的なのかもしれませんね。
ジテ:
この場にいると、韓国代表になっている気がして、汗をかきます(汗)
韓国の作品での象徴的なシーンは、作為的な感じがして、私はあまり好きな手法ではありません。
象徴的なものは、直接はわからないように表現したほうがいいと思います。
監督本人に、意図を聞いてみたいですね。
もしかして、『オールド・ボーイ』の影響かも。
(↑そんなシーン、ありましたよね)
いい面は、編集のリズムがいいところです。
監督は、韓国総合技術学校(だっけ?)を卒業しているので、きちんと学んだんでしょうね。
<韓国の大学には、映像学科のある学校が多いですが?>
ジテ:
大学では、学生に実習をさせるところが多いです。
理論が中心ではありますが。
大学院になると、実際に映画を作らせます。
監督作品として、3本作らなくていけません。
そして、スタッフとして1本、プロデュースとして1本。
学校の支援を受けて、作ります。
大学生を使って、安くで映画のアルバイトをさせることも、よくあります。
今年7月からは、映画業界の労働組合ができたので、いい風になればいいのですが。
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レポ読ませて頂きました!素晴らしいですね。
私なんて記憶が途切れ途切れでかなり
創作しちゃいましたが^^;
それにとても韓国にお詳しいのですねー!(^^)
またお邪魔させて頂きます(^0^)
私、記憶力がダメなので、メモを取ってるんです。
それでも、雑なメモだから、あやふやなところもあったり。えへへ・・。
今回のトークショー、二人とも語ってましたよね。
聞き応えはありましたが、お腹いっぱい感覚でした。
でも、面白かったです。
ミーハー根性丸出しのブログですが、
また、ぜひ、遊びに来てくださいませ~。