Duke's Blog

~海と・・そのスピリットと~

シンクロニシティー続編

2010-02-12 | OceanLegendについて
ソレイユウの丘がある荒崎をこえた時はもう既に伊豆半島に夕陽が沈んでいた。
初めての浜で、どこに上陸すればいいのだろうか・・・と漕ぎながら海か海岸を見渡していると、もうすでに薄暗くなってしまった浜辺から車のヘッドライトと思われる灯りがチカチカと光っている。その灯りに導かれて砂浜に上陸すると、目の前に大きな漁師小屋風の建物が2棟建っている。漁師小屋・・・と思ったのは砂浜の上に建っているということと、波うつトタンの外壁が目に入ったから、第一印象は漁師小屋と思ったのだった。



でもよくよく見てみると、普通の漁師小屋とは随分違う。何だか洒落たチェアーやソファーが小屋の外のデッキに無造作に置かれているし、バーカウンターまである。


小屋の中に入ると暖かな木の温もりが部屋全体を覆っている。目をみはる多数の重厚な舶来の船具の品々、遠い昔の海賊の戦利品ミュージアムのようだ。


薄暗くなった海から上半身裸でカヌーで上陸してきた不審者そのものの僕をニコニコ顔で暖かく迎え入れてくれた小屋の主がネルソンさん。
彼に僕を引き合わせてくれた弓ヶ浜のヒゲさん(彼との出会いもシンクロニシティーだったので今度紹介します)も一緒にその夜は酒を交わしながらアウトリガーカヌーの話しで盛りあがった。アウトリガーカヌーがハワイの歴史や文化を語る時には絶対に欠かせないという話し・・・や、Hulaとカヌーとのつながり、いつかはハワイまで人力で漕いで行きたい・・・等の話し・・・僕がよくしている話しだ。

ネルソンさんは、今回の台風18号でこの小屋以外は全て破損、もしくは波に持っていかれたばかりだった。20艇近くあったボート、ヨット、ジェットスキー、20年以上かけて集めたチークやマホガニーでできた高価な舟も全て失った直後だった。

築60年以上もなるこの小屋が無事だったのが奇跡のような大波、高波だったらしい。彼は途方にくれて、呆然としながら沈む夕陽を見ながらこれからの事を考えていた時に、海からオレンジ色の空をバックに僕がカヌーを漕ぎながら波にのって現れたのだった。そんなタイミングでの出会いだった。

『DukeここをHalau(カヌー小屋)にしよう。もう動力のある舟はいっさいやめた・・・ノンビリ、気持ちよく海を漕いで渡れるカヌーをこの浜にたくさんならべよう。』・・・そんなネルソンさんの言葉を半信半疑、心に温めながら、僕は数日後また八丈島に戻っていったのだった。
*長くなりそうなので、続きは続編とし次回にします。