ある日の気づき

西側公式言説における国際政治用語について

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1. 西側公式言説中では読み替えが必要な国際政治用語の例
2. 用例および参考記事
2.1 独裁と民主制
2.2 テロ支援と独裁
2.3 独裁と野党
2.4 テロリストと傭兵
2.5 「帝国」について
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国内政治報道特有の言い回し/言葉使いに潜在する問題を抉り出した上西充子氏の「用語集」は
非常に興味深い。
https://note.com/mu0283/n/n68691704f2db
https://researchmap.jp/read0147270/published_papers
国際政治用語についても同様な用語集があるとよいのだが、それ以前に、字面通りに解釈すると
明らかに事実に反していたり、論理的根拠が分からなかったりする「名詞」が、けっこう多い。
アンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」での「定義」(下記など)を意識した個人的読み替えの
例を思いつくままに列挙して見る。
https://coredake.com/akuma-no-jiten/
https://oyobi.com/maxim01/01_37.html
https://todays-list.com/i/?q=/『悪魔の辞典』/1/1/
https://www.gutenberg.org/ebooks/972
# 2023-01-08:以下で取り上げる用語には「 ダブルスピーク」という表現も当てはまる。
# 「ダブルスピーク」の用例
https://note.com/ftk2221/n/n43d12751a9ae
「...
この世界的な分裂は、世界経済が米国一極中心のドル化経済になるのか、それとも
官民経済が混在するユーラシアの中心地を中心とした多極多通貨世界になるのかを
決定するための10年または20年の闘争になることを約束します。
バイデン大統領は、この分裂を民主主義と独裁の間であると特徴づけました。用語は
典型的なオーウェルのダブルスピークです。
"民主主義"とは、アメリカと同盟する欧米金融オリガルヒ ... 「独裁政治」とは、
この金融化と民営化の乗っ取りに抵抗する国を意味します。」

1. 西側公式言説中では読み替えが必要な国際政治用語の例^

安全保障:帝国および、その植民地での軍備拡張時専用のスローガン。
陰謀論:帝国の未公表の活動に関する事実に基づく推測。しばしば後に事実だと判明する。
嘘の帝国: アメリカが率いる国際法無視常習犯の国家群。自称「国際社会」。単に「帝国*」とも。
穏健派反政府勢力:帝国傭兵。ヤクザのフロント企業相当の組織を持つ場合が多い。
化学兵器:帝国の傀儡や侵略の尖兵以外の国を根拠もなく「使用した」と非難する際の口実。
核兵器:帝国の展開、増強は平和に寄与し、他国の対抗措置は平和への脅威とされる兵器。
義勇兵/自由の闘士:帝国傭兵。帝国の援助が公表されている場合の呼称。→テロリスト
権威主義的:帝国の意向とは独立して主権を行使する国/指導者の特徴。→独裁者独裁的
国際刑法:帝国の意向に沿わない国の個人への暴力や迫害を公然と行うためのノウハウ集。
国際(公)法:帝国のプロパガンダ内では絶対視され、他の文脈では無視される規則。
国際社会:アメリカを中心に西側諸国が形成している帝国*。主要言論機関を支配している。
自衛権帝国の無際限の軍備拡張や戦争犯罪の口実。帝国外の主体にはないとされる権利。
資金の透明性:帝国の主権侵害/政権転覆工作資金の出所を隠蔽する事。
自由経済:国家の経済への介入が、帝国側の富裕者の利益のためにのみ許される制度。
自由貿易:帝国の利益を最大化するためにのみ制限が許される貿易制度。
人権:帝国の侵略開始直前の関心事だが、他国住民の福利厚生や幸福とは無関係な何か。
人権侵害:帝国外主体の、しばしば架空の行為。帝国の行為(生存権侵害など)は含まない。
人道:伝統的仏教思想では地獄道、修羅道、餓鬼道と呼ばれている事の帝国風な言い換え。
人道的介入:帝国による、何ら正当な根拠のない乱暴狼藉。例:セルビア、リビア…空爆。
人道的危機:前記の意味での人道的介入に先立って流布される風説。
制裁帝国によるプロパガンダを伴う不法行為。自国の一般国民の不利益すら無視される。
生物兵器:アメリカがナチスや旧日本軍から技術を継承し発展させている兵器。
戦争犯罪(1):帝国、帝国の傀儡、帝国による侵略の尖兵は決して犯さないと仮定される犯罪。
戦争犯罪(2):時間の経過により、帝国公式発表は嘘で、他の発表が真実と判明する犯罪
弾圧:帝国によって行われた場合には、治安維持/テロリスト対策と呼ばれる事の総称。
テロリスト:帝国の傭兵。帝国の援助が公表されていない場合の呼称。→義勇兵/自由の闘士
投資の保護:帝国内も含め、あらゆる国の一般住民の幸福より優先される事。
独裁者:下記の意味で独裁的な指導者。実施している政策とは無関係な呼称。
独裁的:前記の意味で権威主義的であって、しかも外国の干渉を排除する力が強いこと。
二重規範帝国では常識的かつ公正と考えられている物の見方。
ファクトチェック: 西側公式見解(プロパガンダ)との一致を確認すること
不正選挙:結果が帝国の意向に反する選挙。不正の証拠は公表されない。
保護する責任:帝国がリビアを破壊し大量の難民を発生させた際のスローガン。
民主主義国家:「米国とそれに連なる西側金融寡頭政治国家」(=帝国)の自称の一つ。
民主主義的:帝国、および主権を放棄し、帝国の実質的植民地である国の特徴。
民主主義勢力:帝国による侵略の尖兵。侵略成功時には傀儡政権を構成する。
民族自決:帝国による侵略の尖兵による使用のみが公認されるスローガン。
無効な住民投票:結果が帝国の意向に反する住民投票。cf. 意向に沿う事例
領土の一体性:帝国の傀儡国家では守られるべきだが、そうでない国では無視してよい事。

2. 用例および参考記事^

各用語ごとに挙げていくと大変なので、「独裁者」、「民主制」、「テロ」関連のみにする。

2.1 独裁と民主制^

「独裁」の用例1:プーチン
https://ja.wikipedia.org/wiki/新冷戦
「プーチン政権の独裁化(2009‐2010)」

この項目の記述での「独裁」の用法は、上で定義した通りの意味に取らない限り、理解不能。
∵字面通りの「独裁」に関連しそうな記述は、どこにもない。下記の記事も参照。
歴史的観点からウクライナ情勢を考える

「独裁」の用例2:カダフィ
# 注記)下記Wikipedia でのカダフィの説明は、結局「西側公式情報」でしかない。cf.
# 次の情報サイトでの「カダフィ」検索結果: 「マスコミに載らない海外記事」、「虹子」、
# 「note.com全体」、「tmmethod 翻訳NEWS」、「櫻井ジャーナル」、「gooブログ全体
https://ja.wikipedia.org/wiki/ムアンマル・アル=カッザーフィー
「汎アラブ主義・反米主義路線
...
一部保守派の中にも死後に「カダフィーの内政やテロ支援での独裁政治はともかく石油の
関税自主権を国際石油資本から取り戻し国民にも一定の繁栄をもたらした。」と評価する
声もある。」
とあるが、しばらく「独裁」や「民主制」が 1. で示した言い換えではなく字面通りの意味だと
仮定して、「カダフィは独裁者」説の矛盾を導こう。「背理法/帰謬法」である。:-)

まず、内政における「カダフィは独裁者説」の根拠は、「議会制民主主義(間接民主制)」を
採用しなかったことしかなさそうだが、もう一つの可能性があることを無視してはいけない。
https://kotobank.jp/word/間接民主制-49097
「全成員が参加して討議・決定する直接民主制や一人の支配者が政治を行う君主制・独裁に
対する語。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/間接民主主義
「対義語は、直接民主制や独裁制である。」
実際、「カダフィ政権下のリビアでは、直接民主制が採用されていた」という報告がある。
Muammar Gaddafi’s Libya Was Africa’s Most Prosperous Democracy
Posted by INTERNATIONALIST 360° on JANUARY 14, 2013
"Contrary to popular belief, Libya, which western media described as “Gaddafi’s 
military dictatorship” was in actual fact one of the world’s most democratic States".
「現地取材したニューヨークタイムズも、直接民主制が機能していると認めざるを得なかった」
とか「カダフィの提案した法案(例えば死刑廃止法案)が通らなかった事例がある」との記述が
ある。とは言え、国全体に関わる決定に際しては、ある種の代理人制度は必要なはずだ。下記の
何らかの代理人制度に関連すると見られる記述がある。
"The Libyan direct democracy system utilized the word ‘elevation’ rather than
‘election’, and avoided the political campaigning that is a feature of traditional
political parties and benefits only the bourgeoisie’s well-heeled and well-to-do".
上の記述だけからは詳細が不明だが、elevation という名称から、例えばパリ・コミューンで
採用されていたという「拘束委任式の代理人派遣制度」と類似した方法だと推測される。
https://ameblo.jp/assocy/entry-12474169480.html
「ブルジョア民主主義が、選挙で選ばれた人間に任期中は自己裁量で決定権を行使する自由を
与える白紙委任制度であるのに対し、パリ・コミューンは、代理人に対して、常に選出母体から
の合意を取りつつすべての案件に対処することを義務付け、これが守れない場合は、選出側が
解任できるという制度を実施しようとしたのです。」
https://ameblo.jp/assocy/entry-12474166446.html
【資料集】〈拘束委任型派遣制協議体〉の研究のために
マルクスが「労働者階級」という言葉で念頭に置いていたのは、結局「大多数の人々」なので、
「政治に「民意」を反映する方法」については、それなりにいろいろ考えていたようだ。e.g.
https://www.hix05.com/Philosophy/Marx1/marx21.commune.html
フランスの内乱:マルクスのパリ・コミューン論
http://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/assets/file/2003/39-3_fujita.pdf
初期マルクスにおける市民社会論の出発点
―「真の民主制」論をめぐって―
cf.
「代議制間接民主主義」は「白紙委任制度」であるため、非常に重大な案件について、
民意に反する政策が行われることもある。e.g.
耕助のブログ「No. 1975 イスラエル・パレスチナの背景を理解する:
イスラエルの「最終的な解決策」とは何か?
「2023年11月2日、下院はイスラエルへの145億ドル近い軍事援助パッケージを承認した。
世界で5番目に装備の整った軍隊であるイスラエルが大量虐殺を行うためだ。」
「10月18日から19日にかけて実施された『データ・フォー・プログレス』の世論調査によると
米国人の66%が米国が停戦を要請することを支持しているが、米国はこれを拒否している。
支持する上院議員は一人もおらず、停戦を求める決議案に署名した下院議員はわずか18人」
「戦争と平和、アメリカ帝国の軍事的支援に関しては民主主義はまったくの幻想である。」

ともあれ、「カダフィは独裁者である」という命題とは相容れない「リビア式「直接民主制」が
機能していた」という命題の根拠が上で示された。ここまで「民主制」や「独裁」を字面通りの
意味と仮定していた。つまり、「カダフィは独裁者である」との主張は、1. で述べた読み替え
での意味で「独裁者」という言葉を使用しているとしか解釈できない。証明終了。

2.2 テロ支援と独裁^

なお、カダフィの責に帰せられている「テロ支援」は、そもそも字面通りの意味での「独裁」を
含意しないことは明らかに思われるが、念のため、再び「字面通りの意味」という仮定を置いて
「背理法/帰謬法」で示しておこう。
実を言えば「テロ」の定義自体に面倒な事情がある上、その「支援」の定義も明確ではないが、
その件はひとまずおく。

仮にリビアが行った場合の海外の武装勢力支援を「テロ支援」と呼ぶなら、西側諸国が行った
*同等以上に悪質な行為/集団への支援*も「テロ支援」ということになる。
ところで、ニカラグア、リビア、シリア、アフガニスタンにおいて、アメリカが支援していた
「反政府勢力」の活動やNATO がコソボで支援した KLA の活動が「テロ」に相当しないと言う
なら、「御都合主義にもほどがある」としか言いようがない(=「禁反言の原則」に反する)。
∴テロ支援が「独裁」を含意するなら、NATO 諸国全ての指導者は独裁者ということになる。
# 2022-10-12 追記: ParsToday : ロシア下院議長、「ゼレンスキー氏はテロリスト」
# 2023-01-27 追記: Iocom2 Diary : https://qrude.hateblo.jp/entry/2023/01/27/012610
# 「米国がイラクで踏襲した原則を用いるなら、ロシアは米国とNATOをテロ支援国家として
# 扱う権利が十分にある。」(ラリー・ジョンソン)

今度はテロの定義についての問題も含めて、より詳しく見ていこう。
さて、CIA は、数多くの国でのクーデターへの関与(=間接侵略)のほか、複数の外国首脳の
暗殺計画への関与が明らかにされている。(まだ)公認されていない「疑惑」話もあるわけで、
前記カダフィの Wikipedia での説明では、テロへの関与の言及は「疑惑」で十分のようだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/フィデル・カストロ暗殺未遂事件
https://www.afpbb.com/articles/-/3110130
http://eritokyo.jp/independent/deahofchavez1.htm
∴下記のアメリカ合衆国自体での「テロ」の定義によれば、アメリカ合衆国大統領の多くが
「テロ」に関与したわけだ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/テロリズム#アメリカ合衆国政府による定義
「 ...
FBIの報告書においても、統一されたテロの定義がないことが示されている。
合衆国法典第18編第2331条 18 U.S.C. § 2331においては、暴力行為若しくは人命に危険を
及ぼす行為又は政府の行動に影響を及ぼすための大量破壊、暗殺、誘拐などを指す。
連邦規則集第28編0.85条(28 CFR 0.85(l))においては、FBIとして「政治的又は社会的な目的の
促進のために、政府や市民、もしくはその一部への脅迫や強制ないし、人物や資産に対する
不当な実力行使や暴力」としている。」
∴「テロ支援」が「独裁」を含意するなら、歴代アメリカ合衆国大統領の多くは独裁者であり、
アメリカは独裁国家ということになるわけだ。

国際法の観点からも見ておこう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/テロリズム#テロ防止関連諸条約
「...
人質を取る行為:人質をとる行為に関する国際条約(人質行為防止条約)
...
テロリストに資金を供与する行為:テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約
(テロ資金供与防止条約)」
さて、「人質を取る行為」は、「人質行為防止条約」により「テロ」と規定されているので、
実行者(=テロリスト)への資金供与は「テロ資金供与防止条約」が規制する「テロ支援」に
あたる。

ちなみに、関連する条約の内容は下記参照。
https://kotobank.jp/word/人質を取る行為に関する国際条約-158057
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/hostage.htm
https://kotobank.jp/word/テロ資金供与防止条約-1736613
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty_020412.html

ところで、ウクライナで下記のような事件があった。
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/556901?n=8&e=531111
2022.04.13 18:51
プーチン大統領の友人を拘束 ウクライナ当局、親ロ野党指導者
https://news.yahoo.co.jp/articles/c58818e66e700d0544a92472371d995307c65195
4/13(水) 18:51配信
「ゼレンスキー大統領は12日、SNSに手錠をされた迷彩服姿のメドベチュク氏の写真を投稿し
「特殊作戦が実行された。よくやった!」とコメント。」
「「ロシアに捕らわれているウクライナの若い男女との交換を提案する」として捕虜交換を
要求した。」
この事件は、「ウクライナの大統領が人質を取った」としか表現しようがない。したがって、
ウクライナの大統領ゼレンスキーはテロリストであり、その求めに応じて膨大な資金援助を
している西側諸国は全て「テロ支援国家」であり、その指導者は独裁者ということになる。

しかし、西側諸国の指導者たちは誰も「独裁者」とされていないので、これは矛盾である。
従って、カダフィが「独裁者」と言われる場合、仮定した「字面通りの意味」ではなく、1. 
での読み替えによって解釈せざるを得ない。証明終了。

2.3 独裁と野党^

もう一つ、「西側公式言説」での「独裁者」の用法で「国内の反対者の拘束」が「真偽不明な
情報」や「拘束理由の確認がない情報(例えば、ナウリヌイなる人物は詐欺について保釈上の
禁止事項を破ったことで拘禁されたと伝えられるので、事実関係の確認なしには「政治的理由
での反対者の拘束」とは断定できないはず)」に基づいて、言及されることがしばしばある。、
しかし、上のウクライナ大統領が「独裁者」と言われていない以上、論理的には「国内反対者
拘束」が「独裁的であること」と関係していないことになる。よって、1. の読み替えは必要。

さらに言えば、「野党の禁止」も、「西側公式言説」での用法では、国家の指導者が「独裁的」
である事を意味しない。∵字面通りに解釈してしまうと、以下の*公式情報で確認された事実*
と矛盾するからだ。なんと、「拘禁」だけでなく「財産の差し押さえ」までしている。中世の
「魔女狩り」での財産没収や小栗上野介がされた事を連想させる、まともな近代国家の枠組み
では考えられない事態だが、「西側公式言説」での用法では、ウクライナは民主主義国家だと
いうことになっている。
https://massage815.exblog.jp/241453644/
公式発表! ゼレンスキー氏が今週末、野党の禁止と財産の差し押さえを定めた法律に署名
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2022/05/post-246945.html
2022年5月17日 (火)
ゼレンスキー賞賛は「悪徳の栄え」
ウクライナのゼレンスキー大統領を英雄として称えるのは大きな間違いだ。
ゼレンスキー大統領の施政がどのようなものかをメディアが伝えないのはなぜか。
ゼレンスキー大統領は「民主主義を守る」と述べるが、彼が実行しているのは民主主義の破壊。
すべての野党を解散させ、テレビ局も1社だけに放送権限を与える情報独裁体制を確立した。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2022/03/post-fd49d2.html
「ウクライナの「民主主義」を守る:言説のマトリックスの端からのメモ
2022年3月22日
ケイトリン・ジョンストン
 我々は11の野党活動を禁止したばかりの政権の「民主主義」を守るため、非常に急速に、
非常に核の可能性が高い第三次世界大戦の危険をおかしている。」
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2022/03/post-faf9eb.html
「ウクライナについて、いい大人がこのように考えているのは問題だ
2022年3月18日
ケイトリン・ジョンストン」

2.4 テロリストと傭兵^

アフガニスタンの「ムジャヒディン」は「テロリスト」が「西側諸国の傭兵」だった最初期の
事例。後年の「アルカイダ」とメンバーが被っている(オサマ=ビン=ラディン)事は「西側
でも公認された事実」。なお、アルカイダは、下記などではアラビア語での基地(base)相当の
言葉とされているが、
https://kotobank.jp/word/アルカイダ-176344
https://ja.wikipedia.org/wiki/アルカーイダ
アラビア語では database にも同じ単語が使われていて、実は、そちらの意味こそが本当の起源
との説がある。根拠として、イギリスの元外相の下記談話が挙げられる。
https://www.theguardian.com/uk/2005/jul/08/july7.development
The struggle against terrorism cannot be won by military means
Fri 8 Jul 2005 15.00 BST
...
"Bin Laden was, though, a product of a monumental miscalculation by western security 
agencies. Throughout the 80s he was armed by the CIA and funded by the Saudis
to wage jihad against the Russian occupation of Afghanistan.
Al-Qaida, literally "the database", was originally the computer file of the thousands
of mujahideen who were recruited and trained with help from the CIA to defeat the 
Russians. Inexplicably, and with disastrous consequences, it never appears to have 
occurred to Washington that once Russia was out of the way, Bin Laden's organisation 
would turn its attention to the west".
近年の「テロリスト」は、おおむねこういう傭兵になっているようだ。そもそも、「警察」では
なく*近代国家の正規軍*を手こずらせるような武装勢力など、強力な「スポンサー」なしには
存在できようはずがない。下記などを見るに、既に「公然の秘密」と考えてよさそうだ。
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/3b08109926a103d9473d5b9bb3d29791
「テロリストは傭兵なんだよ by プーチンから2.5年
2017-06-12 08:38:08 | アジア情勢複雑怪奇 ....
で、これらのテロリストだの過激派だのには資金提供者がいる、彼らは要するに傭兵なんだぜ、
とパブリックに初めて言い出した政治家は実にプーチン。
西側のジャーナリストの問いに答える過程で、あんたらね、という感じで話しを開陳しはじめ、
各戦闘員にいくら払われているかも知ってるぜ、とか、傭兵を雇うには金がかかる、しかし
戦いをやめさせるにはもっと金がかかる、あんたらどう考えるんだね、と疑問を向けた。
...
トランプ米大統領、カタールが「テロ資金援助」
https://www.cnn.co.jp/world/35102557.html
「米ホワイトハウスで9日述べた。「カタールは歴史的に高度のレベルによるテロ活動への
資金提供者だった」と主張。ティラーソン米国務長官や軍幹部らと共にカタールに対し資金
援助を中止することを呼び掛ける時機だと判断したと述べた。」
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/306f7df9172a6383539886c81e25bab0
「宴の始末(10) ISIS・アルカイダのために戦うアメリカ
2016-09-26 13:45:11 | 欧州情勢複雑怪奇」

2.5 「帝国」について^

前出の「帝国」の定義では直接言及されていない側面について、いくつか補足しておく。

「帝国」はサミュエル・ハンチントンが「文明」と呼んだものの一つでもある。
耕助のブログの記事「No. 1768 ロシア・中国・イスラム: 新たな超大国?」から引用。
「彼の論文「文明の衝突」は世界のすべての文明間で起きる将来の紛争を予測したものでは
なかった。そうではなく、それは米国主導の世俗的人道主義的自由主義の西洋が、世界の他の
主要な文明に対して行った隠れた宣戦布告を示唆したものだった。今日、それらの文明は結束
して反撃している」

帝国の体制は、マイケル・ハドソンが「金融資本主義」、「金融寡頭制」、「債権者寡頭制」
「レンティア寡頭制」または単に「寡頭制」と実態に即して呼ぶものだが、西側公式言説上は
「自由主義」ないし「(米国流)民主主義」と(括弧内は省略されて)呼ばれる場合が多い。
https://mekong.hatenablog.com/entry/2023/04/21/075529
「金融資本主義のオーウェル的語彙では、自由市場とは、裕福なレンティア階級が、自分たちが
占有する土地へのアクセス、金融信用創造、独占的権利のために変えたいと思うものであれば
何でもよい」
「今日の金融資本主義の新自由主義的理想は、1970年代のピノチェト「自由市場」独裁政権下の
チリでシカゴ・ボーイズが銃口を突きつけて押し付けたもの、そして1990年代のエリツィン
大統領下のロシアで米国の新自由主義者とネオコンが作り上げたものに象徴される」
https://kamogawakosuke.info/2023/04/08/no-1754-古代遺物の崩壊/
「マイケル・ハドソンの最新作『古代遺物の崩壊』」
「この魅力的な本でハドソンは古典ギリシャとローマの略奪的なレンティア寡頭政治の台頭に
ついて探っている。彼は負債という罠が農民、国家、そして最終的にはこれらの文明の破壊に
つながったという魅力的で説得力のある事例を挙げている」
「古典ギリシア・ローマにおける債権者・土地保有者寡頭制の台頭」
「ローマの国教となったキリスト教の変容、寡頭政治の支持、初期キリスト教の革命的な債務
帳消しの呼びかけをやめ、主の祈りや「罪」の意味を、経済圏への焦点から個人のエゴイズム
という個人圏に変更した」
「債権者寄りのイデオロギーが最近の古代経済解釈をどのように歪め、ローマの寡頭政治政策
への共感を強めているか」
https://manhaslanded.blogspot.com/2022/11/blog-post_49.html
「古典古代は、経済的に分極する債権者寡頭制の法的・政治的構造をその後の西洋文明に遺した」
「広く全体的な繁栄を促進する社会構造や政策という意味での民主主義ではなかった」
「古代は、王権を民主主義ではなく、債権者寄りの法哲学を持つ寡頭政治に置き換えることで、
近代世界への大転換を果たした」
「その思想は、... 経済バランスの回復や長期的な経済の存続を顧みず、債権者が自分たちの
手に富を引き寄せることを可能にした」
「今日の「自由市場民主主義」に経済計画が存在する限り、それは、負債を抱えた国民全体を
犠牲にして、できるだけ多くの所得、土地、資金を自らの手に集中させようとする金融部門に
よってますます行われている」
https://note.com/ftk2221/n/n43d12751a9ae
「今日の新冷戦における民主主義の定義は、単に「親米国」」
「国が支援する新経済宗教としての新自由主義民営化」
「新自由主義のシカゴ学派のジャンク経済学、IMFの緊縮財政プログラム、富裕層への税制優遇
に対する現代の婉曲表現」

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