ヘチマカス

「泣いてみようとしたが泣けなかった…」「笑ってみようとしたが笑えなかった…」そんな心の不感症カモンが送る無意欲文章群。

ダイブツ

2006-08-08 | Weblog

おれがね、小学校5年のときに、
同じクラスに、大山くんって子がいて、

大山くんには、首の後ろにイボがあった。

おまけに、天然パーマだったから、

みんなから、ダイブツって呼ばれてたんだけど、

それって、親しみを込めてっていうよりも、どちらかというと、負の方向っていうか、
いじめの対象としての総称だった。

で、みんなから「ダイブツ、ダイブツ」って、いつも言われて、

そうすると、いつもダイブツ、「ハニャ?」とか「ホニャ?」とかね、

おーい!ハニ丸くんの、マネで、返す。

ハニ丸くんって、当時NHKでやってた、ハニワが主人公の幼児向け番組なんだけど、

そのマネがなんか、憎たらしくって、イボへの偏見に加えて、余計いじめられるんだけど、


ある時、ダイブツがキレた。

「ダイブツのイボは、イボころり~」とか、みんなに言われて、

その中の一人に、飛び掛っていった。

けど、結局、力も弱いから、そのまま逆に押し倒されちゃうんだけど、

結構ね、激しく押し倒されて、そのまま揉み合いになったんだ。

その瞬間。


大仏くんのイボが、取れた。


結構、頭でっかちのイボだったから、


飛び掛った子の手が、大仏の首の後ろを、強く引っ掻いちゃったら、

取れた。










みんな、ヒャーーーーってなって、


イボが、床にコロンと落ちて、

それで、ダイブツは
わんわん泣いちゃって、



体の一部が、取れたことに、

みんな怖くなっちゃって、



ざわざわ、ざわざわ、って、

子供は、残酷だから、

うつるぞ、うつるぞ、って。


「イボ地帯」だ、なんだって。


そんなときに、誰かが、「先生くるぞ」って、言った。

先生来るってなったら、バレないうように、
机とかイスとか、散乱した教科書なんか元に戻して、
何事もなかったかのように片付ける、子供だから。


そして、おれは見たんだ。

ダイブツが、泣きながら自分のイボ拾ってポッケにしまうところを。




そのまま、先生が来て、騒ぐこともできなかったし、

誰にも何も言わないまま、今日まで来たけど、



あの、イボに



今、


会いたい。















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