確かにウィーン・フィルの音は違う。私がよく聴いているのはブルーノ・ワルター指揮 ウィー
ン・フィルハーモニー楽団のモーツァルト交響曲40番/25番。モーツァルト交響曲40番は、
他のオーケストラ演奏のモノを数枚持っていますが、演奏のスタイル、楽器の響きが異なる気が
します。
ウィーン・フィルが経営母体を持たずに、運営を演奏家たち自身が行っている、という話には驚
きました。世界各国をツアーで廻り、国内でも演奏し、その合間には自らの或いは楽団全体の練
習を重ね、後進の指導も行うという多忙な中、様々な煩わしい交渉事をこなし、自分たちの指揮
者も選考するという。正に八面六臂の活躍だ。
それだけに自分たちの存在に誇りを持ち、コロナ禍のロックダウン中にも他の楽団のように、遠
隔合奏や簡易録画の動画等を制作、公開をせずに、高品質なオーケストラ動画を1本だけ公開し、
2020年8月から、ザルツブルク音楽祭という1ヶ月に及ぶ大規模なイベントに出演し、世界に先駆
けて成功させている。
ストリーミングサービスの拡大に伴いアーティストの収入は激減している。それはクラシックに
限らず、ジャズ、ロック等々他のジャンルでも変わらない。アーティストたちは模索を続け、い
かに自分たちが楽しめるか、その上で世界中にその音を届けられるか、これからが正念場だ。
ウィーン・フィルの哲学 渋谷ゆう子 NHK出版新書